ディオ黄金期のメンバーによるハード・ロック・バンド、ラスト・イン・ラインのファースト・アルバム『ヘヴィ・クラウン』が発売された。バンドの結成からアルバム制作に至るまでを語ってくれたヴィヴィアン・キャンベルのインタビュー前編に引き続き後編をお届けする。

◆ラスト・イン・ライン画像

──バンド名を“ラスト・イン・ライン”にしたのは何故ですか?

ヴィヴィアン・キャンベル:もちろんディオのセカンド・アルバムのタイトル(1984)から取ったんだけど、当時のバンドから30年が経って、ロニーもいないし、ロック界の“行列の一番後ろ”というイメージが俺たちにピッタリだと思った。最初は決して大規模なものではなかったんだ。でもライヴを行うにつれ、世界各国のプロモーターからオファーがあって、日本の『ラウド・パーク13』でもプレイした。それからアルバムを作ることにもなったし、よりシリアスに捉えているよ。あと「ホーリィ・ダイヴァー」はロニーがほぼ全編を書いた曲だったし、「セイクレッド・ハート」はあまり気に入っていないから、“ラスト・イン・ライン”にするのが一番自然だったんだ。

──初期ディオのアルバムは「スタンド・アップ・アンド・シャウト」「ウィ・ロック」「キング・オブ・ロックンロール」と、いずれヴィヴィアン・キャンベル:もアップテンポのオープニング・ナンバーから始まりましたが、『ヘヴィ・クラウン』はミッドテンポの「デヴィル・イン・ミー」から始まります。それは意図したことですか?

ヴィヴィアン・キャンベル:正直、テンポのことはあまり考えていなかった。それよりインパクトのあるオープニング・ナンバーにしたかったんだ。「デヴィル・イン・ミー」は顔面にガツンと食らわす曲だし、“内面の悪魔”がバンドの雰囲気を表していると感じた。

──アルバムの作曲やレコーディングはどのように行われたのですか?

ヴィヴィアン・キャンベル:アルバムの曲はどれも全員で書いたんだ。「デヴィル・イン・ミー」や「オールレディ・デッド」や「スターメイカー」のリフは俺だったし、「マーター」はジミーのアイディアを元にしているけど、それを全員で発展させて完成させたんだ。ヴィニーもデモのリズムをひっくり返して、まるで異なった雰囲気にしたり、多大な貢献をしている。それらの曲をライヴの臨場感を重視して、時間をかけず、一気にレコーディングしたんだ。予算がなかったこともあるけどね(笑)。

──どんなサウンドを志しましたか?

ヴィヴィアン・キャンベル:1980年代当時と同じ、ライヴ・フィーリングのあるアルバムにしたかった。最近のアルバムはすべてが過度に圧縮されて、窮屈な気がするんだ。いかに曲や演奏が良くても、耳が疲れて、聴く気がなくなってしまう。俺ももう若くないし、オールドスクールで暖かみのあるサウンドにしたかったんだ。


──デフ・レパードのアルバムが緻密な音作りで作られている反動もあるのでしょうか?

ヴィヴィアン・キャンベル:うん、それは確かにあるだろうね。デフ・レパードの顕微鏡で覗き込むような、緻密なアルバム作りとは正反対で、新鮮な気分だった。デフ・レパードに加入したのは25年ぐらい前(1992年)だけど、まだ5枚しかスタジオ・アルバムを出していない。だからフラストレーションが溜まることもあるんだ。もちろん、それが彼らのやり方だということは納得しているし、実際どのアルバムも素晴らしい仕上がりなんだけどね。

──ジェフ・ピルソンをプロデューサーに迎えたのは何故ですか?

ヴィヴィアン・キャンベル:1984年、ディオの『ラスト・イン・ライン』に伴う北米ツアーで、サポートがドッケンだったんだ。それでベーシストだったジェフと友達になった。それ以来の付き合いなんだ。彼はディオに在籍したこともあるし、このバンドのことをよく知っている。まだあまりプロデューサーとしては知名度がないけど、俺たちは信頼していたよ。彼はバンドのベストな部分を引き出してくれたし、エンジニアとしての技術も持っている。彼は特にアンドリューのヴォーカル・プロデューサーとして見事な手腕を見せていた。ジェフ自身もフォリナーで忙しいけど、次のアルバムも彼とやりたいと考えているよ。

──アルバムで弾いたのはシリアル・ナンバー“72987537”のギブソン・レスポールだそうですが、いつから弾いているのですか?

ヴィヴィアン・キャンベル:15歳のときに買ったんだ。年上の友人に保証人になってもらって、1年半肉体労働のアルバイトをして月賦を払ったんだよ。スウィート・サヴェイジ時代はこのギター1本しか持っていなかったし、毎日ずっと眺めていたから、シリアル・ナンバーを覚えてしまったんだ。1980年代半ばになって、シャーヴェルのストラトを弾くようになったけどね。デフ・レパードの『スラング』(1996)ツアーの頃からレスポール回帰が始まって、『X』(2002)を出した後の北米ツアーでこのギターも2、3回弾いたことがあったけど、どうもしっくりしなかったんだ。でもラスト・イン・ラインでの活動を始めるにあたって、また弾いてみた。ディオ・ナンバーにピッタリで、そのまま使うようになったよ。ジミーも『ホーリィ・ダイヴァー』で弾いたヤマハのベースを引っ張り出してきたんだ。

──ラスト・イン・ラインとしての再来日ライヴを楽しみにしています。

ヴィヴィアン・キャンベル:うん、俺たちも『ヘヴィ・クラウン』の曲とディオ時代のナンバーを日本でプレイしたいよ。ただ次回はジミーも一緒に来て欲しい。『ラウド・パーク13』でのショーは楽しかったけど、100%とはいえなかったんだ。ジミーはもう1年半ぐらいクリーンでいるし、素晴らしいベースを弾いている。次回の日本公演では、完全体になったラスト・イン・ラインをお見せするよ。

残念なことに、ヴィヴィアンがいう“完全体となったラスト・イン・ライン”のライヴを見ることは、永遠に不可能となってしまった。だがジミーは半世紀にわたる輝かしいキャリアを総括する『ヘヴィ・クラウン』を遺してくれたのである。



取材・文 山崎智之
Photo by Ross Halfin


【メンバー】
ヴィヴィアン・キャンベル(ギター)
ジミー・ベイン(ベース)
ヴィニー・アピス(ドラムス)
アンドリュー・フリーマン(ヴォーカル)

ラスト・イン・ライン『ヘヴィ・クラウン』

【初回限定盤CD+DVD/日本盤限定ボーナストラック追加収録/歌詞対訳付/日本語解説書封入】3,800円+税
【通常盤CD/日本盤限定ボーナストラック追加収録/歌詞対訳付/日本語解説書封入】2,700円+税
1.デヴィル・イン・ミー
2.マーター
3.スターメーカー
4.バーン・ディス・ハウス・ダウン
5.アイ・アム・レヴォリューション
6.ブレイム・イット・オン・ミー
7.イン・フレイムス(ボーナス・トラック)
8.オールレディ・デッド
9.カース・ザ・デイ
10.オレンジ・グロウ
11.ヘヴィ・クラウン
12.ザ・シックネス
13.ヘヴィ・クラウン(アコースティック・リミックス)*日本盤限定ボーナス・トラック
【DVD収録内容】*日本語字幕付き
・ザ・ラスト・イン・ライン・ストーリー
・ザ・ソングス
・72987537
・「デヴィル・イン・ミー」ビデオクリップ
・「スターメーカー」ビデオクリップ

◆ラスト・イン・ライン『ヘヴィ・クラウン』オフィシャルページ