【インタビュー】nano.RIPE、尊くて幸せなのに切ない永遠の愛を歌ったシングル「ライムツリー」

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2月24日に2016年第一弾となるシングル「ライムツリー」をリリースするnano.RIPE。2015年はメジャーデビュー5周年のアニバーサリーイヤーということで、47都道府県を回るワンマンツアー<47.186>やベストアルバム『シアワセのクツ』のリリースなど、区切りの年となった。新章突入の作品ともなる今作では2015年に培ったバンド感を前面に打ち出したサウンドを聞かせる。ヴォーカルのきみコが新作について語る。

◆nano.RIPE~画像&映像~

■「生まれ変わってもあたしはバンドをやるのか!?」とか
■そういうことも歌詞に盛り込めたと思います


――「ライムツリー」は2015年の5周年イヤーがあけて、第一弾のシングルですね。アニメ『最弱無敗の神装機竜』のエンディング主題歌でもありますが、楽曲はどんな風に作り上げたんですか?

きみコ:nano.RIPEとしてはいろんなアニメに関わらせていただいているんですけど、実は『最弱無敗の神装機竜』のようなタイプのアニメは初めてなんです。ファンタジー要素のあるバトルもので、ちょっとセクシーな描写もあったりする作品なんですが、世界観としてはわからない部分も多かったんです。アニメの制作側の方も、“nano.RIPEの好きなように書いてください”ということだったので、原作のことはあまり気にせず書きました。


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――生まれ変わってもまた一緒にいようとか、永遠の愛が描かれていますね。「ライムツリー」って、別名・リンデンとも言う植物の名前で、花言葉は「夫婦愛」じゃないですか。後からこの花言葉を知って、なるほどなぁと思いました。

きみコ:ササキジュンが曲を持ってきた時に、仮タイトルで花の名前がついていたんです。でも、調べてみたら、その名前はジュンの覚え違いでそんな名前の花は存在していなかった。その名前をネットで調べていた時に、花言葉のサイトにたどり着いて、「ライムツリー」という言葉にたまたま出会って。その花言葉が「夫婦の愛」だったんです。

――そこから歌詞を広げたんですね。

きみコ:はい。どうしてそういう花言葉なのか、より深く調べていったらギリシャ神話が元になっているらしいんです。その話がすごく素敵で、それをテーマに書きました。

――そのギリシャ神話は夫婦のお話しなの?

きみコ:そうです。ギリシャ神話の神、ゼウスとヘルメスが貧しい旅人に姿を変えて人間界に降りてきたんですが、誰も泊めてくれなかったのに、ある老夫婦が貧しいながらも最高のおもてなしをした。それに神々は感動して、「褒美は何がよいか」と尋ねたんですね。その老夫婦はお互いの死期が近いことを悟っていたんですが、死によって離れ離れにならないようにというお願いをしたんです。死期が来た時、お互いの姿が木の形になって、寄り添いながら永遠に今も大地に根を下ろして立っているという話なんです。

――素敵な神話ですね。歌詞にも「木々になって立ち尽くそう」ってありますが、これも神話からなんですね。

きみコ:はい。この曲を描いていた時期に、たまたま「輪廻転生とは……!?」みたいなことを単純に考えていて。あたし自身、もともとスピリチュアルな人でもないし、死後の世界も信じていないんです。死んだら「無」だと思っているので。それでも、「もしもあたしにチャンスがあったら」とか、「生まれ変わってもあたしはバンドをやるのか!?」とか、いろんなことを考えて。そういうことも歌詞に盛り込めたと思います。

――「きみがノドを痛めなくて済むような」って歌詞とかはまさにそうですね。

きみコ:もう完全に自分のことですよね。これは2015年のツアー中に考えていたことなんです。楽器のメンテナンスとか体調管理はもちろんメンバーは各々してるんですが、その中でも、あたしの場合は一番替えのきかないパートですから。今の時期だと予防接種を受けていてもインフルエンザにかかったりしますよね。いつも「喉が乾燥しないように」とか体調のことを気にして暮らしていて、朝起きた時に自分の第一声がちょっとでも違うと「アレッ?」って心配になる……そういう日々がずっと続いてて。だから、それを気にしない人生ってどんななんだろう?って思うんですよ。

――なるほど。

きみコ:バンドをやる前はそんなこと気にしていませんでしたが、もうその頃のことを忘れちゃった。自分でヴォーカルっていうパートを選んだのに、メンバーにも「みんなはいいよね」って言っちゃったり、「生まれ変わったらあたしはドラムをやるんだ!」とか、好き勝手なことを言うんですけど、結局は「生まれ変わってもヴォーカルやるんだろうな」って(笑)。

――この曲って、永遠の愛っていう尊くて幸せなことを歌っているのに、切なく感じてしまうのもいいところだと思うんです。

きみコ:この歌詞をベタベタのバラードに乗せちゃったら気持ち悪いくらいの綺麗ごとに聞こえてしまうと思うんです。「ライムツリー」の花言葉が「夫婦愛」って知らずに歌詞だけ読むと、現世では結ばれない二人が最終的に選んだのは無理心中だった……というような悲しい歌にも受け取れると思うんです。その辺が、アレンジやサウンドによって「どっちなの!?」ってところに落ちたのが良いなと思います。

――そうですよね。結ばれないから早いところ来世に行って、再会しましょうっていう風にも聞こえるんですよね。

きみコ:うん。こんな曲を歌いながらも、いまだに来世があるだなんて信じてはいないんです(笑)。あたし自身、努力家ではないので、すぐに甘えちゃうんです。自分で「ここまで」って決めてしまうと、そこまでしかやらないんです。だから、あたしの中での三大タブーがあるんですけど、「疲れた」「忙しい」「頑張ってる」は日常生活で言わないようにしてるんです。

――1人でいる時も?

きみコ:はい。「あたし、今日頑張った~」って言うことによって、疲れちゃったりもしますよね。だから「言わない」って決めないと頑張れないんです。「来世がある」という考え方も同じで、「次がある」と思っていると、現世もうまくいかない。

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