去る2月3日、PATAが大腸憩室炎及び門脈血栓症の診断を受け、緊急入院していることが発表された。合わせて、3月12日に予定されていた英国でのウェンブリー・アリーナ公演、及びニューアルバムの発売延期も明らかとなり、YOSHIKIからは、悲しみで心がいっぱいながらファンを悲しませてしまうことへの心咎めとともに、さらに強くなって復活することを約束するという強い決意をコメント・メッセージに寄せていた。

ドキュメンタリー映画『We Are X』のプレミア公開、ウェンブリー・アリーナでのロンドン公演、ニューアルバムのリリースといった一連の大イベントが延期となり、一旦予定が白紙となってしまったX JAPANだが、今現在はどのような状況下にあるのか。すでに存在自体がドラマのようなX JAPANだが、2月末に帰国していたYOSHIKIにコンタクト、多忙を極める合間を縫って緊急インタビュー決行に成功した。


──2月3日のPATA入院のニュースは衝撃でした。

YOSHIKI:はい。そもそも僕たちは、昨年の日本ツアーの間もずっとレコーディングをやっていたんですね。アルバムの発売日は決まっていたので、締め切りまでできる限りのことを演ろうと最後のこだわりの部分で「もう一曲増やしたい/増やしたくない」「アレンジを変える/変えない」みたいなことをやっていたんです。そういう中で「ミュージックステーションスーパーライブ2015」や「NHK紅白歌合戦」の出演オファーを頂いて、それは凄く嬉しかった。普通の口コミとはまた違うところでX JAPANを披露できる機会を頂けたから。そこにもエネルギーを注ぎながら、レコーディングを行い、合間を縫ってロサンゼルスに行ったり来たりを繰り返していたので、相当限界は来ていたんです。僕は紅白が終わってすぐ元日からロサンゼルスに戻って、同時にウェンブリーの準備も行っていたから。LEDのセットとか演出に関することも含めて。そして間髪入れずにToshIやSUGIZOも渡米して最後のアルバムの仕上げに向けて動いていたんです。その後はロンドンでのプロモーション活動の予定だった。

──過密なスケジュールですね。

YOSHIKI:さらに、そこにもうひとつ加わったのが、米サンダンス映画祭で映画『We Are X』がノミネートされてしまった(結果:ワールドシネマドキュメンタリー部門の最優秀編集賞を受賞した)という情報だった。

──おめでたい話ですが。

YOSHIKI:はい。でも「そこ(授賞式)にはいけないな」って言ったら、映画関係者から「(ノミネートされることが)どれだけ凄い事なのかわかっているのか?」って言われて。

──怒られた(笑)?

YOSHIKI:ええ、「アカデミー賞と同等のインパクトがあることなんだ」「歴史的なことなんだ」と。「レコーディングなんかどうでもいいから、まずはこっちを優先してください」って。で、僕も「え?いやいや、ウェンブリーがあるし、レコーディングもある。今はそれが一番大事だ」って譲らなかったんですけど、でも(授賞式に)行かないという選択肢はあり得ないということだったので、怒涛のスケジュールの中に、サンダンス映画祭関連のものも入ってきた。もちろん非常に光栄な事ですし「では全てやります」と。

──<サンダンス映画祭>ではパフォーマンスも行ないましたよね。

YOSHIKI:4日間ほど参加したんですが、「パフォーマンスして欲しいと言われること自体が、どれだけ光栄なことなのか分かってるんですか?」とアメリカのエージェントに言われまして。

──またお叱りを受けて。

YOSHIKI:はい。その後自分でも、それがどれだけ光栄なことなのかを学びましたけど。そういう話があって、全てを全力で行おうと向かっていた矢先…、PATAが倒れた。

──…


YOSHIKI:ちょうどToshlもSUGIZOもロサンゼルスにいて、怒涛のレコーディングを繰り返していたところだった。ウェンブリーの件を話し合いながら、映画祭をどうしようかと頭を悩ましているところに、その情報が飛び込んできた。「え?」ってとにかく驚いたけど、その時はまだPATAは集中治療室に入っていたから、連絡もつかず。

──それが1月の中旬ですね。

YOSHIKI:もう、僕も訳がわからなくなっていた。やっとPATAのスタッフとしゃべれて病態だけは確認できた。その後、PATAと会話できるように状態になった時に、彼は何と言ったと思います?「ウェンブリーに行く」「ウェンブリーで死んでやる」って言うんです。

──え?

YOSHIKI:それを聞いて、僕は言葉を失った。ほんとにPATAはそこに行って最期を遂げるつもりでいたんです。でもね「ウェンブリーは最後じゃなくて始まりなんだから」と話をした。その後メンバーともミーティングをして、PATAの健康状況を再優先しようと決めた。PATAは「そんな重要なスケジュールをずらせるのか?」っていうんです。でも僕は「今までも、そういうこと、あったじゃないか」っていう話をした。とにかくPATAにプレッシャーを与えたくなかったし、ゆっくり治して欲しかったから、スケジュールを全て延期したんです。

──納得です。苦渋の決断ですが。

YOSHIKI:「ウェンブリーで俺は死ぬ」という言葉を聞いた瞬間に、こうなったら自分で全ての責任を負う覚悟で日程をずらすしかないと思った。もうね…これ以上メンバーを失いたくない。

──PATAらしい発言だとも思います。

YOSHIKI:どう考えても動ける状況じゃないのに、そう言っていたから。PATAにとってもウェンブリーというのは憧れの場所でもあるので。


──結果、ウェンブリーでのライブとアルバムリリースは延期になってしまいましたが、その点に関しては文句をいう人は誰もいませんよね。

YOSHIKI:それに対しては、本当にファンに対してお礼を言いたい。約束を守れなかったことで総攻撃を受けるだろうと覚悟をしたし、そこは受け止めるしかないと思っていたから。なのに、ファンの人たちや周りの人たちは、細かい事情は言っていないのに「YOSHIKIさんの決断なんだから、X JAPANの決断なんだから、そこには理由があるんでしょう」と受け止めてくれた。

──ファンに救われた気持ちだったでしょう?

YOSHIKI:いや、逆にプレッシャーにもなっているかもしれない。でも、感謝の気持ちでいっぱいです。

──今のPATAの状態はどうなんですか?

YOSHIKI:この前会ってきましたが、その時は大きな手術を控えている状況でした。その手術も順調に行きました。また近々会いますけど、でもね、PATAもさすがX JAPANにいるだけあって、精神的にはものすごく強い人です。彼は、弱いところを見せない真のロッカーですよ。

──伊達にX JAPANをやっていない、というわけだ。

YOSHIKI:ほんとにそうです。尋常じゃないですよ。実はね、PATAを含めメンバーも相当疲れきっていたところもあるんです。紅白歌合戦の当日も朝までスタジオに入っていて、徹夜状態で演っていたんです。どこかで誰かが倒れるかもしれない、みたいな超過密なスケジュールをこなしていたところだったので。

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YOSHIKIも満身創痍だが、何よりも「ウェンブリーで死ぬよ」というPATAの発言に大きな衝撃を受けたという。そこまでコンサートを重く見ていたPATAの気持ちを思い知ると同時に、何より今までX JAPANについて回ってきた「メンバーの死」というものを、もう払拭したいという思いが強い。

「まあ自分自身も限界に来てます。でも、背負っているものが大きいので、今は倒れられないです。一段落したらどっかで勝手に倒れると思います」とYOSHIKIは笑顔を見せてくれたが、X JAPANの今後に関しても「多分みなさんが思っているよりも早く出ると思います。アルバムや映画以外にも動いていることが色々ありますので、総合的に考えてX JAPANのアナウンスは早めにできると思います」と、力強いメッセージを残してくれた。

そんな多忙を極めるYOSHIKIは、米国時間3月18日サウスバイサウスウエスト(SXSW)からの熱烈なオファーを受け、テキサス・オースティン、パラマウントシアターにて大規模なソロパフォーマンスを行う事が正式に決定した。

取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也

ファンへのメッセージを含めた緊急インタビューの全貌は、あわせてYOSHIKIモバイルで公開される予定となっている。


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