その歌声は、風に舞うしなやかな花びらのようであり、凛と咲く花の孤高さをも感じさせる。2015年夏にニンテンドー3DSソフト『ファイアーエンブレムif』テーマ曲「if~ひとり思う~」でデビューを果たした蓮花は、鮮烈な歌声でメディアの注目を一気に集めた。しかし自身が表舞台に出ることはなく、素顔は神秘のヴェールに包まれたまま。彼女を取り巻く状況と話題が加速度的に膨らんでいった。

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蓮花が3月9日、TVアニメ『薄桜鬼~御伽草子~』テーマ曲となる2ndシングル「Don’t Cry」をリリースする。そして彼女は今、穏やかに語り始めた。自身の過去・現在・未来について、作詞を手がけた3曲について、そこに込めた想いについて。BARKS初登場となるインタビューをお届けしたい。

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■逆に自分は歌手にしかなれないと思っていました
■歌うこと以外の仕事をする能力が自分にはないって

──インタビューは慣れましたか?

蓮花:まだ3回目ぐらいなんですけど、話していると“自分はこんなことを思ってたんだ?”って知ることができるので、取材していただくのはありがたいです。ありがとうございます(笑)。

──いえいえ(笑)。歌詞を読むと、蓮花さんって繊細で、生きることが決して上手じゃない方なのかな?って思ったんですが。

蓮花:その通りでございます(笑)。歌を歌いたい、ライヴをしたい、人に出会いたいと思って歌っているのに、その一方で、人に見られるのが恥ずかしい、人前が苦手、コミュニケーションが上手じゃないとか、真逆なところがあって。そんな私がシンガーという、すごいお仕事をやらせてもらっているなって思います。

──もともと小さい頃から詩を書くことが好きだったんだとか。

蓮花:はい。小学校1~2年の頃に父と本屋さんに行ったとき、「好きな本を買ってあげる」って言われて自分で選んだのが、金子みすゞさんの詩集『私と小鳥と鈴と』だったんです。

──金子みすゞさんは、大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した日本の童謡詩人ですが、どこに惹かれたのでしょう。

蓮花:紫色の表紙に黄色の小鳥がポツッと居る絵に惹かれて選んだんです、あまり深く考えずに。けど、家に帰ってパッと本を開いたらちょうどそこに、“みんなちがって、みんないい”っていう詩が載っていて。それを見た時に“あ、違ってていいんだ”って救われた気持ちになったんですよね、子供ながらに。それまで“自分は人と違う……”ってことをずっとマイナスに感じてたから。

──小学校低学年ですでにアイデンティティを意識していたわけですね。

蓮花:そこから自分でも詩を書くようになって。みすゞさんの真似じゃないですけど縦書きをしてみたり、メモ帳に書いてみたり。その日あったことを……たとえば、今日は道でお花を見たとか、友達とちょっと笑えたとか、毎日3つぐらいずつ書いていました。

▲2ndシングル「Don't Cry」初回盤

──当時、蓮花さんはどんな子供だったんですか?

蓮花:みんなが笑ってるときに“何がおかしいんだろう?”って思ったり、誰かが「こうしよう!」って発言して、他の子が「うんうん」って言ってるのを見たときに“この子は無理に合わせてるんだろうな”って思ったり。すごく醒めてる部分がある子供でした。自分もみんなに合わせられたら上手に生きられたのかなって思うんですけど、違和感があれば“違う”って言うほうだったし。なんでこんなに生きづらいんだろうっていうのは、ずっと思ってましたね。

──音楽を好きになったのは?

蓮花:小学校4年生のときの担任が音楽の先生だったんですよ。その人がすごく愛情深い先生で、音楽の授業中に「もっと大声で歌って!」「笑って! 笑ったら可愛いんだから!」とか、心を閉ざしてた私に集中的に接してくれて(笑)。そういうところから少しずつ心が開いていって、歌うことも楽しくなったんです。あと、英語の授業で来ていた外国の方がすごくオープンに話しかけてきてくれたり。たとえば、「その靴、かわいいね」とか。そういう海外の文化に触れて、“私はそっちの文化のほうが心地いい”って(笑)。英語の授業でカーペンターズを歌ったりしたんですけど、それも本当に楽しかったですね。

──その頃から歌手になりたいと思うように?

蓮花:そうですね、小学校を卒業するぐらいには歌手になりたいと思っていました。金子みすゞさんの詩に出会ったときは、詩人とか作家とか書く人になりたいと思ってたんです。でも、担任の先生や外国の先生と出会ったことで、“感情をもっと声や顔に出していいんだ”と思うようになって。中高生のときは逆に自分は歌手にしかなれないと思っていました。歌うこと以外の仕事をする能力が自分にはないって。

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