【ライブレポート】ダウト「9年経っても、俺たちの居場所はここしかない」

ツイート

『心技体』を引っさげて1月からスタートした全国ツアーを無事に完遂したばかりのダウトは、自身の9執念(周年)を祝うべく3月4日、5日に東京・LIQUIDROOMで<ダウト自作自演。祝9執念ツーデイズ公演。「華のゴールデン祭」>を開催。9年前、正式に活動がスタートした日である3月4日にワンマンライブを執り行なった。一体何を観せてくれるのか、何が起こるのか、期待で胸をいっぱいに膨らませて会場へ向かった。

◆ライブ画像(全7枚)

私がダウトと初めて会ったのは2015年の秋、直人(Dr)が加入して初のシングル「恋ができない」のインタビュー時だった。彼らは衣装を着てメイクを施していたのだけど、その姿に圧倒されたことを鮮明に覚えている。その風貌に対して、などという単純な話では無い。彼らが放つ特有の雰囲気に飲み込まれるような不思議な感覚だった。それから冬にアルバム『心技体』のインタビューを経て、今回ついにダウトのライブを観る機会が訪れたのである。

オープニング映像が流れ、1曲目は「SAKURAリフレイン」。ミドルテンポにのせて美しいメロディが紡がれ、しっとりと進行していく演奏にオーディエンスはじっと聴き入っていたのだが、続く「シャングリラ」のイントロが流れると同時に無数の腕が上がり振り付けが始まる。前後に動く広げられた手のひらは桜の花びらが舞っているようで、「SAKURAリフレイン」を受けたことにより開花したのだと、そう思わせられる光景だった。

「今日も好きにやっちゃってください!」幸樹(Vo)が煽ったことで、さらにフロアの揺れが激しくなっていく。「ダァァティィ・ロマンチッカァァ」で鳴り響くエレクトロかつ攻撃的なサウンドに対して巻き起こるのは、柵が折れそうなほどの激しいウエストバンギングの応酬だ。



もちろん、彼らが観せてくれるのは表面的な激しさだけではない。「おねだり」で玲夏(B)が弾き続ける物悲しいリフの引き込み力と、薄暗い照明のなか怪しく光を発するアンプとが相まって思わず息を飲んだ。「SM」では楽曲が進行していくにつれて感情が爆発、直人が立ち上がってドラムを叩く姿を筆頭として、メンバー全員がトランス状態に陥ったかのようなその迫力に、ただただ圧倒されるばかりだった。先述のインタビューの際、「「SM」はダウトっぽくない曲だけど、そこがいい」とメンバー間で話したというエピソードを語ってくれたのだが、ツアーをまわったことでたくさんの経験を得たのであろう彼らは、そんな“らしくない曲”を完全にモノにしたのだなと悟った。

「OH!MATSURI MONSTER」では玲夏がサンバホイッスルを吹き、威吹(G)がスネアを、ひヵる(G)がタムをそれぞれチョイスして打ち鳴らし、曲名どおりのお祭り騒ぎに。「あったまってきたか? もっとこいや!」と会場をさらに挑発すると、煽り曲の「フラッシュバック」で、バンド側とオーディエンスのどちらが先に潰れるかを競い合うような、凄まじい勢いでぶつかり続ける両者。玲夏がペットボトルの水を喜々としてぶちまけ続ける表情もさることながら、幸樹の「よくできました」の一言には背筋がぞくりとした。本編ラストに披露されたのは「国立競技党」。メンバーは、背負った照明の明かりに負けないくらいの輝きを放ちながら全身全霊のパフォーマンスで本編を締めくくった。



衣装チェンジをして登場したアンコールのMCで、本編は“いま”のダウトを届けるためのセットリストであり、アンコールは9年間を振り返るためにこれまでリリースしたすべてのフルアルバムから1曲ずつ選曲したと説明。この一年は山あり谷ありが激しかったと正直な気持ちを吐露するも、みんな(ファン)と乗り越えられたことで今後はどんな谷でも越えられそうだと力強く宣言した。

そして、突然流れた夏ツアーの告知VTRにオーディエンスが熱狂するとすかさず「花咲ビューティ」を投下。会場全員での大合唱に玲夏が感極まり、涙ながらに伝えた「今年も一緒にいっぱい遊びましょう」というメッセージはきっとその場にいた全員の胸に突き刺さったことだろう。

全21曲を観終えたとき、本稿で一番始めに綴った、彼らの持つ雰囲気に圧倒されたという事実を思い出した。どうやら、あの感覚は間違いでは無かったようだ。

「9年経っても、俺たちの居場所はここしかないし、みんなの居場所も俺たちはここに作っておくつもりなので、これから先どんなことがみんなにあったとしても、ここだけはみんなの居場所であってほしい」──幸樹(Vo)


text:BARKS編集部(高)

■セットリスト

SE.青天ノ霹靂
1.SAKURAリフレイン
2.シャングリラ
3.サテライトTV
4.Mr.JAP
5.ダァァティィ・ロマンチッカァァ
6.TAXI
7.おねだり
8.SM
9.華麗なる外道
10.OH!MATSURI MONSTER
11.53
12.DANCE NUMBER
13.綺麗事
14.フラッシュバック
15.国立競技党

EN1.心技体
EN2.万國、大東京
EN3.SUNRISE
EN4.MUSIC NIPPON
EN5.飛行少女
EN6.花咲ビューティ

この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス