【インタビュー】J、ライヴ映像作に「手を伸ばせば仲間がいる特別な空間」

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■考え尽くしたことを超える世界は絶対にあって
■俺の経験では、それは衝動がみせてくれる

──今も『PYROMANIA』収録曲がセットリストに組み込まれていることが、何より、そのことを証明していますよね。

J:そう。だけど、最新アルバムの『eternal flames』にはそこから積み重なっていった音、時間、ドラマ、ものすごい経験の数々がなければ辿り着かなかった世界があるわけで、たくさんの冒険の日々を経た先の世界を見せたいと思ってレコーディングに向かっていったわけで。激しいもの、勢いだけのものは十分やってきた。今は自分のすぐそばにある感情を歌にしてもロックできるし、スローな曲であったとしてもメロウな曲であったとしても変わらない熱量を込めることができる存在でありたかった。それは新しいスタートだったし、“俺ってこういうヤツなんです”っていう名刺の再プレスっていうのかな(笑)。そういうアルバムを作りたかった。

──だから、『eternal flames』からを第2章と定義付けているんですね。ということは『PYROMANIA』からの日々というのは、『eternal flames』に辿り着くまでの過程ということになる?

J:その瞬間瞬間を全力で走ってきたから、簡単には過程という言葉に置き換えられないけれど、時間の積み重ねが俺をここまで導いてくれたし、突き動かしてくれたよね。それと『eternal flames』を制作している時期にLUNA SEAの25周年という節目があって、それも俺自身にいろいろなことを考えさせてくれた。毎週末、ソールドアウトの会場に当時と何も変わらずステージに立って、いろいろなお客さんが観に来てくれる中、だからこそ自分たちが立つべき場所や向かうべき先を感じたよ。そうすることによって、自分個人の佇まい、鳴らすべき音も浮き彫りになったと思うんだよね。

──LUNA SEAの全国ツアーとソロアルバムの制作が同時進行する中、相互作用があったということですか?

J:節目が重なったのは偶然だったけど、今思うと俺をさらにタフにしてくれた1年だったなと思う。

──『PYROMANIA』にもある意味、そういう相互作用があったわけで、そこは偶然とはいえ。

J:不思議ですよね。自分自身、いちベーシストとして、いち人間としても、よりシンプルになってきていると思うんですよ。必要なものと不必要なものがハッキリと見えている。そんなタイミングを切り取ったのが今回の映像作品で、自分自身にとっても大きな意味を持つものになったと思う。

──実際、ライヴ映像には瞬間瞬間を燃やし尽くしてきた生き様が表れているし、どのジャンルを探してもこういうベーシストであり、ヴォーカリストはいないと思うんですよ。自分の特殊性についてはどう思っていますか?

J:ベースに関してはバンドを始めたときからだけど、歌はソロからスタートしたので、“自分のヴォーカルスタイルって何なんだ!?”って模索していた時期もあったし、限界まで出来ることを理解した上で、俺の音楽は声、曲、歌詞、自分の考え、ベースサウンドの全てがパズルのように組み合わさったものになっているから、自分では自然なことだけど、確かに特殊だとは思うな。自分なりのメソッドでやってきたからね。ただ、ひとつのロールモデルとして希望を与えられることにはなってるんじゃないかって。

──希望はすでに与えまくっていると思います(笑)。

J:ははは。“アイツにだってできるんだから、俺にもできるだろ?”ってさ。

──いやいや。ベーシストに限らず、他のパートの人からもリスペクトされていますので。そういう存在はなかなかいないですよね。

J:だとしたら本当に嬉しいですね。曲もそうだし、言葉もそうだし、スタイルも、もっと言ったら俺の存在もそうかもしれないけど、全てが何かのキッカケになってもらえたら俺は最高にハッピーだし、今回の作品を観て“ライヴ凄ぇな”“盛り上がってるな”と思ってくれるだけでもいい。

──インタビュー映像でも自分の中には対極のものが存在していると話していましたけど、まさにそうなんですよね。レコーディングでは完璧主義者かと思うぐらいに緻密だけど、ライヴではそれを爆発させるというか。

J:そこはずーっと昔から。考えられることは考え尽くしたい人間なんですよ。緻密と言えば緻密なのかもしれないけれど、考え尽くしたことを超える世界は絶対にあって。俺の経験では、それは衝動がみせてくれる世界なんですよね。少なくとも自分の経験値では前例がない景色。でも、そこに行き着くためにも考えることを止めたらダメだと思う。それはただの怠慢。「考えたらわかるでしょ?」って言うような簡単な答えをほしいわけじゃない。考えても考えても出てこない答えの先に、自分が望んでいるものがいつもあったから、そういうバランスは無意識にとってるのかもしれない。

──そのバランス感覚ですよね。衝動だけで突っ走ってきたら、どこかでバタッと倒れちゃったかもしれない。

J:ははは。そうだね。まだそれが美しかったらいいけど、醜かったらイヤじゃないですか。すべてを裏切ってしまうことになるから。そこまで責任は持ちたいよね。だとしたら衝動的になるために全ての用意はしたい。

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