震災は多くの命を奪うもので、どれだけ備えていても逃れられない場合もある。だからこそ、今ある自分の命、周囲の命を大切にしたい。でも、肩に力を入れすぎてしまっては日々の暮らしを謳歌することができないので、適度に、適当に、自分のできること、やりたい事をしっかりと実行していこうというのが震災から学んだことでした。

■311を考えるキーワード、「命」と「絆」

命に関しては、震災当時、子を授かることを願っていたものの、なかなか思い通りにはならないことを痛感する日々を送っていましたが、現在は5年前にはなかった子の命の存在に喜び、尊び、向き合う事でこれまで思い及ばなかった事に気づき、新たなものの側面を知り学ぶ毎日です。

そして、絆。困難な場面に出くわした時、手を差し伸べてくれる人がいるという安心感は計り知れません。繋がっていたい人には自ら付き合いを深めるようにもするようになりました。そして、自分がきっかけで誰かと誰かをつなぐことができるのであれば、その努力は惜しまずやると決めています。

さて。このように自分のこと、当たり前のことしかできていない私とは大きく違い、多くの方々が他のために復興活動に命を注がれています。無論、税金などを詐欺する輩や火事場泥棒は論外ですが、仕事、ボランティア、どのようなスタイルであれ、復興に携わる心ある全ての方を尊敬し、感謝しています。

その中のお一人であり、仕事仲間でもある守矢努さんも福島に笑顔を作る活動をされています。

■ステンシルで福島に笑顔を


守矢さんとの出会いはマネージャーをしていた頃に遡ります。前回のコラムで触れた、プロデューサーの亀田誠治さんの推薦により、当時担当していたミュージシャンのアートワーク全般を牧鉄馬さんにお願いすることになった時、牧さんの当時のパートナーであった守矢さんに出会ったのがきっかけで、数枚のシングルと1枚のアルバム制作現場でご一緒しました。多くの音楽作品を手がけていらっしゃるので、あなたのCDラックにも守矢さんが携わられた作品があるかもしれません。

その守矢さんと15年ぶりに再会したのは、昨年ライブに行った時のこと。その際、最近はステンシル・ワークに力を入れているということをお聞きしていました。その後、昨夏のFUJI ROCK FESTIVALでも再会。

Candle JUNEさんに賛同、活動を共にされていて、ピラミッドガーデン内でステンシルのワークショップを開いていると聞き、フーファイ終わりの深夜、Tシャツを持ち込んで型を選び、世界に一枚しかないフジロックTシャツを作ってもらいました。

目の前で行われたステンシルとは、その出来上がりのオシャレ感とは裏腹の、かなりアナログなアートワークだったので「これ、大変! 手間じゃないですか?」という私に、「手刷で行うものは1枚1枚風合いが異なるからこそ面白いし、カスタマイズも多様にできるんだよ」と笑って答えてくれました。

今年の311、守矢さんは福島にある南一丁目仮設住宅にてステンシルサービスを行ったそうです。ステンシルでつながった守矢さんと福島に住む人たち、最高の笑顔ですよね。



福島は震災ではなく、原発から生まれた人災被害の地。私たち日本人には震災と区分けして考えなければならない問題が山積みのままです。難しい状況に不可抗力で置かれてしまった方々の心が一時でも軽くなること、そして1日も早く日常を取り戻せるようなケアを東電と政府が遂行することを願ってやみません。

私の今年の311の過ごし方のハイライトは、日本の音楽ギョーカイをリードする2つの会社をつなぐために動いていたことです。どちらも長年お付き合いのあるクライアント。両社を結び、ワクワクするようなことを作り上げて多くの音楽ファンに知らせたいことがあるので、みんながハッピー、私もハッピー、これを読んでくださっているあなたももしかしたらハッピーという展開を起こせるように力を注ぎます。

最後になりましたが、震災で亡くなられた方のご冥福を心よりお祈りし、行方不明の方がご家族のもとへお戻りになれるよう、そして、大切な人を失った方の心が少しでも回復されるように願っています。



Photo:守矢努(ILA.STENCIL SERVICE)、dorami


◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】