2010年3月にアルバム『BASARA』でメジャーデビューして以来、リリースした作品はすべてクラシックチャートで1位を獲得してきた、3人組のアコースティック・インストゥルメンタル・ユニット、TSUKEMEN。2本のヴァイオリンとピアノというクラシックの楽器を使いながらも、彼らのレパートリーはクラシックにとどまらず、映画音楽、ジャズ、アニメソング、ゲーム音楽、そしてオリジナル楽曲と実にボーダーレスだ。ジャンルを超えて音楽ファンを楽しませてくれる彼らの真骨頂がもっとも発揮されるのはライヴ。ステージでは、音響装置を使わず、楽器本来が持つ倍音のダイナミクスを伝える。そんな「生音」にこだわり抜く彼らに、ソニーのハイレゾICレコーダー「ICD-SX2000」を体験してもらい、その使用感を伺った。

■TSUKEMENのライブをICレコーダー「ICD-SX2000」で録音
■音の輪郭がはっきり聞こえるハイレゾの魅力に驚き



▲ソニー ハイレゾICレコーダー「ICD-SX2000」
アーティストにとって、録音機材は必需品である。ライヴのリハーサルや本番の模様を録音して自分の演奏のチェックをしたり、フッと浮かんできたメロディを録音したり。TSUKEMENの三人は、「スマートフォンを使うようになってからは専用の録音機材ではなく、ボイスメモ機能で録音することがほとんど」という。確かに、スマホのボイスメモ機能は手軽で便利だ。しかし、音質もそれなり。耳の良い彼らは、当然、そのことは十分承知で使っている。リハーサルやライヴなどをスマホで録音して聴く時もそれを考慮し、「この狭いスタジオだったらこれくらいだろう」と、自分の耳で補完して聴いてるのだそう。

そこで、ソニーのハイレゾICレコーダー「ICD-SX2000」と使い比べてもらおうと、取材の数日前に「ICD-SX2000」を渡し、実際に使ってもらった。彼らが「ICD-SX2000」でまず録音したのは自分たちのライヴの模様。早速、その音源を取材場所のスタジオのスピーカーで再生してみると、その音は会場の空気をそのまま再現しているかのような臨場感で室内に広がった。メンバーも驚きの表情を見せる。

TAIRIKU:こういう風に塊で飛んでくる音を普通のレコーダーで拾うと、音が団子みたいになっちゃうんです。でも、「ICD-SX2000」はピアノの中音域も聴き取れる。音の輪郭がシャープに聞こえてきますね。普通のレコーダーだと、音が圧縮された感じがするんですけど、そういう感覚はまったくなく、音の輪郭とか音像がハッキリしていて驚きました。スマホで録ると、空間があまりうまく使えていない感じになってしまうので、良い意味での臨場感が生まれない。素人臭くなっちゃう感じがしちゃうと思うんですけど、そういうところがすごくちゃんとして聞こえますね。


▲写真左より:KENTA、SUGURU、 TAIRIKU。

この音源を録音した場所をたずねると、コンサートホールの上手脇にある花道のようなところだという。決して録音に最適な場所とは言えない環境だ。

SUGURU:あんな端っこで録った音がこんな風に聞こえるなんてすごい! 演奏って、ホールで聴くと上手く聞こえるというライヴマジックのようなものがあると思うんですけど、真正面から録っていないのにそれをちゃんと拾ってくれて、うまく録音されていますね。上の音域ばかりが録れて、下はカットされてしまう録音器が多い中、低音までしっかり録れているのはすごい。

KENTA:このホールは千人以上が入るホールなので、ステージとの距離感はどうしてもあるけど、その空間は感じつつも音が近く感じますね。それがちょっと不思議。聴きやすいですね。

■ハイレゾ録音だけではなく
■ハイレゾ音源の再生力にも長けている


自分たちのライヴを録音した音のクオリティに感嘆しきりの三人に、今度はハイレゾ対応のヘッドフォンを使い、「ICD-SX2000」にあらかじめ保存してあったハイレゾ音源を聴いてもらう。視聴したのは、弦楽器の繊細な旋律が特徴的なヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲「四季」より「春」だ。再生された途端にその音に引き込まれる三人。


KENTA:なるほど……。僕は、音質にこだわっていない音源は無意識に俯瞰して聴いてしまうんです。でも、「ICD-SX2000」で聴くとグッと主観的になって引き込まれる。少し大げさかもしれないですけど、人の感情って年齢を重ねると鈍くなってきます。でも、こういう良い音を聴けば、細胞が生き返る可能性があるかもしれないですね。感動が手ごろに手に入る。コンサート会場にワープしたような気持ちになります。

TAIRIKU:その理由は……人間の感覚って結構鋭いので、一度生の音を聴いてしまうと、録音したものとの間に臨場感の隔たりを感じてしまいがちだと思うんです。「ICD-SX2000」で聴くと、自分が覚えている生で聴いた時と近い感覚で聴けるので、その場で聴いているような錯覚をしてしまうんでしょうね。チェロの人が外した音までも拾えてしまうくらいクリアに聞こえました。ミスもクリアにわかってしまうような精密さがある。

三人ともポータブルプレイヤーで音楽を持ち出すことはあまりしないという。TAIRIKUのみが唯一、移動中にスマホで音楽を聴くことがあるとのことだが、ハイレゾ音源を意識的にダウンロードして聴いたことはない。しかし、「ICD-SX2000」で再生された音を聴き、自らが初めてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(世界最高のオーケストラと評される)の演奏を聴いた時に受けた時に衝撃と同じ感覚になったという。


TAIRIKU:どんなオーケストラでも、曲の中で勢いのあるところはすごく迫力があるんですけど、ベルリンフィルの場合は迫力だけでなく、ピアニッシモの音や繊細な部分がズバ抜けて良いという印象があるんです。同様に「ICD-SX2000」も、他のレコーダーと比べて、感度とかちょっとした繊細な部分がズバ抜けていますね。ヴァイオリン弾きでも、普通の人と超一流の本当にすごい人って、何が違うんだろうなと思うことがあるんです。それは、ほんのちょっとしたフレーズの納め方だったり、丁寧さなんです。超一流の演奏家の場合、そういう部分が素晴らしい。音が移り変わっていくんですよね。「ICD-SX2000」でハイレゾ音源を聴けば、そういう微細な変化も逃さず聴くことができそうですね。

また、SUGURUは、1年ほど前にイスラエル出身の世界的な名ヴァイオリニストであるイツァーク・パールマンの演奏を聴いてヴァイオリンの音色に開眼。それ以来、自身の担当楽器はピアノでありながら、ヴァイオリンの音色にはこだわりがあるという。そんな彼の耳にも「ICD-SX2000」で聴いたサウンドは心地よく響いたようだ。

SUGURU:低音が音量の大きさで浮き出るのではなく、ちゃんとクリアに聞こえる。ひと味違いますね。しかも、普通にエアーを通して聴くよりもそばで演奏しているような感じがします。

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