1976年にパンクがイギリスの地で生まれてから40年という月日が流れた今年、ロンドンでは行政支援のもと、パンクが影響を与えたファッション、映画、写真、デザイン、文学、そして音楽に関するギグや展示会、イベントが1年を通して「PUNK.LONDON」と題し開催されています。

開催発表されているのは18のイベント。ROCKARCHIVEの創設者であり音楽カメラマンのJill Furmanovskyが所有するThe Buzzocks、The Clash、The Sex Pistols等のPUNKにまつわる作品が展示中の「ROCKARCHIVE'S A CHUNK OF PUNK」や、「ROUGH TRADE 40TH ANNIVERSARY EVENTS」としてROUGH TRADEが運営するお店や会場などで催されていることに驚きはありませんが、見方によっては“普通じゃないもの”も中にはあるようです。


例えば、現在、ロンドン博物館で開催中の4人のタトゥー・アーティストと彼らのスタジオがフューチャーされた「TATTOO LONDON」。イベント概要には「タトゥーを彫るということはPUNK同様にロンドンの最も影響力あるサブカルのひとつであり、PUNKとタトゥーは長い間切り離せない関係」と記載されています。

日本では、東京五輪を前にして外国人受け入れに関する懸念事項の一つに挙げられているタトゥー。こうも違うかといった捉え方ですが、どちらがいいとか悪いとかの問題ではないだけに相互理解が難しいテーマなのでしょう。

実際に我が家のイギリス人はそのタトゥーのせいで温泉はいけませんし、ジムの入会を断られたこともありました。入会を許可された場合でも、プールはダメ、トレーニングルームはタトゥーを隠すことを条件とされていました。こうした不便は若干あるものの、生活に支障をきたすことはありません。これまでの職場では隠すように指示されることが殆どのようですが、文化的思想の相違と本人も納得しているので問題ないようです。

そしてもうひとつ。18あるイベントの最後に「JOE CORRE BURNS HIS PUNK STUFF」とあるのに注目しましょう。

ことの発端は「PUNK.LONDON」が開始されて間もなく2か月が経過しようという3月16日に、ピストルズのマネージャーMalcolm McLarenとデザイナーのVivienne Westwoodの息子であるJoe Corréが出した声明でした。

その内容は行政が仕掛けた「PUNK.LONDON」そのものにケチをつけ、Sex Pistolsが‘Anarchy in the UK'をリリースしたのと同じ11月26日に、自身の所有する8億円越えのPUNK関連のコレクションをPUNKやROCKの聖地であるロンドン市内のカムデンで焼き払うことで「PUNK.LONDON」に抵抗するというもの。

ちなみに、そのコレクションは2010年に他界した父Malcolmが所有していたAnarchy in the UK'のアセテートを含むテスト用プレスや伝説の両親の店『SEX』のドアノブなどだそうで、ファンにはたまらないとかいうレベルを超えて、音楽史的な損失になる代物のはずなので危惧せずにはいられませんが、相反して、これぞPUNK! これぞ、イギリス人!とも感じ入ってしまう久々に笑えるこのニュースですが、ここで終わりではありませんでした。

Joeがお宝を燃やすぞ宣言後、「PUNK.LONDON」は公式サイト上でその宣言を「PUNK.LONDON」イベントの一環としてシレっと掲載した上、そのニュース記事へのリンクを平然と貼るという、行政もまた、これぞイギリス!という期待以上の神対応をしたのです。日本では考えられないこのようなやり取りさえもがPUNKですね。


◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】