【インタビュー】gibkiy gibkiy gibkiy、「傷で言えば、血だらけでベトベトなものがいい」

ポスト

■自分が担当しているものを使って
■その時の気分を演るというだけの話

──aieさんやkazuさんは、これまでやってきたバンドとは違った脳みそを使っていますよね?

aie:即興性が高いですからね。もちろんリハもやりますけど、そこへ向けて入念な準備を重ねるバンドではないんです。その日その日で、何かを構築しようというバンドなので、他のバンドとは違うけど。でも、しんどいとかではないんですよ。

kazu:うん。それはないですね。

sakura:これは俺個人の想いになっちゃうんだけど、アルバム『不条理種劇』が2月24日にリリースされて、今、ちょうどツアーリハ中で、4月16日にワンマンも控えている。そういう状況のなかで、ちょっとかしこまってる自分がいるかもしれない。というのも、音源で、“gibkiy gibkiy gibkiyとはこういうものです”というフォーマットを提示してしまった以上、まったく白紙だったものから、こんな彩りの絵、というものを見てもらうことになったわけで。今は音源を聴いてもらって、その後のライヴまでの準備期間だったりするから、音源に沿わせる必要はないんだけれども、ある種の再現性は、少し考えちゃっているのかもしれない。まぁ、それもライヴをやってしまえば、杞憂に終わるんだろうけど。

──ちなみに今日の取材の前にもスタジオに入っていましたよね? そこでの感触はいかがでしたか。

aie:まず曲を忘れているので(笑)。それを思い出す作業ですかね。何を弾いたか覚えてないですもんね、レコーディングで。

kazu:完パケした後に家で聴くじゃないですか。自然と、自分はこの曲で何を弾いていたんだろうなって感覚で聴いているんですよ。去年は、そういう作業自体がまったくなかったので、そこは違うかもしれないですね。

sakura:そうそう。これが仮に、音源出してとかワンマンがあってという建前がなければ、忘れたら忘れたで新しいものにすればいいじゃんっていう発想だったと思うんですね。今はそうじゃないんですよ。忘れたのをちょっと取り戻そうかっていうのもあって。いいのか悪いのかわからないけど、今までとは違うところではあるという。

──ある程度の曲のキメみたいなものは、作品を聴いている人もライヴで観たいところでもあるでしょうし。このバンドならではの即興的な面白さも観たい。その両方の期待値が、ライヴでは相当に高いと思います。

sakura:別にお客さんに媚びを売るわけじゃなくて、こちらが提示したアルバムや曲のムードを満たした上でのプラスアルファを返してあげたいなと思うんですよね、ライヴに来る人には。

aie:ライヴの1曲目とかは、何にもないその場の空気でインプロ演奏を始めるんですよ。ただ、放っておくと我々長いんですね(笑)。それを5分くらいやっちゃうこともあるので。俺が、そろそろ次の曲にいかないとなって思ってると、kazumaさんが歌いはじめちゃって。あ、これはもうちょっと続けてみようとなっていったり。

kazuma:気持ちいいんですよ(笑)。

aie:そういうものが派生して次の新曲になる可能性もありますしね。僕らは覚えてなくても、意外とkazumaさんが覚えていて。「前の岡山でやった1曲目、カッコよかったじゃん」って言われるんだけど、何やったっけな?っていうようなことがあったり(笑)。

▲kazu (B)

──先ほどkazumaさんから、「キーワードを投げて」という話がありましたが、曲をつくる時は何かイメージを投げかけるんですか。

kazuma:キーワードというのは、とりあえず音出してっていうことで。

sakura:取材だから、それをわかりやすくキーワードという言葉に置き換えただけであってね。

kazuma:何か音で喋ってということなんです。

sakura:その時の気分を、自分が担当しているものを使ってやるというだけの話なんです。

kazuma:エゴイスティックに言ったら、その空気感が好きなんですよね。だから、これ、みんなも好きだろうって思うんですけど(笑)。

aie:4人がいて、何をするでもない時間になんとなく弾いたギターで、kazumaさんが歌ってきたら、「あ、はじまった!」という感じ。

──その場で浮かぶ言葉だったり、旋律の感じだったりするんですね。

kazuma:シンクロするみたいな感じですね。みんな、合わせるということではないんですよ。だから終わりがまったく見えない時があったりする。sakura君の太鼓にしても気持ちいいので、やっていて気づいたら、aie君とkazu君のふたりがステージにもういないとかもあったり(笑)。

aie:僕らは終わって、ステージを降りちゃってる(笑)。

sakura:それでも別にいいやっていうかね。例えばイベント出演なら、ここからこの時間帯は好きに使ってくださいというもので。“はい、この時間になりました、本番です”っていう時から、すべてが始まっている。それこそドラムに座る前からね。で、出した音がなんなのか、そういうことでいいかなっていうね。

◆インタビュー(4)へ
◆インタビュー(2)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報