東京都の桜の開花宣言を聞いたあとの3月25日(金)、東京・芸術劇場プレイハウスにてKREVAの音楽劇『最高はひとつじゃない 2016 SAKURA』(音楽監督:KREVA、原案:町田誠也、脚本:野村昌史、馬場巧、演出:野村昌史、田村淳史、馬場巧)がついに開幕。それに先駆けて公開舞台稽古が行なわれ、稽古後には今作の舞台のなかで誕生したユニット“ウチクレバ”のメンバーである主演の内博貴とKREVA2名が揃って記者会見に応じた。

◆『最高はひとつじゃない 2016 SAKURA』 舞台画像

舞台を見終わった後、会場を出た人々が目にするのは偶然にも敷地内で花を咲かせていた桜の木。“SAKURA”をテーマにしたこの舞台を見終わった後は、開演前とは違い、散っていく桜の花びらを見ているだけで泣きそうになるぐらいこみ上げてくるものを感じ、舞台のなかで励まされ、背中を押された数々のラップが思い出される。そして、舞い散る桜の花は、終わりじゃなく、始まりを意味するんだということを再び心のなかでかみしめる……。


KREVAの楽曲で全編が構成される日本初のラップ音楽劇『最高はひとつじゃない』は2011年に初演を迎え、2014年に再演、今回はさらに“新作”へと姿を変え、笑いも涙も感動もメッセージもさらにパワーアップして帰ってきた。ラッパー、歌手、俳優、ダンサー、DJとストレートな舞台ではありえないようなさまざまな分野で活躍するプレーヤーが集結するのはKREVAの音楽劇の特徴。新作は、いつの間にか傍観者ではいられなくなる「青年」を演じる内と、それをやさしく、冷たく、力強くそばで「見守る謎の男」を演じるKREVA、常に問いかける形で存在し、物語全てを「見守る謎の女」を演じる小西真奈美が中心となって、SAKURAをキーワードにしたオムニバスストーリーを演じ上げていく。

劇中は何度も時代背景が移り変わっていくのだが、その軸にはKREVAの音楽があり、それがプレーヤーたちのラップ、セリフとなって、何度も何度も人々の背中を押し、悩み、もがき、立ち止まっても、最後には腹をくくって顔を上げ、少しだけでも前に進めるための勇気を与えていく。この舞台には、そんな強いメッセージが込められているのだ。

公開稽古後の記者会見はKREVAと内が出席。今作で初めてラップをする内は、1カ月前の制作発表時「3点ぐらい」と自己採点していたラップについて聞かれると「2点! いろいろ経て」とさらに低い点数を即答、笑いを誘った。それに対して「3点のラップは卒業したんですよ。内君しかできないラップを作ってきたんで既存の基準で測ったらそうかもしれないけど舞台では100点に近いことをやってます」とKREVAがスマートにフォローし、こんなところでも“ウチクレバ”としてのコンビネーションよさを見せつける。

本番中は“ウチクレバ”としていくつか見せ場があり、内のダンスシーンが見られる名曲「BESHI」の2人のラップ、さらにはKREVAがこのユニットのために書き下ろした新曲「SAKURA、ひらり。」も物語の大事な場面で披露された。


さらに、舞台の見どころを聞かれるとKREVAは「ラッパーが他のラッパーの曲をラップするのも面白いですし、ミュージカル女優がラップするのも面白いですし。プラス、物語には僕の歌詞が散りばめられているので、僕の曲を聴いてきた人たちはサウンドトラックのように聞こえるところも面白いと思います」と伝えた。本職がラッパーであるKREVAとMummy-D(RHYMESTER)が、ライブばりの熱量で毎回ぶつかり合うラップバトルはこのシリーズのテッパンシーン。今作はそこにさらに演技バトルも加わっているので、そこにも注目してもらいたい。



また、今回初出演となるもう1人のラッパー・AKLOは、風変わりな天才坊主をシリアスに熱演。ミュージカル女優・綿引さやか演じる庭屋の娘とのラブラインで観るものをキュンキュンさせながらも、あの「基準」をKREVAとラップするシーンでは、いまにも火花が飛び散りそうなぐらいの熱気あふれるバトルを見せる。


さらに、出演者に対して話が及ぶと、今回の舞台で容赦なく笑いと感動をあちこちで巻き起す超重要人物にして、毎回セリフをアドリブで勝手に変えるという自由人(笑)、ブラザートムの話題に。内が「だから、特にトムさんのシーンは僕、超集中してますよ」と明かすと、KREVAは「みんな、それに対応できてるところがすごい。(本の)内容が入ってないと対応できないですからね」と出演者をたたえた。


また、ラップも問いかけのセリフもエンジェリックボイスで特徴的なスタイルを醸し出していた小西に関しては「すごくいい。あの人が喋るだけで空気が変わるから」とKREVAも絶賛。また、その小西がKREVAの楽曲に合わせてバレエを披露するシーンも見どころだ。

劇中ではKREVAのライブさながらのレーザービームが飛び交い、KREVAのライブでおなじみのDJ・熊井吾郎も舞台横でサウンドを作る。果たしてこれはライブなのか、舞台なのか。まさに、その両方を満たしてくれるのがKREVAの音楽劇。内は「こんなの日本で初! やってるとエンタテインメントなお芝居とライブがフュージョンされてるみたいな感覚なんですよ。だから、新しいことやってるなってすごい感じてます」と出演者ならではの感想を熱くコメント。「だから、お客さんも観ていて立ちたくなったら立て、騒ぎたくなったら騒げばいいと思うんですよ。お芝居になったらまた座ればいいんだし。ラップもみんな楽しんでやっているので、たくさんの方に観てもらいたいです」と付け加えた。続けて、KREVAも「誰も見たことがない、楽しみ方も決まってない新しいことなので、みなさんが劇場に観に来てくれてそこでこの舞台は完成です。ぜひ、劇場にいらしてください」と話した。

KREVAの音楽劇『最高はひとつじゃない 2016 SAKURA』は4月3日(日)まで東京芸術劇場プレイハウスにて開催される。期間中には、4月から新生活を迎える方々を「“ウチクレバ”が応援します」ということで、3月30日(水)、31日(木)、4月1日(金)のみ<SPECAL DAY-ウチクレバスペシャル〜あなたのそばで咲き誇る〜>と題して、スペシャルな演出が行われるので、こちらも楽しみにしていてほしい。そして、そのあと舞台は4月8日(金)から4月10日(日)は場所を大阪・森ノ宮ピロティホールに移して開催される。HIPHOPと演劇? ラップする舞台? なにそれと思っている人はぜひとも足を運んで、KREVAの音楽とスピリットが詰まったこの音楽劇を体感してみてほしい。

取材・文◎東條祥恵

KREVAの新しい音楽劇 『最高はひとつじゃない 2016 SAKURA』

■東京公演
会場:東京芸術劇場プレイハウス
公演日程2016年3月25日(金)~ 4月3日(日)14回公演

■大阪公演
会場:森ノ宮ピロティホール
公演日程2016年4月8日(金)~ 4月10日(日)5回公演

入場料:
一般指定席:9,500円(税込)/SAKURAシート:2,000円 (税込)
※SAKURAシートはセットの都合上、若干見づらいお席になっております。
※未就学児の入場はできません。