【ライブレポート】佐野元春、ツアー千秋楽で「35(周年)とか60(歳)はただの数字だ!」

ツイート


佐野元春の35周年アニバーサリー・ツアーの最終公演が、3月27日(日)に東京国際フォーラム ホールAで行われた。BARKSでは、オフィシャルから届いたレポートをお届けしたい。

◆佐野元春 ライブ画像

  ◆  ◆  ◆

1曲目は1982年リリースのサード・アルバム『SOMEDAY』に収録された「シュガータイム」。いきなりの80sナンバーに、オーディエンスは総立ちとなり、リアルタイム世代のファンのハートを鷲掴みにする。

このツアーのメンバーは、これまで佐野元春を支えてきた80年代のTHE HEARTLAND、90年代のTHE HOBO KING BAND、00年代のTHE COYOTE BANDからの選抜ミュージシャン9人で構成されるTHE COYOTE GRAND ROCKESTRA。「昔の曲から今の曲まで、今夜はたっぷり演奏しますから楽しみにして下さい!」と佐野が言うように、35年を支えた熟練のメンバーによる、35年間の軌跡を辿るオールタイム・ヒット編成。しかもアルバムに収められたアレンジに近い形で演奏されるので、ファンは大喜び。中盤は2000年代にリリースしたアルバム『Blood Moon』、『ZOOEY』、『COYOTE』、『THE SUN』の曲に、90年代に発表したアルバム曲を織り交ぜながら、徐々にデビューした頃へと遡るように演奏が続いていく。



中盤パートの最後では、自身の出発点でもある35年前の横浜のサンドイッチ屋で演奏していた話や、お客さんがほとんど居なかった新宿ルイードで毎月演奏していた頃のエピソードを披露。「いつかどこかでボクの曲を、みなさんが見つけてくれたおかげで、こうして僕はここに立てています。ここまでサバイバルしてきた事をみんな誇りに思ってくれていいよ! ここにこうして集えるのは奇跡だと思います!」と長い間応援してくれてきたファンに感謝の思いを語り「色々な思いを込めて次にこの曲を!」とアコースティック・ギターに持ち替え「ジャスミン・ガール」を噛み締めるようにじっくりと歌う。

コンサートはいよいよ終盤のコーナーに差し掛かる。「ここから、みんなと一緒に一気に80年代に戻ろう!」と佐野のかけ声と共に始まったのは「ヤングブラッズ」。イントロが鳴った瞬間に会場はドゥーッと湧く。続いての「約束の橋」では、堰を切ったように大声で泣き出しながら歌う人が続出し、最後の“ラララ”では全員で大合唱。

「これまでたくさんの曲を書いて来ましたが、その中でもこの曲は特別な1曲です」と歌ったのは「サムデイ」。サビでは全員が拳を振り上げての一緒に歌い広い会場がひとつになる。続いては8分超にも及ぶ壮大なナンバー「ロックンロール・ナイト」、次の「ニューエイジ」では、歌詞の“星屑みたいに降ってくる”に合わせ天井からは無数の紙片が舞い降り、場内は一変して幻想的な世界に。本編最後は「ものごとに終わりがあれば、必ず始まりがある。ボクの場合の始まりはこんな感じ!」と佐野が赤いストラトキャスターをジャーンとかき鳴らして始まったのはデビュー曲の「アンジェリーナ」。オーディエンスも、この瞬間を待ってたとばかりに大爆発。国際フォーラムが揺れんばかりの盛り上がりを見せ、巨大なロックンロール・パーティー会場となった。



アンコールは、みんなが大好きな懐かしの80sナンバーの連打。ここまでで既に3時間近くが経過しているが、佐野のパワーは全く衰えを知らず、観客はノックアウト寸前。そんな場内の空気を察してか、セカンド・アンコールでは、デビュー前の16歳の頃に作ったという「グッドバイから始めよう」を佐野自身がキーボードを弾きながら静かに歌い綴る。この緩急具合が絶妙で、続いては再びバンド・メンバーを呼び骨太のロックンロール・ナンバー「国のための準備」を豪快に演奏。35周年アニバーサリー・ライブは、まだまだこんなもんじゃない。「僕はテレビよりラジオが好き。ラジオはボクの友達でした。ラジオの持ってるポテンシャルはまだまだ大きいと思う。」とラジオ愛を語って「悲しきレィディオ」へ突入。ステージを右へ左へと縦横無尽に駆け回り、スライディングまで見せるほどのパワーを炸裂。さらにメドレーで数曲を歌って会場を湧きに湧かせ、長い時間に及んだロックンロール・ナイトを締めた。

いつまでも拍手と歓声が鳴り止まない会場に向かって「35(周年)とか60(歳)はただの数字だ! 皆さんが応援してくれる限り、僕の情熱が失せない限り、これからもたくさんいい曲を書いて行きます!」と深々とお辞儀をして全35曲、3時間30分のステージを降りた。昨年12月に京都でスタートした全国11ヶ所12本の佐野元春の35周年アニバーサリー・ツアーは、25000人を動員し、この日千秋楽公演を終えた。

撮影:アライテツヤ/(C)DaisyMusic

  ◆  ◆  ◆

<佐野元春 & THE COYOTE GRAND ROCKESTRA 35周年アニバーサリー・ツアー>
2016年3月26日&27日 @東京国際フォーラム ホールA

[演奏曲目/収録アルバム]
01.シュガータイム (『SOMEDAY』/1982)
02.優しい闇 (『Blood Moon』/2015)
03.ジュジュ (『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』/1989)
04 VISITORS (『VISITORS』/1984)
05.カム・シャイニング (『VISITORS』/1984)
06.ワイルド・ハーツ-冒険者たち (シングル/1986)
07.バルセロナの夜 (『Heart Beat』/1981)
08.すべてがうまくはいかなくても (『FRUITS』/1996)
09.ポーラスタア (『ZOOEY』/2013)
10.君をさがしている (『Heart Beat』/1981)
11.希望 (『THE SUN』/2004)
12.境界線 (『Blood Moon』/2015)
13.La Vita e Bella (『ZOOEY』/2013)
14.バイ・ザ・シー (『Blood Moon』/2015)
15.紅い月 (『Blood Moon』/2015)
16.私の太陽 (『Blood Moon』/2015)
17.東京スカイライン (『Blood Moon』/2015)
18.ボヘミアン・グレイブヤード (『Sweet16』/1992)
19.レインボー・イン・マイ・ソウル (『Sweet16』/1992)
20.誰かが君のドアを叩いている (『Sweet16』/1992)
21.ヤング・フォーエバー (『THE BARN』/1997)
22.星の下 路の上 (『COYOTE』/2007)
23.世界は慈悲を待っている (『ZOOEY』/2013)
24.ジャスミンガール (『TIME OUT!』/1990)
25.ヤングブラッズ (『Café Bohemia』/1986)
26.約束の橋 (『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』/1989)
27.サムデイ (『SOMEDAY』/1982)
28.ロックンロール・ナイト (『SOMEDAY』/1982)
29.ニューエイジ (『VISITORS』/1984)
30.アンジェリーナ (『BACK TO THE STREET』/1980)
〜Encore 1〜
31.スターダストキッズ (シングル/1982)
32.ダウンタウン・ボーイ (シングル/1981)
〜Encore 2〜
33.グッドバイから始めよう (シングル/1983)
34.国のための準備 (『THE SUN』/2004)
35.悲しきレィディオ (『Heart Beat』/1981)〜メドレー
この記事をツイート

この記事の関連情報

*

TREND BOX

編集部おすすめ

ARTIST RANKING

アーティストランキング

FEATURE / SERVICE

特集・サービス