セカオワやPerfumeみたいな声で歌いたい! ボーカル用エフェクトTASCAM「TA-1VP」でカンタンに「ケロケロ」

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「SEKAI NO OWARIやPerfumeの曲で聴ける独特の声はどうやって出してるんだろう?」。そんな疑問を持っている人も多いはず。また、「カラオケであの声で歌えたら楽しいのに!」と思っている人も少なくないだろう。ちょっと知識がある人の中には「あれにはオート・チューンってのが使われてるらしい」「でもパソコン一式揃えなきゃ使えないから無理!」と尻込みしている人もいるかもしれない。しかし、心配ご無用。世の中便利なもので、とってもカンタンに「あの声」が楽しめる機材がある。パソコンも専門的な知識も不要。マイクをつないですぐ「あの声」で歌える。そんな機材を紹介しよう。音楽投稿アプリ「nana」に「いい音」でアップするためにオーディオインターフェイスを揃えたという人も注目の機材だ。

◆「TA-1VP」~画像~

■歌をうまく聴かせるピッチ補正エフェクターが
■生み出した副産物=ロボ声、ケロ声


現在でも多くのヒット曲で聞かれるロボットのような独特の声。その特徴は機械的な音程の変化にある。それを生み出しているのが音程の補正(=ピッチ補正)を行うボーカルエフェクターだ。一般的に使われるのはパソコンで動作するプラグインソフトウェアによるもの。その代表的かつ最も有名なものがAntares社の「Auto-Tune」(オート・チューン)という製品。これを使えばあの声が出せるのだ。

ピッチ補正のエフェクターを使うもともとの目的は、ボーカルの音程を正確にすること。いわゆるオンチな人の歌声もこのエフェクターを使えば、あっという間にうまいボーカルに変身する。この音程を補正する際の速度を極端に速くすることで生まれるのが、ちょっと人間離れした声と、時折発生する「ケロッ」というカエルが鳴いたような音。これが「ロボ声」や「ケロケロボイス」などと呼ばれるものだ。今では「セカオワの声」「Perfumeみたいな声」の方が通りがいいかもしれない。

歌声を自然に聴かせるというソフトウェア本来の目的からは外れた使い方かもしれないが、それをおもしろいと思った人が多かったのも事実。2000年のDaft Punkの「One More Time」のヒット以来、洋楽・邦楽を問わず多くの楽曲で使われ、すでにボーカルエフェクトの定番とも言える地位を獲得している(ちなみに最初に使ったのはシェールの「Believe」と言われている)。

しかし、「Auto-Tune」を使うにはまずパソコンが必要だし、録音・編集のためにオーディオインターフェイスやDAWソフトも必要になる。購入金の工面はもちろん、それぞれの機材・ソフトウェアの操作を覚えるのも大変だ。一から環境を揃えるとなると考えただけでハードルの高さにうんざりしてしまう。

しかし、もっとカンタンに「あの声」を楽しめる機材もある。それが今回紹介する「TA-1VP」だ。

■マイクをつなげられるハードウェア板Auto-Tune
■カンタン操作で「ドラゲナイ」



「TA-1VP」はティアックのTASCAMブランドからリリースされているボーカルプロセッサー/マイクプリアンプ。カンタンに言えば、マイクに向かって歌うと「あの声」を出してくれるエフェクター、「Auto-Tune」のハードウェア版だ(内蔵されるのは正確には「Auto-Tune Evo」というバージョン)。これさえあれば、パソコンなしでリアルタイムにピッチ補正が行える。

「TA-1VP」の何が便利かと言って、まずマイクを直接つなげられること。高品位なマイクプリアンプ内蔵で、ダイナミックマイクはもちろん、ファンタム電源が必要なコンデンサーマイクも使用可能。手持ちのマイクをフロントパネルのマイク入力端子(XLR)につっこんで、リアパネルの出力をアンプ内蔵スピーカーなどにつなげば、機材の接続は完了となる。


▲フロントパネルには液晶と操作パネル、値を入力するためのダイヤルが並ぶ。リアパネルの入出力端子は、左からライン出力(メイン/ダブルトラッキング)、ライン入力、MIDI OUT/IN、デジタル出力、フットスイッチ。


▲フロントパネル右端にあるのがXLRのマイク入力(左)。リアパネルには2つの出力とライン入力などが用意される(右)。まずはマイク入力とライン出力のメインをつなげばOK。

続いてフロントパネルのボタンで多少の設定を行う。機能ごとにボタンが分かれているが、最低限必要なのは、MASTERセクションで入力をラインからマイクに変更すること(初期設定ではリアパネルのライン入力になっている)。そして、AUTO-TUNEセクションをONにして、SCALEとSPEEDを選ぶだけだ。


▲フロントパネルのボタンは、左からMASTER、MIC MODELER、AUTO-TUNE、COPRESSOR/GATE、DE-ESSER、EQUALIZER/OUTPUTと機能ごとにセクション分けされている。名称からもわかるとおり、ピッチ補正だけでなく、ボーカルレコーディングに有用な機能が豊富に用意されているのだ。

「SCALE」は歌う曲に合わせて設定する項目。C~Bの12種のキーそれぞれにメジャーとマイナー、そして、クロマチックの全25種類のプリセットを用意。画面上では上の段にキー、下段にメジャーなら「Ma」、マイナーなら「mi」と表示されるので、ダイヤルをぐりぐり回して選べばいい。キーがわからないならとりあえず、クロマチック(画面上ではCh)を選択しよう。


▲スケール設定の例。上段左がクロマチック、右がCメジャー。下段はC#メジャーとCマイナー。使用する音を1つ1つ選択することもできる。

「SPEED」は音程を補正する速度。「あの声」を出したいなら迷わず最速の「0」を選択。自然な音程補正で歌をうまく聴かせたいという人は、効果を確かめながら値を増やしていってみよう(最大は25)。

あとはマイクに向かって歌えば、自分の声が「あの声」になる。「ドラゲナイ」でもなんでも好きな曲を歌って楽しもう。


▲左の図はピッチ補正の概念図(TASCAMの製品ページより)。ピッチ補正が働くと本体のインジケーターが左右に触れる(写真)。オリジナルの演奏の音が低い場合は緑(左)に、高い場合はオレンジ(右)に。

■ボーカルの魅力をさらにアップするダブルトラッキング
■音楽投稿アプリ「nana」の投稿にも!


「TA-1VP」でもう1つおもしろいのが、「ダブルトラッキング」という機能だ。

「ダブルトラッキング」とはレコーディングで使われる、歌や演奏を2回重ねて太く迫力あるサウンドに仕上げる手法またはその効果。通常はまったく同じように2回歌って録音、ミックスするのだが、「TA-1VP」は1回歌うだけ、しかもリアルタイムでこの効果が得られる。

「TA-1VP」のリアパネルにはメイン出力に加え、ダブルトラッキング用の出力がある。ダブルトラッキングをONにすれば、それぞれの端子にピッチ補正処理後の声と処理前の声を個別に出力できるのだ。同じ人の声であっても、補正の前後で音が異なるので両者をミックスすることで声に厚みが出る。ピッチ補正のSPEED、ダブルトラッキングの2つの出力の音量バランスや定位をミキサーで調整するとさまざまな効果が得られるのは思いのほか楽しい。

また、処理前と処理後の両方をミックスしてメイン出力端子だけに出力することも可能。その際のバランスも設定できる。ミキサーなしでも迫力あるボーカルサウンドが作れるというわけだ。

また、「TA-1VP」を使えば、ボーカルを録音&シェアできる音楽投稿アプリ「nana」(ナナ)に、「あの声」+迫力のあるサウンドでボーカルを投稿することできる(本機とiPohneを接続するために別途オーディオインターフェイスが必要)。人とは違った声で投稿したいという人には持ってこいのエフェクターだろう。

「TA-1VP」は今回紹介したピッチ補正機能のほか、コンプレッサー、ノイズゲート、ディエッサー、 イコライザーなどボーカリストならぜひ欲しい機能を多数搭載している。マイクプリアンプは、TASCAMプロフェッショナルデジタルミキシングコ ンソールDM-4800/3200と同等の回路構成を採用する。また、マイクモデラーでさまざまなマイクのキャラクターをモデリングすることもでき、たとえばダイナミックマイクからの入力音に真空管特有の暖かみを付加することも可能だ。マイク録音環境を充実させたいという人もぜひ一度チェックしてほしい。

製品情報

◆TA-1VP
価格:オープン(オンライン価格 37,904円 税別)
発売日:2016年4月下旬


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