【ライブレポート】44MAGNUM、40周年を前に青さを含んだ荒々しさ「蹴り上げるぜ!」

ツイート

結成から39年、メジャーデビューから33年を迎える44MAGNUMのスペシャルライブが4月3日および4日の2日間、Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて開催された。2015年はメジャーデビュー時のメンバーであるPAUL(Vo)、JIMMY(G)、BAN(B)、JOE(Dr)に加え、PAULの実息であるSTEVIE(Vo)を迎え、フルアルバム<ANGEL NUMBER>をリリースするなど、長きに渡り日本のへヴィメタルシーンをリードし続ける彼らは精力的な活動を続けている。

◆44MAGNUM 画像

4月3日(日)、暗転の後に満員のホールに響き渡ったのはデビュー当時を彷彿される「ETのテーマ」だ。このドラマチックなSEを引き裂くかのようにPAULのお馴染みのセリフ、「そろそろ立ち上がらないとお前たちのケツを蹴り上げるぜ!」とのシャウトを皮切りに、「Take Me To Your Heart」が疾走感満載の演奏で披露される。続く「I’m On Fire」ではJIMMYの激烈なギターソロが炸裂。ライブ冒頭からの劇的な展開に大きな歓声が巻き上がる。



「High School Uproar」「No Standing Still」とセットリスト序盤にも関わらず、ライブでの決め曲ともなる高速の楽曲が立て続けに放たれた。JOEの高速ツーバスに導かれるようにステージ前面に躍り出るBAN。“鉄壁のリズムセクション”と称されるこの2人の安定したリズムセクションがあるからこそ、フロントマン3人が自由に躍動できるのである。

「みんなあんまり生で聞いた事が無いかもしれない曲を」とのPAULのMCから演奏されたのは、4枚目のフルアルバム『LOVE OR MONEY』から「IT’S RAINING」だ。バンドがハードロック然とした姿からより大衆性を求めて、音楽的に大きく変貌を遂げつつある過渡期に作られたものではあるが、その楽曲をもさらりとセットリストに組み込むことができるのも、バンドが円熟期に突入した証であろう。


中盤にはスタジオ音源としては未発表の「Ow!」などのレア曲をセットリストに盛り込みながら、JIMMYのフリーキーなギターソロを盛り込んだ「Back Street Derinquent」も披露される。ギターソロの自由度も高く、ステージ狭しと動き回りながらテクニカルな演奏を披露するその姿は流石に一語に尽きる。

BAN作曲のポップなキラーチューン「I JUST CAN'T TAKE ANYMORE」では満員のオーディエンスからも大きなシンガロングが沸き起こった。リリースされた1984年当時のメタルシーンではオーディエンスと共に歌うシーンは珍しくもあった。リリースから30年以上を経てもなお、色褪せずにそのシーンが再現されるのも、カテゴライズに縛られず、自分たちがカッコいいと思うものを貪欲に追及していた彼らならではであろう。

「The Wild Beast」でのJOEの怒涛のツーバス連打は圧巻。要塞の様な吊りシンバル(なんと頭上にセッティングされたクラッシュシンバルは7枚!)を内包するドラムセットから叩き出されるビートは正確無比、かつその激しさからも数多くのフォロワードラマーを生み出している。そして、本編ラストは代表曲「STREET ROCK ‘N ROLLER」をオーディエンスに激しく叩きつけ、大歓声の中、いったんステージを降りた。



アンコールでバンドは2回登場。1度目のアンコールで披露された「Your Heart」のBANのコーラスワークも秀逸であった。BANの完璧なコーラスワークによって、このバンドの楽曲に鮮やかな彩りが増していることは間違いない。この彩りの多さもバンドが長くファンに愛される秘密のひとつなのである。

2度目のアンコールではJIMMYのギターソロを大フィーチャーした「SAD WINGS」(なんとJIMMYは上半身裸に羽のストールと言う出で立ち)に続き、2015年リリースされた『ANGEL NUMBER』のリードトラック「GREED」を矢継ぎ早に叩きつける。そして大ラスには、これを聴かずにこのバンドのライブは終われない「Satisfaction」だ。バンドとオーディエンスが激しいコールアンドレスポンスを交わし、この日のライブの幕は閉じた。なお、翌4日のアンコールでは、なんとLOUDNESSの二井原実がゲストに登場、「You Love Me, Don’t You?」と「Your Heart」を披露していたことも付け加えておきたい。

結成から長き時間を経ようとも、なお青さを含んだ荒々しさをも叩きつける気性の激しさを垣間見せた44MAGNUM。2017年のバンド結成40周年に向けて、今後の活動が楽しみでならない。

取材・文◎加藤龍一

■2016年4月3日(日)@ Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREセットリスト

01 Take Me To Your Heart
02 I'm On Fire
03 UNDER MY SKIN
04 Route 2・4・6
05 High School Uproar
06 No Standing Still
07 IT'S RAINING
08 Love Desire
09 IT'S TOO BAD
10 SOULS
11 Ow!
12 Back Street Derinquent
13 I JUST CAN'T TAKE ANYMORE
14 The Wild Beast
15 STREET ROCK'N ROLLER
encore
En1 Too Vain
En2 Your Heart
En3 SAD WINGS
En4 GREED
En5 Satisfaction

◆44MAGNUM オフィシャルサイト
この記事をツイート

この記事の関連情報