【インタビュー】ファンキー加藤、「ライブの熱量を持ってレコーディングしたいと思って汗をかこうとブースの空調を切りました(笑)」

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ファンキー加藤が初主演を務める映画『サブイボマスク』の主題歌「ブラザー」を表題曲に据えたシングルが、6月8日にリリースされる。“兄弟愛”をテーマに『サブイボマスク』の世界観とリンクさせつつ自らのリアルな心情を描いた「ブラザー」はもちろん、アッパーかつ爽やかな「勇者のうた」と、洗練された味わいの「あの夏のカクテル」というカップリング2曲も要チェック。初体験となった映画撮影の話も織り交ぜながら、必聴といえるニュー・シングルについて、じっくりと話を聞いた。

◆ファンキー加藤~画像~

■「ブラザー」は“兄弟愛”というテーマが出てきた瞬間から
■僕の中でオレンジ色の風景が広がったんです


――新しいシングルの表題曲「ブラザー」は、ご自身が主演された映画『サブイボマスク』の主題歌です。

ファンキー加藤(以下、加藤):「ブラザー」は、映画の撮影を終えて、大分から東京に戻ってきてから作り始めました。映画の挿入歌は撮影が始まる前に書いたけど、主題歌に関しては撮影という未知の世界を垣間見てから作りたいと思ったので。それは、正解だったと思いますね。『サブイボマスク』の撮影を振り返った時に、“兄弟愛”というテーマが浮かんできたから。僕が演じさせていただいた主人公の甚平春雄と小池徹平さんが演じた権助は、実の兄弟ではないけど、それに近い関係性なんですよ。それに、僕自身が3人兄弟の次男坊なので、リアルな心情を描けるんじゃないかなというのもあって。今までタッチしたことのなかった兄弟愛というものをテーマにすることで、「ブラザー」ではまた違う切り口の自分を見せることができたんじゃないかなと思います。


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――先にテーマを決めたということは、歌詞を先に書かれたのでしょうか?

加藤:僕は、曲を作る時はいつも最初にテーマを決めるんですけど、歌詞を先に書く場合もあれば、曲を先に作る時もあって。「ブラザー」は、曲先でした。曲を作りながら、頭の中でなんとなく歌詞も構築していましたけどね。

――「ブラザー」は、レゲェ調の歌中とホーン・セクションを配したモータウンを思わせるサビ・パートのマッチングが印象的です。

加藤:曲調に関しては、“兄弟愛”というテーマが出てきた瞬間から、僕の中でオレンジ色の風景が広がったんです。僕は地元が八王子なんですけど、八王子は「夕焼け小焼け」という童謡が生まれた場所でもあるくらい、本当に夕日がきれいな街なんですよ。で、僕が生まれ育ったのは田園地帯で、川が流れていて、橋が架かっていて、山の向こうに夕日が沈むというような場所だった。それが僕の原風景になっていて、兄弟とのいろんな思い出を頭の中で追いかけていくと、夕焼けのイメージも一緒に浮かんでくるんです。それに、『サブイボマスク』を撮影した大分は僕が生まれ育った場所と似ていたし、映画の中で夕焼けが印象的なシーンがあるんですよ。それで、オレンジ色の風景というものを歌詞だけじゃなくてオケでも表現できたら良いなと思って、Aメロは横ノリのゆったりとしたレゲェっぽい感じにして。そこから、勢いがあって、メロディー自体も強いサビになっていくので、ちゃんとAメロ、Bメロ、サビという風に段階を踏んでテンションを上げていくようにしました。


――流れを作るためにビート・チェンジを活かしていることも絶妙です。歌詞は、どういう風に書いていったのでしょう?

加藤:歌詞は次男坊ならではという感じで、兄に対するコンプレックスが軸になっています。特に、僕の兄は優等生だったんですよ。野球がすごく上手くて中学の時からキャプテンを任されていたし、勉強の成績も悪くなくて。それに比べて僕はちょっとヤンチャで、学校の先生から“加藤家の汚点”という有難くないニックネームをいただいていたという(笑)。それで、本当に「ブラザー」の歌詞にあるように兄貴に負けたくないという気持ちが強くて、髪を染めちゃったりしたんです。ちょっと競い合う方向を間違えているんですけど(笑)。それで、親に怒られる…みたいな少年だった。そういう中で感じていた心情をそのまま書いたから、すごくリアリティーのある歌詞になっています。本当にプロレスごっこをして喧嘩になっちゃったし、負けるのが悔しくて筋トレを始めたのも実話なんですよ。だからね、この曲はまだ兄弟に聴かせていないんです。恥ずかしくて(笑)。

――ええっ? お兄さん、喜ぶと思いますよ。

加藤:だって、サビとか「あなたの側で生きていたから 僕は今日の僕に出会えたんだ」と歌っているじゃないですか。もう、本当に恥ずかしい(笑)。だから、この曲は僕がいないところで聴いて欲しいです(笑)。

――それくらい本当の心情を書いているということはお兄さんはもちろん、リスナーも嬉しいと思います。「ブラザー」の歌唱面に関しては、いかがでしたか?

加藤:歌うにあたって、本当にいろいろなことを考えました。『サブイボマスク』の撮影期間は約1ヶ月間だったんですけど、撮影が進むに連れて、共演者さんも、スタッフさんもみんな含めてファミリーみたいな感じになってくるんですよ。ずっと一緒にいて、撮影中の喜びも、ツラいことも、みんなで分かち合って。で、約1ヶ月の撮影を無事終えると、加藤さん、主題歌よろしく頼みますよとみんなに言われて。それが、プレッシャーだった(笑)。もうね。すげぇプレッシャーなんですよ(笑)。今までもドラマとか、映画の主題歌はやらせていただいたことがあって、もちろんその都度一生懸命取り組んできたけど、ここまで自分が踏み込んで、ここまで沢山の人の想いを背負って曲を書いたことは今までなかったから。だから、「ブラザー」を作るのは結構大変でした。

――普通にタイアップとは、違いますからね。

加藤:そう。そういう想いで曲を書いて、歌に関してはライブさながらの熱量を持ってレコーディングしたいと思って。そのためにはどうしたら良いだろうと考えて、とりあえずブースの空調を切りました(笑)。汗をかこうと(笑)。涼しい中で歌っている場合じゃないなと。実際、映画の撮影は暑かった時期で、みんなで汗をかいて、助監督さんなんかヤケドしているくらい日焼けしているような状態だったから。撮影時のあの熱さを歌に込めたいなと思って、空調を切って歌いました。

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