ステージ別発表で全貌が見えてきた!? 【検証】フジロックが20年愛され続ける理由~見どころアクト編~

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気がつけば暦はもう6月。じんわり汗が滲む陽気からは、夏がすぐそこまで来ていることを感じさせられます。今年で開催20年となる<FUJI ROCK FESTIAL’16>。毎年のことながら、まだ先だと思っていた開催日が、気がつけばもう「来月」となっていて、今年のフジロックに向けてそろそろ本腰を入れての準備を始めなければとソワソワさせられるのが「ステージ別ラインナップ」の発表時期です。今年度は6月3日に発表されました(http://www.fujirockfestival.com/artist/index.html)。

◆<FUJI ROCK FESTIAL’16>出演者ラインナップ

ヘッドライナー発表に次ぐ興奮を味わえるこのステージ別ラインナップが開示されるタイミングにおいては、細かなタイムテーブルはラインナップが出揃ってから発表されるので程良い想像の伸び代は残しつつも、大凡の自己タイムテーブルを組み立てることが可能となりますよね。“俺/私のフジロック”に向けた想像スイッチがロックオンされることに加え、同行予定の友だちや家族と自己タイムテーブル予想をシェアし合うことで、「フジロックまであと少し!」という感覚を抱く人も多いはず。

今回は、先月始まったBARKS編集部企画「【検証】フジロックが20年愛され続ける理由」の一環として、発表されたばかりの「ステージ別ラインナップ」をとくと見つめながら、出演者にまつわる過去の出来事や、今年の注目・予想などを併せて検証してまいりましょう。数の多さから全出演者を追うのは残念ながら難しいので、GREEN STAGE全アクトを順番に、その後でステージ問わずにピックアップしていきます。

  ◆  ◆  ◆


まずは初日、7月22日(金)。
あくまでも現段階での予想になりますが、今年のGREEN STAGEの幕開けはボアダムス[日本]でしょうか。BOADRUMイベントをはじめとする海外での活躍もめざましい彼らはフジロックが富士天神山スキー場で産声をあげた1997年にも出演していましたし、なんだか感慨深いです。

2年ぶりに帰還するビッフィ・クライロ[スコットランド]は、フジロック直前にアルバムを発売するので、新旧織り交ぜて演ってくれるのではないかと期待しています。彼らをまだ1度も観たことがないので今年は絶対観ようと心に決めています。兄弟でバンドというメジャーアーティストは案外多いですが、ここは特別。リズム隊の二人が双子なだけに息がピッタリ合ったステージを繰り広げてくれるのでは。一方、ソロアーティストのジェイク・バグ[英]は、4年前にノエル・ギャラガーやストーン・ローゼズのオープニングアクトを務め、デビューアルバムもUKアルバムチャートで1位を獲得するなど、若き天才として認められています。その特徴的な声に魅力を感じる人も多いはず。

続いては、驚きのフジロック箱バン「ROUTE 17 Rock'n'Roll ORCHESTRA(feat. 八代亜紀、仲井戸”CHABO”麗市、奥田民生、トータス松本)」。そう、何が驚きって八代亜紀の登場でしょう! 今回出演発表で思い出したのが、数年前に<LOUD PARK>であまりにも激しい「雨の慕情」を歌う彼女を観たときのことでした。その辺の下手なロッカーよりも100倍クールですし、彼女以外のお三方もどの曲をどう披露するのかが非常に楽しみなセッションです。

ジェイムス・ブレイク[英]は、幼少期からクラッシックを習うなど、音楽の英才教育を施された過去を持つそうです。繊細で透明で伸びやかなあの声が日暮れ頃にしっとり響き渡るのかなぁ……と妄想するだけで気持ちよくなれてしまいます。そして、初日のヘッドライナーはシガー・ロス[アイスランド]。ここで注目したいのは映像です。映像へのこだわりが半端ない彼らですから、音と共に特有の“神秘の世界”に誘ってくれることは間違いないでしょう。魂を浄化してもらえそうな彼らの音の渦に埋もれ、初日を幸せに終わりたいものです。

続いて2日目、7月23日(土)。
and more表記があるので今後も追加発表があるようですが、今のところのトップバッターはWANIMA[日本]ではないかなと。現在最もチケットが取れないバンドのひとつとして知られていますが、最大ステージのGREENでの登場ですし、これは確実に観ておける絶好のチャンス。トム・オデール[英]はその美声もさることながら、その端正なお顔にも注目してしまいます。デビュー前から本国イギリスでは評価の高かった彼がバンドサウンドを強化した2ndアルバム同様、フジのステージでも厚みのある音を聴かせて欲しいですね。

MAN WITH A MISSION[日本]は、フジ2度目の登場。シーンに登場してまだ6年しか経っていないとは思えないほど、その音と存在感は強烈。オオカミの後、夕暮れ時にはトラヴィス[英]。2008年の出演時には、急遽曲を変更させて「Why Does It Rain On Me?」を演奏し、その時だけ雨がザーっと降ったという伝説を持つ彼らです。どんなに大きな会場でもメンバーが肩寄せ合って演奏する「Flowers In The Window」を今年も聴いてほっこりしたいです。

そして、ウィルコ[米]。アメリカの国民的ロック・バンドが織りなす音遊びのような芸術を大自然の中で聴けることはとても幸せ。もはや安定の気持ちよさを与えてくれること間違いなしでしょう。ベック[米]は初年度の2日目に出演予定だったものの、嵐で中止に。その後2回出演していたものの、しばらく間が空いていました。その間、グラミーを何度も受賞するなど着実にステップアップを重ね、今年は初のヘッドライナーとして苗場に帰還です。

そして3日目、最終日の7月24日(日)。
トップバッター予想は、MARK ERNESTUS' NDAGGA RHYTHM FORCE[独]。紛れも無くフジロックならではのブッキングでしょう。私も初めての出会いですが、“ベルリンに拠点を置くプロデューサー、Mark Ernestus (Basic Channel, Rhythm & Sound) と西アフリカ・セネガルのカオラックのサバール・ドラムの伝承者達による衝撃的なコラボレーション”とあります。大所帯の中にいはセネガルの一流ミュージシャンが含まれ、Mbalax(ジャズ、ソウル、ラテン、ロック等の影響を受けたセネガルやガンビアのポピュラー・ダンス・ミュージック)を代表するミュージシャンやヴォーカリストによって構成されているとのことなので、未知なる世界を見せてもらえるでしょう。

2チェロズ[クロアチア]が世界中で話題になり、日本でもテレビCM等に起用されるなど一世を風靡して5年が経過しました。二人のパフォーマンスは更に進化し続けているようですし、YouTube出身のチェロ・デュオ・ユニットの超絶チェロ演奏を堪能しましょう。ウェールズが生んだバンド、ステレオフォニックス[英]。デビュー20周年の彼らが15年ぶりにフジロックへ帰ってくると訊いて、今年は絶対見逃したくない筆者です。なぜなら、15年前の出演時、その前のパティ・スミスが素晴らし過ぎてお酒をたくさん飲んでしまい、目当てだった彼らを酔いつぶれて見逃すという失態を犯したからです。個人的な思い入れですが、これはフジロックあるあるですよね…?

さて。ここで個人的に一番楽しみな日本のミュージシャンが登場します。そう、Ken Yokoyama[日本]。彼がいなかったら日本のパンク~ロックは違うものになっていたかもしれないし、自身のレーベルPIZZA OF DEATHで公開中のブログには「ヒロトさんとマーシーさんがブルーハーツをやっていなければ、今日のオレはいなかった。それだけ大きな……もっと言うと“絶対的な”存在だ。」と断言しています。そんなリスペクトをし、自身もされる彼にはGREEN STAGEが相応しいし、その姿をこの目で観たい、確かめたいという気持ちです。

過去、フジロックには2004年、2009年に出演しているベン・ハーパー[米]。今回はBEN HARPER & THE INNOCENT CRIMINALS名義での出演です。9年ぶりとなるアルバムを今春リリースしていますが、相変わらずスコーンと抜けたその音は苗場で気持ちよく響くことでしょう。そしてレッド・ホット・チリ・ペッパーズ[米]。腕にギブスをしたアンソニーの姿を観た直後に筆者の連れが失神したという忘れがたい嵐の初年度。あれから20年が経過し、ジョン・フルシアンテはもういないけれど、レッチリが今も存続し、フジロックも継続されていることに一音楽ファンとして心から感謝し、今年も楽しませてもらいます!

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