【インタビュー】ふくろうず「ちがった世界に行ってもらえたら」

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内田万里(Vo&Key)、石井竜太(G)、安西卓丸(B)からなる3ピースバンド ふくろうずが、7月13日にレーベル移籍第一弾アルバム『だって、あたしたちエバーグリーン』をリリースする。

◆「うららのLa」ミュージックビデオ/アルバムジャケット

内田が好む、少女趣味な世界が全面に押し出されたドリーミーなサウンドと、何かをなくしてしまうことを綴った歌詞で構成された今作のテーマは“夜の遊園地”だ。このアルバムを聴いたときに「ほんとに少しでいいので、ちがった世界に行ってもらえたら」と彼女は語る。美しさと妖しさが共存するその場所で、あなたを待つのはどんな物語だろう?

  ◆  ◆  ◆

■コンセプトがあるアルバム、一貫性のあるものが作りたくて

――最新作『だって、あたしたちエバーグリーン』が完成しました。とても濃くて、ファンタスティックな世界観で頭から終わりまでどっぷりと浸かれるアルバムになっていますね。今回はテーマとしたことはどんなことですか。

内田:夜の遊園地っぽいイメージを持って。ドリーミーな感じにしたかったので、聴いていただいてそういう雰囲気を感じとっていただけたのなら、うれしいです。

――その、“夜の遊園地”というのは?

内田:もともとそういう世界が好きなんです。今回は、コンセプトがあるアルバム、一貫性のあるものが作りたくて。どんなテーマにしようって思った時に、ふくろうずというバンドだし、夜っぽいもので……遊園地が特別好きなわけではないんですけど、夜の遊園地って雰囲気がいいし。イメージがわきやすいテーマだなと思ったんです。

――夜の遊園地でも、人のいないような哀愁感のある遊園地ですよね。

内田:じつは最初は、ディズニーランドっぽい感じをイメージしていたんですけど、もともとディズニーランドにあまり行ったことがなかった(笑)。なので、自分のなかにある夜の遊園地のイメージが、人がいないような、しかもそんなに派手じゃなくていかにも潰れそうな、みたいなものに自然となっていきました。

――コンセプトが決まって、最初に作った曲はどの曲なんでしょう。

内田:「白いシャトー」と「メリーゴーランド」はもともとあった曲だったんです。それもあって、夜の遊園地が出てきたのかもしれないですね。最後の「エバーグリーン」という曲もあったんです。「エバーグリーン」は世界が終わるみたいな歌詞の内容なんですけど、遊園地も、閉園する、終わるイメージと繋がるなと思ったし。テーマが決まって意図的に作ったのは、「ファンタジック/ドラマチック/ララバイ」で、それっぽい曲を作ろうと思って作りました。

――「白いシャトー」はまさにこのアルバムのオープニングにふさわしいサウンドですね。華やかなストリングスや管楽器、ピアノの音色が印象的で、物語を幕開ける曲になっている。

内田:これはかなり自分の趣味が色濃く出た1曲になっていますね。そういう意味では、もともとそういうコンセプトに沿っている曲だったんだと思います。

――曲のきっかけはどういうものでしたか。

内田:突然そういう曲のアイディアが浮かんだんです。ストリングスからはじまるんですけど、そのフレーズもパッと思い浮かんだもので。作るのはまったく苦労しなかったですね。わりと全部のイメージが最初からあって。

――フレーズやアンサンブル、コーラスなどにクラシックの香りが色濃いですね。バンドサウンドとのバランスはどのように考えましたか。

内田:すごくクラシックが好きな親だったので、家ではわりとかかっていたんです。クラシックのオーケストラのものを作りたいと思ったというよりは、小さい時から聴いていたものを自然に出したっていう感じですね。

石井:すっとできた曲だと言っていましたが、全体のアレンジを内田が持ってきたこともあり、ギターも全体的にすっとできた曲だなと思いますね。ということは、自分たちっぽい曲なのかなと思ったりします。

内田:わりとロックなギターを入れてもらったんです。ギターが入らないと、しっとりとした、ストリングスの派手なクラシックっぽい曲になっちゃうので。そこをバンドっぽくするためにドラムもしっかりと叩いてもらったし、ギターもエレキギターを弾いてもらいたいなと思っていました。

――バンドっぽさはもちろん、今回はドラムがより出ている。今までになく全体的にビートが意識されているように思うんです。

安西:それはきっと、その人が出てるのかな(笑)。

内田:出てますね。粗野な感じというか。ラーメンとかすごい食べる人で、そういう感じがドラムに出てる。今回のアルバムは、わたしの少女趣味っぽい世界を全面に出そうとしたので、それだけになってしまうと、ウッとなる人もいると思うんです。ドラムの、男らしさというかドラムらしい感じとか、エレキギターが入ることで少女趣味になり過ぎず、全体のバランスがとれたかなと。バンドらしい成り立ちでできていると思います。

――今回、どなたがドラムを叩いているんですか。

内田:友だちを連れてきて、叩いてもらいました(笑)。

安西:今回は、曲作りの段階からかなり一緒にやっているんですよね。4人でせーのでやる機会が前よりも増えているので。そういうのも、バンドっぽさに表れてるのかなって思います。

内田:普段は、ぱいぱいでか美ちゃんのマネージャーとかをやってるんですよ。結構、面白い友だちで。

――安西さん、石井さんは、ファンタジックに、甘くなりすぎないようにと意識する部分もあるんですか。

安西:なろうと思ってなってないんだと思うんですよ(笑)。これでいいのかなっていう気持ちではありますけどね。

内田:わたしがかなり意図的にやって、他の人たちは自分の持っているものを自然に出してくださいっていう感じですね。一応、夜の遊園地というテーマは共有しながら、自然にやってもらいました。
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