【インタビュー】岸田教団&THE明星ロケッツ、オールドスクールなハードロックのリフとモダンなメロディー「天鏡のアルデラミン」

ポスト

■原作を読んでとりあえず1週間くらい寝かせてイメージを固める
■メールを関係者に送ってから3日くらいフワフワと休んで(笑)


――7月20日にリリースされるシングル「天鏡のアルデラミン」を元に、岸田教団&THE明星ロケッツの音楽性について話しましょう。まず、今作の制作は、どういう風に始まりましたか?

岸田:最初は、とりあえずマネージャーから、3月くらいに何かあるかもしれませんというフワフワとしたことを言われていて。1月くらいにTVアニメ『GATE II~世界を超えて~』が出たばかりだったので、僕はこのタイミングでアニメとかはぶっ込んでこないだろと思っていたんですよ。それで、油断していたら3月の20日辺りに、急に「『天鏡のアルデラミン』というTVアニメのタイアップが決まりました」と言われて(笑)。

ichigo:しかも、来月中にデモをくださいという話だったよね?

岸田:そう(笑)。それで原作を読んで、とりあえず1週間くらい寝かせて。そこで大体イメージが固まったので、イメージが固まりましたというメールを関係者に送って、それから3日くらいフワフワと休んでいて(笑)。

ichigo:その時点で10日経ってるけど、大丈夫?(笑)。

岸田:大丈夫(笑)。10日経って自分の中でイメージが完全に固まったので、その後1~2日くらいで一気に形にしました。僕は、曲を作る時は、いつもそういうやり方なんですよ。作業台に向かって考えるんじゃなくて、日々の生活を送っていく中でイメージを固めていって、頭から最後までビシッと見えたら、作業台に向かって1日くらいで全部作る。今回の「天鏡のアルデラミン」も、そうやって作った曲です。イントロは、この間はやぴ~(g)さんがトーキング・モジュレーターを買ったから、それを使いたいなと思って。トーキング・モジュレーターといえばボン・ジョビだから、リスペクトを込めて「It's My Life」のオマージュにすることにして。そういう感じでいくなら、ちょっとLAメタルの要素を入れつつ、でも現代的な雰囲気に持っていこう…みたいな。そういう風に、具体的な仕上がりをイメージしながら作っていきました。


▲「天鏡のアルデラミン」<アーティスト盤>


▲「天鏡のアルデラミン」<アニメ盤>


▲「天鏡のアルデラミン」<通常盤>

――スタイリッシュかつパワフルな楽曲のBメロに、往年のハードロック感のあるユニゾン・リフを入れ込んでいることが印象的です。

岸田:そう。そういう風にしたくて、敢えて入れました。トーキング・モジュレーターをフィーチュアするということは、'70~'80年代のハードロックの世界観が使えるなと思って。ジェフベックとかのイメージがあって、オールドスクールなハードロックのリフがありながらも古臭く感じさせないためにはどうしたら良いかなと考えて、メロディーはモダンなものにしました。

――やりますね。アーティストとコラボした最近のアニメの主題歌は作品とは別のタイトルが多い中、“天鏡のアルデラミン”というタイトルも良いですね。

岸田:いつもそうだけど、話が来てから曲を書くので。今回も「天鏡のアルデラミン」のために書き下ろしたものだから、わざわざ他のタイトルを付けるのは逆に難しいというのがあって。実をいうと毎回違うタイトルを付けようという動きを見せないわけではないんですよ、僕も。違うタイトルを付けるほうが普通だしと思って考えてみるけど、全く思いつかなくて。せいぜい英訳してみたりとか(笑)。でも、そういうハンパなことはカッコ悪いから、もう良いや…みたいになってしまうんです(笑)。歌詞は、『天鏡のアルデラミン』の主人公の内面をイメージして書きました。なので、僕の世界観というよりは、原作を読んだ僕の感想文みたいなものです。

――「天鏡のアルデラミン」の歌詞は、“人生は美しいものではない”ということを歌っていて、“だから、こうしよう”というメッセージの部分がありません。大きく言うと、“いろいろあるけど生きていく”という歌詞ですよね。

岸田:基本的に、うちの歌詞はそこに帰着することが多くて。それなりに長いキャリアの中で、いわゆるリスナーの背中を押すような歌詞は一度も書いたことがない(笑)。

ichigo:私もない(笑)。

岸田:明るく背中を押している曲を聴いて良いと思ったことがないから、書けないんですよね。普通の人がああいう恥ずかしい歌詞を臆面もなく書けるのは、きっと自分が誰かの音楽に背中を押されたことがあるからだと思う。僕は、音楽を聴いて勇気をもらったり、感動したりしたことが一度もないから。好きな音楽が、そういう系統のものではないんです。

――歌詞にもリアルな個性を反映させていることが分かります。それぞれ「天鏡のアルデラミン」のプレイ面に関しては、いかがでしたか?

ichigo:この曲の歌詞は、文章として読むと美しくはない。喋り言葉が多いし、岸田はサラッと歌ってカッコ良くなる言葉を選んでくれないので。最後のほうでも“信じたいものは人間性だ”と言っていて、ここの歌詞なんとかならないのと言ったら、ならないと言われました(笑)。でも、それが岸田の意志だし、原作からのメッセージでもあるから強くは言えなくて。そういう風な言葉をカッコ良く聴かせる必要があって、そのためには普通よりもテンションを“ガッ!”と上げて、説得力を持たせないといけない。この曲は、そういうことを意識して歌いました。

――クッキリとした歌声で、喋り言葉に近い歌詞を歌っていながら聴き心地の好い歌になっているのはさすがです。

ichigo:ありがとうございます。今回の歌は評判が良いんですよ(笑)。自分でもだんだん歌が良くなっていると思うんですけど、昔は偶然できていたことが意図してできるようになったというのがあって。それは、身体を鍛えたり、走ったりするようになったことと、海外のドラマにハマったのが大きかったですね。英語を歌いたいと思ったことはなかったけど、ちょっと前にミュージカルの海外ドラマにハマって。カッコいいな、自分もこういう風に歌ってみたいなと思って、カラオケ音源を引っ張ってきて、それに合わせて歌ったのをパソコンに録音して、オリジナルと聴き比べるというのを何度か繰り返したんです。完全に遊びというか、趣味として…ですけど。その時に、元々私は歌う時の舌の硬さとか、筋肉の硬さとかが英語を歌う時に近いことに気づいたんです。結構楽に英語の響きを出せたんですよ。それが今までは時々偶然できていたけど、英語っぽい響きや倍音を意識して出せるようになって、それが「天鏡のアルデラミン」の歌には活かされています。

岸田:ベースは、シンプルですね。なにしろ弾いているのが僕なので(笑)。

――バンドの中心人物ですから派手なベースを弾いてアピールしても誰も文句はないと思いますけど、そういうタイプではないんですね。

岸田:人には、向き不向きというものがあるから。世の中には強気で攻めて行ったほうが勝てる人間と、そんなことをしたら一瞬でやられてしまう人間がいるわけですよ(笑)。僕は、自分を派手に攻めるベーシストだとは規定していないんです。そうじゃなくて、守ったほうが良い、粘って守ったほうが良いタイプだと思っている。そもそも、クラスのみんながギターを選ぶ中でベースを選ぶことによって一番高い地位に行こうと考えるような人間が、派手なプレイができるようになるわけがないじゃないかっていう(笑)。

ichigo:スラップとか、クソヘタだもんね(笑)。

岸田:そう、本当にヒドい(笑)。

◆インタビュー(3)へ
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報