【ライブレポート】jealkb VS ROOT FIVE、「またやりたいね!1回で終わるのもったいないもん!」

ポスト


20時09分。いよいよROOT FIVEの登場だ。約1年という歳月をかけ、殺陣を取り入れた【STORYLIVE】を作り上げてきた彼らは、その経験を確実な基礎力とし、ROOT FIVEというグループを大きく成長させていた。この日は、バンドである対バン相手を意識し、jealkbの楽器を借り、koma’nこと駒沢浩人がショルキーを持ちながらボーカルを務め、ぽこたこと江川直樹がギター、みーちゃんこと石城結真がベース、けったろこと藤谷慶太朗がドラムといったバンド形式でライブをスタートさせた。生粋のバンドファンであるジュアラーへの敬意でもあったのだろう。そんな彼らのパフォーマンスに、ジュアラーたちも熱い声援を送り、ルーファンたちも、いつもとは違った形態で届けられた「ワンチャンス」と「勇愛(You&I)賛歌」をいつも以上の景色で盛り上げていった。


そして、2曲目終わりで4人全員がステージに並び、実にテンポの良いラジオ級の絶妙なMCを届けた。芸人という本職を持つ、さすがな掛け合いを魅せたjealkb に触発されたのか、この日の4人のトークは最高に冴えていた。ロングツアーで経験値を上げたのももちろんであるが、やはり対バンという刺激は想像以上なのだろう。MCを挟み、3曲目に届けられた「Break it out!」からは、フロアがそれぞれの担当カラーで埋め尽くされた、いつものROOT FIVEのエンタテインメントなステージが展開されていった。曲中で自己紹介が差し込まれるこの曲では、“jealkb1人1人の魅力を語っていく!”というこの日ならではのアドリブが差し込まれたのだが、elsaの紹介を忘れるといったオチもしっかりと付けた展開で、ジュアラーの心を射止めた4人だった。



ダンスとボーカルで魅せていく通常のライブに付加を与えた【STORYLIVE】は、彼らにとって加圧トレーニングでもあったと言っ てもいいだろう。故に、圧が取り除かれた状態での通常ライブは、 鍛えられた筋肉が実に有効に使われているといった感じだったに違いない。以前にも増してキレの良くなったダンスと、それぞれの個性がよりハッキリと出て来た歌唱は、ROOT FIVEというグループを唯一無二の存在へと押し上げていたのだった。

そしてこの日、そんな個性をより浮き彫りにしていたのが、江川と石城のツイン曲「Don’t Look Back!!」と、駒沢と藤谷のツイン曲「コロナ」だ。ワンマンよりも短い持ち時間ではあったが、120%の魅力を見せつけたメニューでルーファンたちを満足させ、さらに、ROOT FIVEのライブを初めて見たジュアラーには、振り幅の広いグループであることをしっかりと証明できていたと言える。そして。彼らもこの日、ラストに「傷心マキアート」という名の“新曲(jealkb のカバー曲)”を完璧な振り付けで届け、ジュアラーたちを喜ばせた。




本編終了後、ジュアラーによる“JKB”コールと、ルーファンによる“ルーファイ”コールが交差する中、ステージに再び現れたのは ROOT FIVE。「しょうがねぇから、楽屋に居る負け犬も呼んでやってもいいけどよぉ。おい、負け犬!」(駒沢)と威勢良くjealkbをステージへと呼び込んだものの、大先輩であるjealkbを“負け犬”呼ばわりしたことへの罪悪感と、ジュアラーからのブーイング、しおらしく登場したjealkbを実際に目の前にすると、激しく目が泳ぎ、明らかな動揺を見せる駒沢。とてつもなく分かりやすい動揺をhaderuに突っ込まれ直立不動になる駒沢の姿にメンバーとファンたちは大爆笑。そんな和やかな空気の中で始まったアンコールは、jealkbの演奏で ROOT FIVEがhaderuとhidekiと共に歌うというコラボ企画でオーディエンスを喜ばせた。

『ニコニコ動画』のボカロ曲のようなediee作曲の「天誅☆あるわけないストーリー」が届けられたのだが、この曲は本編でも披露されていたことから、ルーファンたちは、振り付けも完璧に身体に入った状態で、ジュアラーたちと一緒にライブを盛り上げた。そして「やっぱり最後は ROOT FIVE の曲でしめないとね!」(haderu)と、「MARIA-マリア-の残響」を総勢10人で届けたのだった。


バンドとダンスボーカルグループによる異種格闘技戦ではあったが、両者共にとても刺激が大きかった対バンツアーであると感じた。そして、何よりも素晴しいと感じたのは、両者のオーディエンスが、両方のステージを最高に楽しんでいたこと。異種格闘技戦は往々にして、アーティスト同士が刺激を求め合うことを優先にブッキングされることが多いことから、両者のファンたちにとっては、自分たちが支持するアーティストの出番だけを楽しみ、対バン相手のライブにはあまり興味を示さなかったりするものなのだが、今回のjealkbとROOT FIVEとの異種格闘技戦に関しては、対戦相手のライブを手放しで楽しんでいた両者のファンたちの姿がとても印象的だった。さらに演者側も、最高に楽しみながら、お互いの良さと、自らの強化すべきところを改めて見つめ直せていたように思う、理想的な異種格闘技戦だったと感じた。

「またやりたいね! いや、絶対しよう! 1回で終わるのもったいないもん!」と、ファンたちと約束していた彼ら。最高に楽しめたこの異種格闘技戦が、いつかまた実現することを切に願う。


文◎武市尚子

この記事をポスト

この記事の関連情報