【インタビュー】Mighty Crownは、サウンドクラッシュでなぜ勝ち続けることができるのか? 船上で世界と戦うJAMROCKレゲエ・クルーズで2連覇達成

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レゲエシーンには、マイクを握る歌い手、楽器を奏でるバンド、曲を掛けるサウンド、曲に合わせて踊るダンサーなど、さまざまな立場で活躍する人たちがいる。そんな中、『世界最強サウンド』としてシーンに君臨し続けているのが、日本人であるのをご存知だろうか。




今年で結成25周年を迎えた、横浜を拠点に活動するMighty Crownは、Masta Simon(マスターサイモン)、Sami-T(サミーティー)兄弟、ルーツ、ファウンデーションに特化したCOJIE、第二の拠点NY在住のNINJAからなるMCと選曲で世界のフロアを揺らし続けるレゲエのトップチーム=サウンドである。

レゲエサウンドのカルチャーの中にサウンドクラッシュという楽しみ方がある。ダブプレートと呼ばれるそのサウンド専用にカスタムされた曲と巧みなMCを「武器」に、サウンド同士が「バトル」を繰り広げるのだが、Mighty Crownは99年ニューヨークで行われたサウンドクラッシュ<World Clash in NY>でアジア人初のチャンピオンになったのを契機に、世界中にその名を馳せている。これまでに獲得した優勝トロフィーは20個以上、世界タイトルの栄冠も7度手に入れた。

2016年11月14日、ボブ・マーリーの息子、ダミアン・マーリー主催の豪華客船でカリブ海を5日間に渡って旅するレゲエ・クルーズ<Welcome to JAMROCK Reggae Cruise 2016>が出航。そのなかの目玉イベントのひとつである船上サウンドクラッシュで、Mighty Crownは勝利し、2連覇を成し遂げたのだ。

Mighty Crownは結成当初から、サウンドクラッシュに挑み続けている。
彼らは、なぜ強いのか?

BARKSではこのたび、サウンドクラッシュで勝つための「準備」と「戦略」、身につけるべき「スキル」についてMighty Crownに話を聞くことができた。この記事を最後まで読めば、Mighty Crownの強さの秘密がわかるだろう。Mighty Crownが膨大な経験を通して得た、その秘訣とは……!?


■世界40カ国のレゲエ・ファンが熱狂した船上の戦い
■決勝ラウンドの1曲目で「勝てる!」と確信


ーー<JAMROCK Reggae Cruise>、サウンドクラッシュ2連覇おめでとうございます! 世界の強豪を相手に、楽しみながら戦っている余裕さを感じました。実際のところはどうでしたか?

MASTA SIMON:楽しくかましてやったね!

SAMI-T:余裕に見えているのは、とても嬉しいね。たしかに落ち着いてはいたけど、余裕でやれる相手ではないので、“どうなるんだろう”って気持ちはあったよ。楽しんでたけどね!

ーー「勝ったな」と確信したタイミングはありましたか?

MASTA SIMON:最終ラウンドの「Tune Fi Tune」で、相手のTony Matterhornが1曲目をプレイした瞬間、絶対に負けないと思ったね。

SAMI-T:うん、そうだね。これはいただいたな、と。

ーー国境をまたぐ船上での戦いということで、今回は開催地を意識した戦略は取り辛かったかと思います。まず、<JAMROCK Reggae Cruise>の客層について聞かせてください。

SAMI-T:とにかく色んな人種の集まりだね。バミューダ、カリフォルニア、カナダ、イギリス……カリブ海の人達が勢揃いって感じで。日本人もチラホラいたよ。とにかく最高の空気感だったね。男女はおなじくらいで、年齢層は少し高めだったかな。

MASTA SIMON:うん、客層はとても広くて、世界40カ国くらいから来ていたと思う。年齢は20代後半から40代が多かったかな。もちろん家族で参加している人もいるので、小学生もいたし、70代もいたよ。普段のサウンドクラッシュと違って、女性の割合が多いのも良かったね。


ーー多国籍なレゲエ・ファンを前にして、どのような戦略で心をつかめたと分析していますか?

MASTA SIMON:幅の広い選曲だね。ダンスホールはもちろんだけど、カリビアンも多かったからSOCAなんかもプレイしたり。みんなをエンターテインして楽しませることが最大のポイントだったかな。

SAMI-T:世界の色んな現場を経験してきたことが本当に大きいんだけど、身体に染みついたこれまでの経験が、良い方向に出た日だったね。

ーーダブプレート(*1)は、この日のために用意されたものが多数ありました。今回に限らずになりますが、Mighty Crownはクラッシュのためにどれくらいの準備を行うのですか?

MASTA SIMON:その時によるかな。今回は防衛戦だったから(前年も同イベントで優勝)、去年より準備はしたけど、準備期間が短くて4〜5日くらいだったね。1ヶ月くらい掛けることもあるから今までで1番短かったけど、用意はバッチリできた。

SAMI-T:(対戦相手が決まるのが)今回は2週間前だったから、時間が少なくてキツかったね。でも、当たり前だけど、準備はできる限りするよ。戦略は相手が決まってから、頭のなかでシミュレーションを始めるんだ。相手のことを調べたりはあまりしないね。自分を表現するというか。

*1.ダブプレートとは - サウンドクラッシュで、現場を盛り上げたり相手を攻撃したりするための必須アイテム。アーティストに対し、指定した曲を自分たちの好きな歌詞に変えて歌ってもらうカスタム曲のこと。

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