【インタビュー】イン・フレイムス「良くも悪くもサプライズは必要だ」

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スウェーデンを代表する現在進行形のメタル・バンド、イン・フレイムスが新作『バトルズ』を語るインタビュー後編では、前編に続いて、アンダース・フリーデン(ヴォーカル)とビョーン・イエロッテ(ギター)にアルバムの音楽性についてさらに深く訊いてみた。彼らは新作の話題に加えて、バンドの今後、また元メンバーのイェスパー・ストロムブラードとの交流についても言及するなど、雄弁に語ってくれた。



◆イン・フレイムス画像

──新ドラマーのジョー・リカードについて教えて下さい。

ビョーン:ジョーはスタジオで見つけたんだ。アルバムをレコーディングするためにLAに向かった時点では、ドラマーがいなかった。とにかくアルバムを完成させてからオーディションをやって新しいドラマーを決めようと考えていたんだ。そのときジョーは既にプロデューサーのハワード・ベンソンと一緒に仕事していた。それで試しに叩かせてみたら、最高だったんだ。何よりも彼にはやる気があったし、ドラミングのスタイルも前任者のダニエル(・スヴェンソン)に似ていた。

アンダース:酒場に行って気が合ったことも、彼が加入することになった理由だった。とても重要な要素だからね(笑)。


ビョーン:それでレコーディングが完了した時点で、バンドに加入する意志があるか訊いてみたんだ。幸い彼はイエスと言ってくれた。アルバムを2月から3月にかけてレコーディングして、しばらく一緒にプレイすることがなかったから、2週間前にリハーサルを始めて、これは行ける!という考えを新たにしたよ。

──アルバムから先行公開された「ザ・トゥルース」は少なくない数のファンを驚かせると思いますが…。

アンダース:まあ、俺たちは毎回ファンを驚かせてきたからね。そんなに珍しいことでもない(笑)。俺たちは自分自身のために音楽をやっているんだ。俺たちがハッピーになる音楽がイン・フレイムスのアルバムとして発表される。そうするしかないんだ。誰もが満足するアルバムなんで作るのは不可能だよ。だから自分自身を満足させるしかないんだ。もちろん俺たちのアルバムを聴いてハッピーになってくれたら嬉しいけど、他人をハッピーにさせることを狙った音楽はできない。それができたら苦労しないよ。


──「ザ・トゥルース」のミュージック・ビデオからは、“新世代のピンク・フロイド「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」”という印象を受けました。

アンダース:それに気付いてくれて嬉しいよ。実際、「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」をヒントにしたんだ。6人のコーラスは子供だけではなくて、20代の女性も混じっているけどね。

ビョーン:ピンク・フロイドがヒントだって、今初めて知ったよ(笑)。

──『サイレン・チャームズ』は米ビルボード・チャートで26位になったそうですが、アメリカでの成功はあなた達にとってどのような意味を持っていますか?

アンダース:そりゃもちろん大勢のファンがアルバムを気に入ってくれれば嬉しいけど、それは自分ではコントロールできないことだからね。数字のことは気にしていないよ。もしライヴ会場がガラガラだったら、何か問題があるのかと考え直してみるけど、今のところは大丈夫みたいだからね。

──イン・フレイムスの初期と現在の音楽性はかなり異なったものですが、その変化は徐々に起こったものでしょうか?それともターニング・ポイントがあったでしょうか?

アンダース:極端に変化したわけではないと思う。『バトルズ』から『サイレン・チャームズ』、それから『サウンズ・オブ・ア・プレイグラウンド・フェイディング』…と遡っていくと、初期に至るまで、ひとつの一貫したイン・フレイムスらしさがある。もちろん『ホラクル』から20年経っているし、俺たちが音楽を表現する手法は変化したけど、どれもイン・フレイムスなんだ。あのバンドでもないし、このバンドでもない。俺たちは独自のサウンドを持っているんだ。初期の頃の俺はメロディを歌いきれなくて、スクリームすることが多かった。それでバンドの演奏も呼応してヘヴィになっていったんだ。でも今では音に隙間を作って、よりメロディを聴かせたいと考えている。どちらもイン・フレイムスの音楽だという点では変わりない。俺もビョーンもそれを誇りにしているよ。ただ、良い意味でも悪い意味でもサプライズは必要だと思う。いつも予想の範疇にあるバンドにはなりたくないからね。


──イン・フレイムスの元メンバーのギタリスト、イェスパー・ストロムブラードは近年体調が良くないようですが、彼とは連絡を取っていますか?

ビョーン:イェスパーとは先週だか先々週、俺たちが『ノットフェス』に向けてリハーサルしているときに電話で話したよ。ハンブルクまで電話してきて、少し話すことができた。外部の人間がわかっていないのは、俺たちが良い友達だということなんだ。俺たちに遺恨があるなんて煽るマスコミもいるけど、お互いに敬意を持っているし、彼の体調が良くないときは可能な限りサポートしている。イェスパーは俺たちのファミリーであり続けるよ。

取材・文:山崎智之
Photo by Patric Ullaeus, Anne Swallow

イン・フレイムス『バトルズ』

2016年11月11日 世界同時発売
【100セット通販限定メンバー直筆サイン入りカード付きCD+Tシャツ】¥6,000+税
【完全生産限定CD+Tシャツ】¥5,000+税
【通常盤CD】 ¥2,500+税
※日本盤限定ボーナストラック/歌詞対訳付き/日本語解説書封入
1.ドレインド
2.ジ・エンド
3.ライク・サンド
4.ザ・トゥルース
5.イン・マイ・ルーム
6.ビフォー・アイ・フォール
7.スルー・マイ・アイズ
8.バトルズ
9.ヒア・アンティル・フォーエヴァー
10.アンダーニース・マイ・スキン
11.ウォールフラワー
12.セイヴ・ミー
《ボーナストラック》
13.グレイテスト・グリード
14.アス・アゲインスト・ザ・ワールド
《日本盤限定ボーナストラック》
15.ヒア・アンティル・フォーエヴァー(オルタネイト・ヴァージョン)

【メンバー】
アンダース・フリーデン(ヴォーカル)
ビョーン・イエロッテ(ギター)
ピーター・イワース(ベース)
ニクラス・エンゲリン(ギター)
ジョー・リカード(ドラムス)

◆イン・フレイムス『バトルズ』オフィシャルページ
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