【音踊人 43】-深さの先にある場所へと向かうアルバム- deepsea drive machine『Alternova』(影井公彦)

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夜とコンクリート』という漫画がある。(著:町田洋)

その中に印象的なセリフがある。建物が喋るのがわかる男が、こう言う。「建物も眠るんですよ」無機物が眠るわけないと思うのだが、読んでいると話の中の主人公のように不思議とそんな時間があるような、もしくはあったような気すらしてくる。

少し話が逸れているように思うだろうか? しかし、今回オススメしたいバンド deepsea drive machineの最新作『Alternova』を聴いていると、そのセリフが不思議と思い出されるのだ。


彼らのこのアルバムを聴いていると、不思議と夜を感じる。どんなに太陽が昇っていても、朝や昼にこのアルバムを聴いていたとしても、夜の中にいるような感覚に襲われる。


場所は都会。ビルのほとんどに明かりはついていない、マンションや家屋にも灯はなく、呼吸するかのように点いては消える高層ビルの航空障害灯と高速道路の灯がその深い夜の中で起きている。そんな中を、浮遊しているような感覚。真夜中、朝日を待ちながら、その世界は進んでいく。アルバムは時折光を落としながら、一曲一曲夜を語っていく。一筋の光を落とし、その美しさを見せたかと思いきや、光の明度を少しだけ上げて全体をぼんやりと照らすだけにとどめる場合もある。誰も起きていない、朝日が昇る前のもっとも暗い時間へと進んでいく楽曲達。無機物すらも眠るようなその場所で『音の鳴る静寂』という矛盾を孕んだその音楽は深さの先へと進んでいく。

そして、最後の曲『&』の歌詞の中で語られている通り夜が眠って、朝が巡ってくる。夜から始まったこのアルバムは、明確な光を見た後で終わる。深い夜を超えた後に見えた朝日はいつもよりも違っていた。

是非とも彼らのこのアルバムを手に取り、その音に身を任せて、是非とも深い場所へと行ってほしい。そこには、今まで見たことのない『光』が舞っているだろうから。

記事 / 了

◆deepsea drive machine オフィシャルサイト

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