【インタビュー】中島卓偉、「我が子に捧げる PUNK SONG」はミュージシャン人生の転換点

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■自分ブランドをもっていれば、どれだけ波が押し寄せてこようが踏ん張れる。

中島卓偉:10代だった頃のミュージシャン理論とか売れていたものを思い返せば、「流行りの音楽というのは、質感でしかない」と思うんです。1940年代のアメリカンポップスと言われるような頃から、曲の作り方って決まっている。それはフォーマットじゃなくて、「こうしたらこうなる」と継承されてきたものです。ロックンロールが生まれて20年経ってパンクが生まれるように、ターニングポイントが必ずありますけど、曲の書き方とかコード進行とかオケの作り方は、本人の勉強次第でどうにでもできる。ただ、残念ながら、今の若い子に対して言うと、オッサンみたいな言い方になっちゃいますけど、どこかキーだけ変えて曲を作っているような気もしますし、どっぷりミュージシャンじゃない感じがするんですよね(笑)。週末はサーフィンに行ってんな…みたいな(笑)。

──それ、声を大にして言いましょう。

中島卓偉:和田唱さんみたいな人に会うとね、やっぱりどっぷりミュージシャンなんですよ。可愛く愛おしいほどに。大先輩なのにチャーミングなんです。ファッションが好きだったり車が好きだったりしますけど、それが全部音楽にフィードバックされている。僕も旅行が好きですけど、その景色を詞にしようって思っちゃう。もう病気なんでしょうけど、そういう人の音楽って絶対に強いんです。当時バンドが組めなかったのは、同じような感覚でやってるやつがひとりもいなかったからなんですよ。

──そうでしょうね。天賦の才を持った音楽人なんてほんの一握りですから。

中島卓偉:親のすねをかじっていたり、デビューができるって調子に乗ったり、家にCDが30枚くらいしかなかったり(笑)。「これしか聞いてなくて、ミュージシャンになれると思うなよ」って感覚(笑)。別に喧嘩とかあったわけじゃないけど、冷静に「無理だろうな」って。自分と同世代で一緒にできるやつはいないか?って死ぬほど探したんですけど、でもいなかった。そういうタイミングで自分が18~19歳のときにTRICERATOPSが出てきて「こういう人!」って思った(笑)。当時組んでたバンドのメンバーが和田さんと同い年だったりして、どうしても比べちゃいましたもん。

──それって、曲を聞くだけでわかります?

中島卓偉:わかります。才能がある以前に奥行きがありましたよね。曲を聴いてるし勉強してるし、21歳の和田唱を見て思いました。デジタルチックな曲が流行ってる中で、オールドなロックンロールで始まったセンスの良さも良かった。音楽ってセンスの良さだと思うんで。

──そういう人以外は、音楽をやって欲しくないんだよな。

中島卓偉:あはは(笑)。すごい偏見じゃないですか。

──音楽はギフテッドの人達が生み出すものと信じているので。

中島卓偉:以前はそういう気持ちもありましたけど、不思議と「人は人」と思えるようになった。ひとつの群れの中にいるよりも、自分しかないブランドで例え波は立ってなくてもひとりで漕いでいたいっていうか。舟をもっていれば…自分ブランドをもっていれば、どれだけ波が押し寄せてこようが踏ん張れる。

──わかります。天賦の才を持ったミュージシャンってね、イメージトレーニング…つまり頭の中で楽器を妄想プレイすることで、本当に弾けるようになったりするんです。

中島卓偉:頭の中で展開することが本当の作曲かもしれないですよね。でも逆もあって、今の音楽業界に対する唯一の懸念なんですけど、PCの音楽制作ツールって、頭の中で音楽が生まれてこなくても音楽が作れてしまうシステムが組まれているんです。

──才能なくても音楽が作れるよね。本来「ミュージシャンの効率を上げるための道具」が「才能のない人のスキルを補うための魔法」として利用されているわけです。音楽制作環境がお茶の間化したことで、これまでになかった新音楽が生み出されたと同時に、元来のバンドをぬるま湯に浸し腑抜けにさせるという弊害も生み出してしまったと思っています。

中島卓偉:これね、ものすごく危険ですよ。誰でも安倍総理になれるみたいなもんで、ドーピングを超えちゃってますよね。

──ダメですよね。

中島卓偉:ダメですよ。このままいくと世の中のライブに生演奏はなくなります。中学2年生が打ち込んでも40代のドラマーが出すような音が出ちゃうわけで、生音と打ち込みの違いが分かる人もいなくなり、いよいよライブがライブじゃなくなる時がくるのかなって。フェス会場で臨場感のない音がでかい音で流れるだけで、CDをビッグボリュームで聞いてるだけってことになってしまう。

──便利なものにあぐらをかくと、しっぺ返しを食らう、と。

中島卓偉:ロックも政治も、継承していく文化であってほしいですよね。今の子たちってスピーカーで聴かないでしょう?我々ミュージシャンは、大きいスピーカーで聴いて奥行きだの音質だの音の配置だのって作業を行うけど、そんなこだわりも関係ないのかなって思うときもありますよ。パソコンで格好良く聴けるようにミックスする人も出てきているわけで、もうそこまでくると本末転倒な気がする。

──エアロスミスもKISSも新作は出したくないとまで言っているし、ミュージシャンが生きにくい時代になってしまった気がします。

中島卓偉:ジャンルとか流行とか関係なく、自分を貫いている人の音楽は強いですよ。デヴィッド・ボウイなんてその極みですからね。あれだけタイプを変えて10年ごとに別人のようにスタイルを変えて成功した人って、デヴィッド・ボウイとプリンス、マドンナくらいじゃないですかね。

──音楽が売れなくなる時代が来るとは思いもしなかった。

中島卓偉:レコード屋に行かなきゃいけなかったものが、1曲単位で260円とか340円とかで買えることになってしまったことが価値を下げることになってしまったんだと思います。そういうシステムが生まれ、みんなが便利だと思って飛びついたから、人はそれを求めていたとも言えるんでしょうけど、価値観でいうと難しいですよね。

──便利になっても豊かになるとは限らないわけで。

中島卓偉:音楽の価値を取り返すためにはライブ。やっぱりライブこそ、本物かどうかを見極める判断する一番の場だっていうことを言わなきゃ。

▲「我が子に捧げる PUNK SONG」

──生涯を音楽に注ぐことと思いますが、どのようなミュージシャン人生を刻みますか?

中島卓偉:父親になって、「子どもを一人前に育てる」という目標はできた。「俺は音楽でこの子を育てたんだっていうところへ行きたい」という、今までにはなかった目標ですね。自分は15年しか親父と一緒にいれなかった。親父は離婚前に不倫もあり再婚もあり、46歳で癌で死ぬっていうめちゃくちゃな人で、何でもかんでもすぐ殴るし、言い訳をさせてもらえなかったし、わかり合えもしなかった。でも、ものすごい感謝があるし、未だに親父をリスペクトしているわけです。で、いざ自分が父親になると「こんな大変なことをよくやってくれたな」って、今頃気づくことが多々ある。

──ええ。

中島卓偉:とにかくひたすら音楽を続けて行きたい。少年時代に誰にもそぐわない人生を歩み、路頭に迷い15歳で東京に出てきたけどバンドも組めず、ソロでデビューして18年。20代の時は、独身で仕事もバリバリできる男がかっこよく見えていたんですけど、30代になって結婚する前くらいになると、仕事もバリバリやってるけどしっかり家庭もあって子供も育てていて、すべてにおいてこなしている、そんな人が急にかっこよく見えてきた。そういう人がほとんどなんですけど(笑)。

──価値観が変わってきた?

中島卓偉:そうですね、変わってきました。独身で遊んでいる男と酒が飲めなくなってきた(笑)…あんなにかっこいいと思っていたのに(笑)。今は、子どももいます、嫁もいます、仕事もしっかりこなしますっていう男のほうが「すげえパンクだなあ」って思えるようになった。これは「このまま父ちゃん、ロックするぜ」って四苦八苦して頑張っていかなきゃいけないっていうプレッシャーでもありますし、男として、ミュージシャンとして、一人の男としての中島卓偉の目標もそうです。具体的には、日本武道館でライブをやるのは今も夢ですし、47都道府県を大ホール・クラスで演るのもそうですし。「どんなことがあってもやり続けていく」っていう信念を持って続けている人間には、どんなジャンルの人も適わないわけですから、自分もそうならなきゃいけないという気持ちだけです。

──あなたなら大丈夫。

中島卓偉:当時の音楽業界では「3年もてばいい」みたいなことでしたから、18年も続けてこれたこと自体が奇跡みたいなもの(笑)かもしれないですけど、それ以上に音楽が好きなんですよね。曲を書いてパフォーマンスして、お客さんとひとつになって「今日来れて良かった」と思ってもらう責任感と、いい音楽を聴いていい曲を書く…そのスパイラルの中で生き続けることしか、頭にないです。

──それがミュージシャンなんですって。

中島卓偉:いやいや、大きいことは言えないですけどね(笑)。「こうじゃなきゃいけねえんだよ」みたいなことを言うつもりは本当にないです。

──わかります。

中島卓偉:そういう押しつけがましい人がいたら、うさんくさいと思うもん(笑)。本当に才能ある人や天才って、みんな柔らかいですよ。信念が強いだけでね。才能のある人に会うと、大概スローリーで超温和、礼儀正しい。で、ものすごいユーモアがあります。わりかし自虐的で「いやあ、俺なんて…」みたいな人や人見知りも多いですね。先輩のことをチャーミングだって言ったのは、そういうところなんですよね。

──ものすごいピュアですよね。社会生活に適合しているかは別だけど。

中島卓偉:できてないからミュージシャンなんじゃないですか(笑)?

──そうですね。これからの活躍も楽しみにしています。ありがとうございました。

中島卓偉:ありがとうございました。

取材・文:BARKS編集長 烏丸哲也

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ニューシングル「我が子に捧げる PUNK SONG」

2017年3月8日発売
EPCE-7302 ¥1,389+税
【CD収録内容】
1.我が子に捧げる PUNK SONG
2.たられば
3.上手く言えない
4.超えてみせろ

■「我が子に捧げる PUNK SONG」 発売記念アコースティックライブ&サイン会

3月8日(水) あべのHoop 1F オープンエアプラザ(大阪)18:00~
※参加券付販売:3月7日(火)商品入荷次第~/優先観覧エリア無し

3月11日(土) 浦和パルコ 1F 正面入口前(埼玉)14:00~
※参加券付販売:3月7日(火)商品入荷次第~/優先観覧エリア無し

3月16日(木) HMVエソラ池袋 店内イベントスペース(東京)19:00~
※参加券付販売:当日17:00~/優先観覧エリアあり

3月21日(火) HMV&BOOKS TOKYO 7F イベントスペース(東京)20:00~
※参加券付販売:当日18:00~/優先観覧エリアあり

3月31日(金) タワーレコード横浜ビブレ店 店内イベントスペース(神奈川)19:00~
※参加券付販売:当日17:00~/優先観覧エリアあり

4月7日(金) イオンモール大高 1F グリーンコート(愛知)19:00~
※参加券付販売: 当日17:00~/優先観覧エリアあり

4月9日(日) イオンスタイル湘南茅ヶ崎 2F アトリウム(神奈川)14:00~
※参加券付販売: 当日12:00~/優先観覧エリア無し

4月14日(金) イオンモール名取 1F イーストウイング(宮城)19:00~
※参加券付販売: 3月7日(火)商品入荷次第~/優先観覧エリアあり

4月16日(日) イオンモール北戸田 1F セントラルコート(埼玉)15:30~
※参加券付販売: 当日11:00~/優先観覧エリア無し
各イベント詳細は中島卓偉オフィシャルサイトにて

<TAKUI NAKAJIMA LIVE 2017 -LOFT GIRLS ONLY, LOFT BOYS ONLY ->

2017年3月12日(日) 新宿ロフト
女子限定:OPEN 15:30 START 16:00
男子限定:OPEN 18:30 START 19:00
musicians:Guitar生熊耕治 / Bass鈴木賢二 / Drums 安東祐介
チケット料金:スタンディング(整理番号付)¥4,800(税込)
※別途入場時ドリンク代必要
※学生証提示で¥1,000キャッシュバックの学割あり
チケット一般発売日:2017年1月28日(土)~
未就学児童入場不可
お問い合わせ:ディスクガレージ050-5533-0888

<TAKUI NAKAJIMA LIVE TOUR 2017 >

5月13日(土)神奈川:新横浜NEW SIDE BEACH!! ディスクガレージ 050-5533-0888
5月14日(日)東京:TSUTAYA O-WEST  ディスクガレージ 050-5533-0888
5月27日(土)愛知:JAMMIN' サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
5月28日(日)長野:LIVE HOUSE J サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
6月3日(土)栃木:HEAVEN’S ROCK宇都宮VJ-2 ディスクガレージ 050-5533-0888
6月4日(日)埼玉:HEAVEN’S ROCKさいたま新都心VJ-3 ディスクガレージ 050-5533-0888
6月17日(土)京都:KYOTO MUSEグリーンズコーポレーション 06-6882-1224
6月18日(日)大阪:Music Club JANUSグリーンズコーポレーション 06-6882-1224
6月24日(土)福島:郡山CLUB #9 G.I.P 022-222-9999
6月25日(日)宮城:仙台MACANA G.I.P 022-222-9999
OPEN17:00/START17:30【全公演共通】
musicians:Guitar生熊耕治 / Bass鈴木賢二 / Drums 石井悠也
チケット料金:スタンディング(整理番号付)4,800円(税込)
       ※別途入場時ドリンク代必要
       ※入場時、学生証提示で¥1,000キャッシュバック学割あり
年齢制限:未就学児童入場不可
チケット一般発売日:4月1日(土)10:00〜


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