【対談連載】ASH DA HEROの“TALKING BLUES” 第1回ゲスト:Ken [L'Arc-en-Ciel]

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ASH DA HEROをホスト役に、毎回ゲストを迎えてトークセッションを繰り広げる連載が2017年春スタート。デビュー2年目のASH DA HEROが、あるときは同じミュージシャン目線で、またあるときは異ジャンルに斬り込む同対談連載企画のタイトルは、“TALKING BLUES”だ。

◆ASH DA HERO × Ken [L'Arc-en-Ciel] 画像

記念すべき第一回目のゲストはL'Arc-en-CielのギタリストKen。2人の出会いは、2016年の夏と、歴史は浅いが、その濃度は高く、共振幅は大きい。<VAMPS BEAST PARTY 2016>を切っ掛けに、Ken主宰イベントツアー<PARTY ZOO 2016>への参加など、2人は同じ音楽シーンの人間として、ミュージシャン同士として顔を合わせるようになっていったという。

デビュー2年目のASH DA HEROが抱える疑問が投げかけられたと同時に、ミュージシャン本来のあり方を示すような会話も繰り広げられた対談は、爆笑を交えながら、深く長いものとなった。10000字オーバーのトークセッションをお届けしたい。

   ◆   ◆   ◆

■ドーベルマンを飼っていた人が居たんだけど
■たまに鎖が外れてるのね。それと似た感触──Ken

──KenさんとASHの初対面は、大阪で行われた<VAMPS BEAST PARTY 2016>のバックステージだったということですが、<BEAST PARTY>といえばKenさんが恒例レギュラーゲストのようなカタチになってますね。

Ken:<BEAST PARTY>は僕からすると微妙な間合いなんですよ。

──どういう意味です?

Ken:“今年だけKenちゃんが呼ばれないってことになったら、悲しむんじゃない? だから呼んでおく?”ということになってるのかな……って思うのは、わりとギリギリのタイミングで声が掛かるんです。

ASH:はははははは!

Ken:いつもそうだから、余計に“ギリギリまでそういう相談していた感”を覚えるわけ(笑)。

▲ASH DA HERO

──もはや<BEAST PARTY>が、Kenさんのゲスト出演も込みでの恒例行事だから、オファーしなくともスケジュールを空けてくれているだろうという安心感がVAMPS側にあるんじゃないでしょうか。ちなみに昨年も直前のオファーで大阪へ?

Ken:そう、ギリギリ(笑)。で、大阪の会場に着いて、“ここの建物が楽屋になります”って案内してもらったら、そこにASHが居たの。

ASH:Kenさんと僕の控え室が隣同士で。スタッフから「Kenさんが控え室に入りました」と聞いて挨拶に行こうと思ったら、隣のベランダからKenさんが「いい天気やねー。よろしくね」って話しかけてくれたんです。それが初対面の第一声でしたよね。

──Kenさんはその時、ASH DA HEROというアーティストをご存知でしたか?

Ken:もちろん名前は知っていたし、HYDEの事務所に所属してるアーティストっていうことは聞いてた。ただね、隣のベランダに、“身体中にすっごいスミ入ってるんですけど……”みたいな人が居るわけ。

ASH:たしか僕、上裸(上半身ハダカ)だったんですよ。メチャメチャ暑い日だったので。

Ken:そうだ、上裸だよ! そのときは、荒々しいのかフレンドリーなのか、ASHのキャラクター情報をなんにも知らなかったんだよね。でも、スミがたくさん入った上裸で金髪のASHが、とにかくそこに居る。

──初対面のシチュエーションとしては、あまりない感じですね(笑)。

Ken:小学生のとき、うちの近所にドーベルマンを飼っていた人が居たんだけど、たまーに鎖が外れてるのね。それと似た感触だよ。

ASH:ええー! 僕、そんなふうに思われていたんですか?

Ken:ASHは自分をちゃんと知ったほうがいいと思うな。「おしゃべり上手」だって自分で言ってるけど、人に与える第一印象はそれだからね。

▲Ken on <VAMPS LIVE 2016 BEAST PARTY>
2016年8月14日@大阪・舞洲 太陽の広場 野外特設ステージ


──はははは! ナイスな喩えです。その時に交わした会話はどんな?

Ken:楽屋には2人しかいなかったんだよね。すごく自然に「どんな音楽聴いてるの?」とか話したのかな。その全部は覚えてないけど、“カーティス・メイフィールド”っていう言葉をどっちかが出したんだよね。

ASH:「カーティス・メイフィールドが好きなんだ」っていうKenさんの話のなかで、「そういうの聴く?」っておっしゃられたんですけど、僕もすごく好きなんですよ。っていうのも僕はボブ・マーリーが大好きで。彼の「ワン・ラヴ」っていう曲はカーティス・メイフィールドが作詞作曲した「ピープル・ゲット・レディ」のコード進行とメロディの一部を引用した曲だから、当時「ワン・ラヴ / ピープル・ゲット・レディ」って表記されていたんです、っていう話をしたんですね。

Ken:そうだ。俺はボブ・マーリーもカーティス・メイフィールドも好きだけど、そのつながりを知らなくて。話の流れで、当時のミュージシャンの関係性とかをASHにいろいろ教えてもらったんだよね。

──1960年代とか1970年代の話ですか?

Ken:うん。たとえば、他のバンドのこととか音楽のことを話す機会っていうのはあるんだけど、カーティス・メイフィールドの話ができる人って初めてだったわけ。そこで一気に親近感を持って。“鎖が外れたドーベルマン”から“意外と大丈夫なドーベルマン”になった。

ASH:ははは! まだ“ドーベルマン”であることに変わりはなかったんですね(笑)。

Ken:それはそうだよ、まだわからないもん。でね、“この音楽を理解できるヤツは、音楽をわかってる”っていうか“自分の世界と近いヤツ”だっていう、そういうキーワードってどんなミュージシャンにもあると思うんだよね。だから“カーティス・メイフィールド”っていうチャンネルを共有したときは、すごくいい気分だった。そのとき、カーティスがいろんなアーティストのプロデュースを手掛けていることも教えてくれたんだよ。

ASH:映画『スーパーフライ』のサウンドトラックではプロデュースもコンポーズもしているんです。たとえばKenさんも、MUCCとかBAROQUEのプロデュースをしたり、自身のセルフプロデュースをしてるじゃないですか。そういう意味では現代のミュージシャンがある種普遍的に行なっているプロデュースワークのパイオニア的なところがあったんじゃないかなって思うんです。もちろんその前からやっていた人もいたでしょうけど。

Ken:そういう話を聞いて、もしかしたら自分がカーティスを好きな理由のひとつがそこにあるのかなって感じたりとかね。わずか10分とか15分の会話だったけど、すごく面白いっていうのが第一印象だった。

▲ASH DA HERO on <VAMPS LIVE 2016 BEAST PARTY>
2016年8月13日-14日@大阪・舞洲 太陽の広場 野外特設ステージ 休憩エリア内イベントブース


ASH:濃い時間でしたね。僕にとってKenさんの第一印象はやっぱり“あ、Kenさんだ!”っていうすごいオーラを感じたんですけど、そのあとは自然に音楽のことをペラペラとフランクに話してしまった……という反省もあったんです。

Ken:いろいろなところで感じるのが、主観が言えない場所とか場面があまりにも多すぎるということで。客観性を持ってしゃべらないと、相手が理解してくれなかったり、なにかを傷つけてしまうこともある。けど、あの瞬間、ASHと主観でドーンとしゃべり合っても、なんにもイヤじゃなかったわけ。ASHが思っていることを共有できる。主観でしゃべれる関係って、やっぱり素敵なんだよね。

──あの日はBARKSもバックヤードで取材していたんですけど、VAMPSのライヴ終わりも、打ち上げ会場でも2人がずっと一緒にいた姿が印象的で。

Ken:しゃべってたことはあまり変わらないんだけど、ホントによく一緒に居たよね。

ASH:「どんな曲を作ってるの?」「僕はMTRで作ってるんです」みたいな話で。そうしたら、打ち上げでHYDEさんも入ってきて。

Ken:「なになに、2人は仲いいの?」って入ってくるから「今日会ったばかりなんだけどね」って言ったら、「ふーん」ってそのままどっか行っちゃうみたいな。興味ないんかい!っていう(笑)。

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