【インタビュー】HERO「10年でいろいろな人と出会って進化してきた今の自分たちを見てほしい」

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10年間、ブレることなく自分たちのメロディとメッセージを追求し続けてきたバンドHEROが、5月3日に新曲2曲を含む初のベストアルバム『「BEST-タイムカプセル-」』をリリースした。ファン投票によって楽曲がセレクトされた「HEROINE selection」に加え、メンバーがそれぞれ楽曲を選んだ“俺が選んだベスト”的な4枚も同時発売。全5形態のCDが楽しめる仕様となった。過去の楽曲が彼らが生んだ宝物だとしたら、又吉直樹(ピース)主演の映画『海辺の週刊大衆』の主題歌に起用された新曲「タイムカプセル ~10年後の君へ~」は、一緒に時間を過ごしてきた君に向けたHEROからの正直で温かいメッセージが込められたナンバー。10周年のまとめ的ベストではなく、未来への視点、変わらない気持ちがしっかりと刻まれている。そんな彼らにベスト盤のことはもちろん、バンドを続けてきた理由、ライヴを重ねてきたからこそ掴めたものについてじっくり話を聞いた。

◆HERO~画像~

■バンドが仕事という感覚になっちゃって苦になった時期もあったんですけど
■今は趣味の延長線上というか高校生の頃みたいにひたすら楽しんでいます


──結成10周年を控えてベスト盤やアニヴァーサリーワンマンツアーなど、精力的に活動中ですが、10年を振り返った今、どんな心境ですか? 続けてこられた理由についても教えてください。

JIN:今、振り返ると10年って早いですね。去年も恵比寿リキッドルームにて、僕、高橋尽の生誕祭ライブをやったんですが、「あれからもう1年か」と思うと早いなぁって。バンドが仕事という感覚になっちゃって苦になった時期もあったんですけど、今は趣味の延長線上というか、高校生の頃みたいにひたすら楽しんでいます。だから、続けてこられたのかなって。

──ちなみにいつ頃から気持ちが楽になったのですか?

JIN:4年ぐらい前からですね。

──それは何かキッカケがあって?

JIN:自分はメジャーを離れたことが大きかったですね。自分らで運営していこうと思ったら、まわりの大人たちにやんややんや言われることもなくなったし、楽しくなったんですよね。


──自分たちで責任を負うことにはなるけど、その分、解放されたというか。

JIN:そうですね。

yusuke:僕自身はメジャーに行ったとか、そういうことはあまり気にしてないんです。HEROには後から加入したんですが、もう8年たっているし、10周年を迎えてもこの先もずっとやっていきたいという気持ちです。とにかく、この4人で活動していられることが楽しいし、嬉しいんです。今後も気をゆるめずに頑張りたいです。

SARSHI:最近、ふと「なんでHEROを続けているんやろうな」と考えたことがあったんですけど、その時に今回のベストアルバムを聴いたら「やっぱり、曲がいいわ」って改めて第三者目線で思ったんですよ。もし、今、自分が10代のバンドキッズだったら、きっとHEROを好きになっていたんだろうなって。そう思える曲を作れているから、続けていられるのかなって。自分がおじいちゃんになっても自慢できる音楽をやってるなと思いました。

YU-TA:俺自身は今まで「もう何年目やな」とか振り返ることって全然なかったんですよ。初めてのバンドがHEROでJINとSARSHIはキャリアがあったので「ちゃんとせな」って思いながらやってきたので、正直、余裕がなかった。人に言われて「10年なんだ!」って感じですね。

──余裕がないぐらいに無我夢中で走ってきた日々?

YU-TA:最初の方は特にそうですね。ずっと自分自身はどうあるべきか考えてきたんですけど、結成して3年ぐらいたって、「そういうの気にしないで、自分が好きなようにやろう」と思ってからは今の自分に近づいてきましたけど。

──話を聞いていると、すごく良い状態で迎える10周年みたいですね。

JIN:そうですね。続けていって、だんだん他人行儀になってしまうバンドもいると思うけど、HEROの雰囲気はダントツにいいと思います。メンバーにも面と向かって「アホ!」とか言ってるので(笑)。

YU-TA:俺、さっきトイレで突然言われました。意味わからなくてどういうこっちゃって(笑)。

JIN:あと僕らってあまり作ってないんですよ。HEROのJINになってるんじゃなくて普通に本名の高橋尽のままだし、隠したりしていないので、お客さんにはもっと自分を知ってほしいし、愛してほしいと思っていますね。

──キャラを作りこんでいるんじゃなく、素のままで向き合っているということですよね。リリースされたばかりのベスト盤『「BEST-タイムカプセル-」』は新曲2曲がプラスされた全17曲でヴォリュームたっぷり。しかも、ファンの人が選んだ“HEROINE selection”と4人各自がセレクトした5種類の盤が同時発売されましたよね。

JIN:はい。でも、結果、ベスト盤じゃなくなったんですよ。各自が好きな曲を選んでいるので、シングルが入っていなかったりするし、マニアックな曲が収録されていたり。お客さんもそういう曲を選んでいるので、要は自分の中でベストな曲だぜ! っていう。

──そうなることは最初から想像していたんですか?

JIN:いや、本来のベスト盤ってこうあるべきっていうのを忘れていたというか、冷静に考えたら「これ、ベストじゃなくね?」って(笑)。

──(笑)ヒット曲、代表曲を網羅してなかった。

JIN:そう、そう。出来てから気づいてしまった。

──確かに“HEROINE selection”を聴くと「ソプラノ」とか「テノヒラ」とか「相対性理論」は入っていなくて、けっこうコアな選曲ですよね。

JIN:そうですね。シングル曲でもなく、ライヴでもそんなにやっていない曲を選んでるんですよ。たぶん、ライヴでやってくれというメッセージが込められているんだと思います(笑)。

──ははは。HEROINEたちからのリクエスト。

JIN:そう! だから、初めてHEROを聴く人は“HEROINE selection”を買ってはいけないんですよ(笑)。JIN selectionの方が入りやすい。

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