【インタビュー】ISEKI (元キマグレン)、原点に向き合ったAORカバー集「自分にしか出せないものができたら」

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ISEKIが6月28日、“季節”をテーマに掲げたソロデビュー・ミニアルバム『AOR FLAVA -mellow green-』をリリースした。キマグレン解散から2年、ソロ活動を続けてきたISEKIだが、「自分はどういう音楽を作っていけばいいのか」と改めて考えた際に、自身の原点である“AOR”にたどり着いたという。

本作には、稲垣潤一やオリジナル・ラブら、往年のJ-POPナンバーをAORテイストにアレンジしたカバー7曲に加え、中田裕二と共作した新曲をあわせた全8曲を収録。“AOR FLAVAシリーズ”と題したカバー作品集の、第一弾が完成した。

自身が幼少期に触れた原曲と、大人になった今だからこその感性とが深く混ざり合い、満を持して放たれるソロデビュー作。本作に込めた想いをISEKIが語る。

  ◆  ◆  ◆

■自分の原点としっかり向き合いたいなと
■すごくキラキラしていたんですよね

──2015年の12月からソロ活動をスタートされたわけですが、ソロメジャーデビューに至るまでの約2年は、ISEKIさんにとってどんな期間でしたか?

ISEKI:まず、ひとりでステージにあがるということがなかったので、やっぱりとまどいがあったんですよ。

──とまどい、ですか。

ISEKI:間(ま)が全然わからなくて。ライブで自分がしゃべる間もそうだし、今まではイントロでギターを弾いて、ラップがあって、Bメロを歌うっていう間があったけど、それが身体に染みついているんでしょうね。一曲全部ひとりで歌って、しゃべりも僕が全部やるというのが、あ、これは忙しいなと(笑)。

──意外とやること多いぞと(笑)。

ISEKI:だから、最初の1年は結構ボロボロではあったんですよね。そこから武者修行といいますか、ライブやツアーを何度も重ねて、強くなれたなとは思います。

──今回リリースされる『AOR FLAVA -mellow green-』は、タイトルにもある通りAORをフィーチャーしたカバー作品になっていますが、そもそもAORをやってみようと思ったのはなぜですか?

ISEKI:ひとりになって、改めて自分はどういう音楽を作っていけばいいのか考えたときに、自分の原点としっかり向き合いたいなと思ったんです。もちろんそこには時代の流れもあって。最近はAORが流行っていますけど、キマグレンのときからそういうテイストは表には出ていないけれどもあったし、AORとかソウルのああいうグルーヴ感が昔から好きなのもあって、ずっとやってみたかったんですよ。ただ、最初はひとりで何を作ったらいいのかわからなかったところもあって。

──そうだったんですか?

ISEKI:僕、基本的にはキマグレンみたいな曲しか作れないんですよ(笑)。コード感とかが身体に染みついているので。でも、プロデューサーの“自分の好きなジャンルがあるのであれば、それを突き詰めてやってみたら?”という言葉もあって、試しに1曲作ってみたら、そこからスムーズにできるようになりました。

──ライブではオリジナル曲も披露されていましたけど、なぜ今回はカバー作品にしようと?

ISEKI:最初はオリジナルアルバムにしようと思ったんですけど、やっぱり“キマグレン”という僕のイメージがあると思うんですよね。それを壊すというと少し違うんだけど、僕は今後こういうことをやっていくんだというのを、今まで応援してくれていたファンの方々にまず提示したいなと思って。

──だからこそのカバーなんですね。自分がこれから進むAORという方向性をわかりやすく示すために、まずは多くの人が知っているAORを歌うというか。

ISEKI:またここから先、いろんなものが出てくるとは思うんですけどね。曲自体はもう40曲以上は作っているんですけど、今年はまず自分の原点とか、やってきたことをしっかりと見つめ直そうと思ってます。



──そもそも、ISEKIさんが初めてAORを知ったのはいつでした?

ISEKI:小学校5、6年生ぐらいのときだったんですけど、その頃はAORという認識ではなく、あくまでもJ-POPとして知ったんですよ。だから、今回カバーさせてもらっている山下達郎さんとか、オリジナル・ラブさんとか、大江千里さんもそうですけど、“これがAORなんだ”と思って聴いていたわけではなくて、後々知ったという。だから、AORをジャンルとして意識したのは3年前ぐらいからなんですよね。

──AORとは知らずとも、当時そういった音楽のどういう部分に惹かれたんですか?

ISEKI:なんか、僕にはすごくキラキラしていたんですよね。僕が一番好きなアーティストはCHAGE and ASKAさんなんですけど、そこから聴き始めて、他の方々に派生していった感じがあるんですよ。基本的にサウンドは爽やかなんだけど、声質や歌い方は色っぽいというか。そういう音楽が好きだったから、自分もだんだんそういう歌い方になっていって。

──ISEKIさんにとって、AORは自分の原点であり、特性でもあると。

ISEKI:そうですね。そこもAORを選んだ理由のひとつとしてありました。キマグレンのイメージからすると爽やかな印象があるかもしれないけど、元々は濃厚な感じの歌い方をするタイプなんですよ。それが自分の武器だと思うし、その武器を最大限に生かすとしたらこれだなって。今回のカバーに関しても、こういう言い方はあれかもしれないですけど、僕が歌うことによってISEKI色に染めるというか、また違ったものとして聴かせられたらいいなとも思っていて。

──そこはシンガーとして。

ISEKI:はい。たぶん、若い人達は聴き馴染みのない曲もあると思うので、“これってオリジナルなのかな?”って思う人も出てくると思うんですよ。そういう楽しみ方もありじゃないかなって思います。あと、もうひとつの楽しみ方として、今回の作品はバンドの音だけでも楽しめるものにもなっていて。

──それこそグルーヴがものすごく気持ちいいですよね。

ISEKI:あれはめっちゃくちゃうまい人じゃないとできないですからね。今回はミュージシャンにもかなりこだわったんですよ。オリジナル・ラブの「接吻」に関しては、ベースは小松(秀行)さん、ドラムは佐野(康夫)さんという、オリジナル・ラブのメンバーだったおふたりにお願いしていて。あと、キリンジの千ヶ崎(学)さん、EGO-WRAPPIN’のサポートとか、FLOWER FLOWERのメンバーである真船(勝博)さんとか、それぞれがミュージシャンとして有名で、かつAORがすごく得意な方々にお願いしていて。本当に素晴らしい方々と作ることができました。

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