カワイ創立90周年記念ピアノ発売、発表会にはYOSHIKIが紅白で弾いたクリスタルピアノ新型も

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河合楽器製作所創立90周年記念モデルとして、グランドピアノとアップライトピアノ、オンキヨーとのコラボレーションによるハイブリッドデジタルピアノが登場。29日に行われた発表会には昨年の紅白歌合戦でX JAPANのYOSHIKIが弾いた新型クリスタルグランドピアノも展示された。

2017年に創立90周年を迎えた河合楽器製作所が、多くのカワイファンに感謝の気持ちを込めて発売する創立90周年記念モデルは、グランドピアノ1機種とアップライトピアノ3機種、そして、カワイのピアノ技術とオンキヨーのオーディオ技術を融合したハイブリッドデジタルピアノ「NOVUS NV10」の計5機種。


▲特別な響板とハンマーを採用したグランドピアノGX-2NA。

グランドピアノ「GX-2NA」は、カワイのスタンダードグランドピアノであるGXシリーズの「GX-2」を90周年記念特別使用に仕上げたモデル。華やかで伸びのある音色が特徴のイタリア・チレーサ社製の響板を搭載。この響板に使用されたのは、ヴァイオリンの名機ストラディバリウスと同じ産地のスプルース。ハンマーはフェルト作りから見直した特別仕様のハンマーを使用している。


▲アップライトピアノのK-300NA(左)とK-300NA インテリアバーチ(右)


▲K-300NA インテリアウォルナットは、インテリアの中での映えるデザインが実感できる形で展示。

アップライトピアノ「K-300NA」は、2014年の発売以来カワイのアップライトピアノのベーシックモデルとして多くのユーザーに愛用されている「K-300」がベース。Kシリーズでは上位機種のみで採用しているファインアイボリー白鍵、ファインエボニー黒鍵を90周年記念モデルだけに搭載。象牙・黒檀に近い感触を再現し、ワンランク上の満足感が得られる仕様となっている。

新しい木目塗装を施したインテリアにマッチするアップライトピアノとして、「K-300NA インテリアバーチ」「K-300NA インテリアウォルナット」の2機種がラインナップ。木材の自然な風合いや木質の美しさを引き出す塗装は、高級家具にも採用されているオイルフィニッシュの質感に近い仕上げで、従来の木目塗装に比べ傷に強く、汚れもつきにくいのが特徴。こちらもファインアイボリー白鍵・ファインエボニー黒鍵を搭載する。

これらのアコースティックピアノ4機種の型番の「NA」は90th Anniversaryから。いずれも90周年記念プレートを配し、ペダル周辺にもペダルガードプレートを採用し、プレミアムな装いを演出している。


▲GX-2NAの90周年記念プレート(左上)とペダルガード(左下)。発表会で演奏を披露したのはピアニストの圓谷綾乃さん(右)。



■オンキヨーとのコラボによるハイブリッドデジタルピアノ「NOVUS NV10」

「NOVUS NV10」は、グランドピアノの鍵盤アクションを搭載した、ハイブリッドデジタルピアノ。同社とオンキヨーは2015年11月の資本業務提携以降、新規カテゴリ製品・サービスなどの共同開発を進めてきたが、本機が初の共同開発製品となる。「NOVUS(ノーヴァス)」は、「新しい」「新鮮な」という意味を持つラテン語で、「新しいハイブリッドピアノ」という意思が込められている。


▲NOVUS NV10

カワイのグランドピアノ鍵盤アクション「ウルトラ・レスポンシブ・アクションII」を、ハイブリッドデジタルピアノ用に特別にアレンジして搭載。打鍵によりハンマーが跳ね上がり発音する鍵盤機構は、ピアノメーカーの技術を集約。グランドピアノ同様、88鍵で異なるハンマーの重さも再現している。また、グランドピアノはダンパーペダルが踏まれている時は、踏まれていない時に比べて鍵盤タッチが軽くなるが、「NV10」はこのダンパー機構も搭載。これまでのデジタルピアノにはなかった、ダンパーペダルによるタッチ感の違いも再現している。

音源にはカワイのフルコンサートピアノSK-EXのすべての鍵盤マルチチャンネルでサンプリング。88鍵盤全体をモデリングしてピアノ特有の響きを作り出す技術と融合することで、グランドピアノが持つ演奏の心地よさ、優れた音のレスポンスを実現。ピアノ音色としては数々のコンクールで高い評価を得ているコンサートグランドピアノSK-EXをはじめSK-5、EXの3種のカワイグランドピアノ音を内蔵する。

ハイクラスオーディオ機器と同じ技術の採用による高音質再生は、オンキヨーとの技術提携により実現したもの。音の解像度を上げる技術(1-bit processing)、ノイズ低減回路(DIDRC Filter)、ヘッドホン音質を向上させるアンプ(Spectra Module)、スピーカーの音質を向上させるパワーアンプ(Premium Amps)を搭載。これらの技術により原音に忠実でピュアな音を再現する。

鍵盤左に配置された液晶カラータッチパネルの搭載も大きな特徴。デジタルピアノ特有のスイッチを廃し、スマートな外観を実現。音色選択やデモ音源の再生、メトロノーム機能や各種設定をタッチ、スワイプといったスマートフォンライクな感覚で操作可能。レコーディング機能では、MIDIとオーディオの両方に対応する。また、Bluetoothオーディオ機能も搭載、Bluetoothスピーカーのようにスマホ内の楽曲をワイヤレスで再生することも可能。


▲鍵盤左にはタッチパネルを配置(左)。奥行きは64cmでスピーカーも内蔵する。


▲NV10の演奏披露はオンキヨーのステレオプリメインアンプA-9150とSceptorシリーズスピーカーSC-3を使用して行われた。演奏した圓谷綾乃さんは、「手に感じる鍵盤の重みや抵抗が本当のグランドピアノのようで、自然な感覚を得られる」「ペダルも思ったとおりに自然に繊細に反応してくれるので、細かいコントロールができる」とコメント。「表現においてもさまざまな面でも弾いていてまったくストレスを感じないので、いつまでも気持ちよく弾いていられる。演奏の楽しさだったり、表現することのおもしろさを感じさせてくれる楽器」と続け、「この私の感動をぜひ少しでも多くの方々に一度体感していただきたいとすごく思います」としめくくった。

オンキヨーと共同で開催された発表会第二部では、「NOVUS NV10」で採用された新開発のアンプモジュール「Discrete SpectraModule」を搭載したステレオプリメインアンプ「A-9150(S)」も発表。カワイとの楽器作りでのコラボで得た経験を生かした製品だ。電源強化による安定感のある音楽再生、768kHz/32bit DACやDIDRCフィルターを搭載するほか、MMとMCの両カートリッジに対応したフォノイコライザーを搭載するなどアナログを楽しむ人に特化した仕様も盛り込み、ハイレゾからレコードまで高品位に再生できるモデルとなっている。


▲オンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンからオンキヨーブランドで発売されるステレオプリメインアンプ「A-9150(S)」。


▲NV10、A-9150の基板も公開。NV10搭載のDAC基板(写真奥)にはKAWAIとONKYOのロゴがプリントされている。


■新型クリスタルグランドピアノも登場

発表会では、カワイのトレードマークともいえるクリスタルグランドピアノの新型モデルも紹介された。創立90周年記念にあたりクリスタルピアノ製作技術の粋を集めて作られた特別仕様で、コンセプトは「ピアニストを最も美しく見せるピアノ」。リキッドメタルを連想させるような銀めっき処理、脚・ペダル・屋根など随所に施されたクリスタルカット、ピアニストとのビジュアルでベストなバランスを追求したスリムなボディなどがデザインの特徴となっている。


このモデルは昨年末のNHK紅白歌合戦でX JAPANのYOSHIKIが演奏したもの。その時点では試作品の段階だったものを見たYOSHIKIから、「ぜひこのピアノを使って本番に臨みたい」と言われ、出演に至ったというエピソードも語られた。

参考出展ということで発売時期や価格は明かされなかったが、「近々の製品化を予定している」とのこと。早期の登場に期待したい。



▲無数のLEDを配し、暗いステージでも映える新型クリスタルピアノ。屋根を支える棒には90周年記念のロゴも。

製品情報

◆グランドピアノ GX-2NA
価格:1,850,000円(税別) ※限定60台
発売日:2017年7月21日
◆アップライトピアノ K-300NA
価格:660,000円(税別) ※限定130台
発売日:2017年7月21日
◆アップライトピアノ K-300NA インテリアバーチ
価格:850,000円(税別) ※限定9台
発売日:2017年8月25日
◆アップライトピアノ K-300NA インテリアウォルナット
価格:850,000円(税別) ※限定9台
発売日:2017年8月25日
◆ハイブリッドデジタルピアノ NOVUS NV-10
価格:900,000円(税別)
発売日:2017年10月6日
◆ステレオプリメインアンプ A-9150(S)
価格:62,000円(税別)
発売日:2017年7月上旬

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