【音楽ギョーカイ片隅コラム】Vo.84 「こどもフジロック、2年目」

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「こどもフジロック」をご存じでしょうか?簡単に説明すると‘子連れフジロック’というアクティビティをみんなで助け合って楽しむための役立つ情報発信をするプロジェクトで、フジロック20周年を記念して昨年開始し、今年で2年目を迎えました。このプロジェクトの目的は、「子ども」の存在を理由にフジロックへ「行けない」または「行かない」を選択している人がいるのなら、どうすれば子連れフジロックを自分でもやってみようと思い切ることができるのかについて参加者であるオーディエンスと共に考えて行くことです。


筆者自身も親という立場に置かれるまで、フジロックは‘大人の遊び場’であると認識していました。多くの費用と時間と労力を要して、わざわざ新潟の山奥へ出向き、豪雨の中でも自然の猛威に震えながらじっと音を聴いて耐え抜くような事もあるのに「フジは最高だよね」と笑って言えるのが真のロック・スピリッツを持つ大人だと思っていました。

しかし、母となってから、ふと「あれ? 子連れだとフジロックには行っちゃ行けないんだろうか?」という疑問を抱きました。子連れの姿も見たことはありましたが、それほど目に留まるほどの数はいませんでしたし、自身があの環境で乳飲み子を抱えながらサヴァイブできるのかどうかも大いに疑問でした。よって産後初のフジロックであった2015年は実母に子を預かってもらい、どうしても観たかったフーファイターズだけを観に行きました。

その翌月、生後8ヶ月の息子をサマソニへ連れて行った時のことをこのコラムで綴ったところ、それが「こどもフジロック」のプロデューサーの目に留まり、記者の名前を見たら昔仕事をしたことのある筆者であったことと、嵐の天神山から数えて過去15回程のフジロック参加歴から声をかけられたというのがこのプロジェクトのメンバーになったきっかけでした。人の縁とは本当に不思議なものです。

その後、フジロックの歴史を改めて学び、SMASHの日高代表が過去のインタビューで「三世代に来て欲しい」と明言していることや、会場内にはKIDS LANDという子どものためのスペースが森の奥に開拓、用意されていること、今年は昨年に引き続き中学生以下を無料(要保護者)としているけれど、実はそれ以前も小学生以下はずっと無料だったことを知りました。

こうしてフジロックが子どもと親世代に向けたホスピタリティをずっと持ち続けていたことにも、15回以上参加していても気づかない情報がこれほど多くあったことにも大変驚きましたが、人それぞれ、その立場にならないと気づけないことって山ほどありますもんね。


昨年、筆者も初めて子連れフジロックを経験してみて、様々な初めて見るものに目をキラキラさせ、オーディエンスとハイタッチを交わしてもらい、大層ご機嫌な息子の姿を観た時、彼を連れてきて良かったと思えましたし、ロックの素晴らしさを子どもに伝えたい親としては、世界最高峰レベルの音楽を豊かな自然の中で感じることができる最適の音育空間とも感じました。

「こどもフジロック」は、子連れは優遇されるべきだということではなく、様々な参加スタイルの中のひとつである子連れファミリーを応援するプロジェクトです。山の中という特殊な環境下に合わせた準備をしっかりして、子どもにも自分にも周囲にも苦行を強いることなく、親の道楽であることを忘れずに子を優先して、子どもと一緒に楽しむ自分のスタイルを新たに見つけませんか?

文=早乙女‘dorami’ゆうこ


◆早乙女“ドラミ”ゆうこの【音楽ギョーカイ片隅コラム】
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