【インタビュー】Rhythmic Toy World、パーソナルな領域に積極的に踏み込んだ意欲作『TALENT』

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観客を巻き込んで楽しませるサービス精神旺盛なライヴ・パフォーマンスと、クオリティの高い作品で着実にステップアップを続けるRhythmic Toy World。1年2ヶ月ぶりとなるニュー・アルバム『TALENT』は、バンド初のセルフ・プロデュースによる制作となり、サウンド面でのチャレンジを試みている一方でこれまで以上にパーソナルな側面に焦点が当てられた作品となったようだ。今作が完成するまでの秘話から、取材場所となったライヴハウス「Club Crawl」への思い入れについてまで、メンバー全員にたっぷり語ってもらった。

◆Rhythmic Toy World~画像&映像~

■話し合いで結構ぶつかったりもしたんですけど
■提案を繰り返して良い感じのところで1つになれた


──今作はサウンド・プロデューサーSHO-TA (ParkingOut)さんとの共同制作ではなく、初めてメンバーがサウンドプロデュースを務めたとのことですが?

内田直孝(Vo.Gt):音とか作品の方向性についてSHO-TAさんに相談したときに、僕が持っていたビジョンを念入りに伝える中で、「そこまで描いている像があるなら、一回自分の思っているものを形にすることに挑戦してみたら?」ということで、こういう形になりました。

須藤憲太郎(Ba):内田が思い描いている音像や曲の感じを、今まで以上に話し合いましたね。それが良い感じにまとまって今回の作品に至ったので、すごく満足感があります。結構ぶつかったりもしたんですけど、「こういうのはどう?」っていう提案を繰り返して、良い感じのところで1つになって、出し切った気がします。

磯村貴宏(Dr):4人で作っているときのサウンドのイメージがあったので、それをプロデューサーを通して作ることで「あ、そういうのもあるんだ」っていう感じだったんですよ、今までは。今回は作り手がプロデュースしているということもあって、ドラムの音も自分のイメージしていたものにより近くなったので、逆にすごく新鮮でした。事前に話し合っていたわけでもないんですけど、「この曲はこのイメージなんだよね」っていうのが一致したので。普段、ドラム録りのときは内田はいなかったんですけど、今回は最初から全部立ち会ってくれていたので、すごくやりやすかったです。

内田:デモ作りは、きっちゃん(ギターの岸)に手伝ってもらってて。曲を選んでみんなでデータで共有して、それぞれアレンジしたものを共有フォルダに入れて各自DLして合わせて。完全に僕が浮かんだものにアレンジを近づけていくという作業に近かったですね。デモの段階では、例えば僕がボイスレコーダーに録音したものを、きっちゃんと共有してかっこいいコードをあててもらったりして手伝ってもらいました。

岸明平(Gt):結構面白かったですね。直孝がどういうものを作りたいんだろうっていうのを想像しながら一緒にデモを作っていって。曲の幅も広くて、今まで入れたことがなかったアコギを入れたり、エレキギターを何本も重ねた曲もあるし。1曲目「未来ワンダー」には、同期でシンセを入れたりとか。すごく自由にやった感じがありましたね。


──そういう状態って、バンドを始めた頃に近い制作方法に近い感じなんですか?

内田:バンドを始めた頃の曲は、基本的にはアナログでスタジオでセッションして作っていたんです。すごく粗削りだったものを、SHO-TAさんという存在が現れたことで、必要なものを残して研ぎ澄ましてもらったというか。ずっとその背中を見てきて、なんとなく自分たちの中に判断できるスキルとか思考が出来てきている感じがあったので、今回は「自分が良いと思ったら良い、ダメだと思ったらダメ」っていう、そこだけを信じてやりました。具体的にここがこう、というよりもパッと聴いて「これじゃねぇな」って感じたものは「これじゃない」っていうジャッジをしました。ただ、僕が結構暴走していたときもあったんですけど。

──暴走ですか?

内田:曲の展開が奇妙奇天烈なものを最初の段階ではやっていたんですけど、それを止めてもらったというか(笑)。僕は主観的だったので、客観的なところがメンバーにあったからこそ、僕も「じゃあもうちょっとイージーな方にしようか」とか、曲の展開はなるべく聴いた人に伝わりやすいところを、とみんなが軌道修正してくれ続けていた感じですね。例えば「フラッシュバック」とか。


▲内田直孝

──この曲は歌詞的には内田さんの個人的な内容ですね。

内田:そうです、僕の半生を描いた内容で(笑)。この曲は色んな展開がありますけど、じつはもう一段階展開があって。それが「お花畑」が急に現れるというもので。映画「グラディエーター」の草原みたいなところで1人でファーっとなっているシーンをイメージしてアレンジを考えたんですけど、今思うとすごいことを考えちゃったなっていう。メンバーも理解はしてくれるんですけど、次の日に顔を曇らせるみたいな。「本当にあれで良いのだろうか?」って。

磯村:面白いけど、行き過ぎてるんじゃないかっていう。

内田:「このバンドに必要かどうか」っていう判断でいくと「これは必要ない」ていう判断になって。家に帰ってもLINEで連絡を取って、1人が「あれは難しいんじゃないか」って言い出すと、やっぱりみんなそう思ってたみたいで「俺もそう思ってた」みたいに乗って来るんですよね。でも3対1になると僕もそこは民主主義なので。

一同:ははははは!

内田:「そうだよね」って。それが1つの指針になっているので。ここで3対1になるなら、世の中でも絶対そうなるはずだし。譲っても良い部分と譲らない部分が自分の中でなんとなくあるんですよ。譲っても良いかなっていう部分はみんなに委ねてますね。

──では『TALENT』というアルバム・タイトルの意図するところを教えてください。

内田:アルバムの内容を聴いていただければわかるように、すごく楽曲にパワーがありつつも、リアリティがある歌詞というか、より人間の本質的なネガティブな部分に1回立ち返って、自分の弱い部分から目を背けるのではなくて認める。そこを認めることで逆に自分の強さも見えてくると思うんです。でもその強さは、他人がいないと発揮できないと思うし、誰かに良いところを見つけてもらって足りないところを補ってもらうという。それで、「才能」(TALENT)という言葉を使っていて。才能は1人じゃ発揮できないし、人がいて仲間がいてやっと見えてくるものというのをこの作品を作ろうと思ったときにひしひしと感じていました。僕1人じゃ何もできないなって。でも自分にできることは確かにあるし、それをみんなが信じてくれているという気持ちを、この『TALENT』というタイトルに集約しました。

──突き抜けたポジティブさもありながら、その光の部分が強烈な分影も感じさせるアルバムだとも思いました。オープニングの「未来ワンダー」は自分たちに向けて歌っている部分もあるのかなと思うんですが、この曲はシンセのキラキラ感が今までにない感じですね。

内田:シンセの使い方を覚えたんですよ。デモを作っているときに事務所にある鍵盤で遊んでたら、ハマっちゃって。小室哲哉さんみたいなことができるんですよね(笑)。家に帰ってもずっと新しいゲームみたいな感じでずっと鍵盤をいじっていて、「これは入れたいな」と。それをみんなに送ってみたんです。

須藤:すごくキラキラ感があって、今までやったことがないものだったので、挑戦してみたいなという気持がありました。


▲磯村貴宏

磯村:ただ、「未来ワンダー」は最初、そういうイメージじゃなかったんですよ。シンセもなくて、とりあえずオープニングのイメージで作ろうっていう曲だったんですけど、事務所に行ったら内田が新しいおもちゃを手にしたように鍵盤で遊んでいて。「この曲はこういうシンセを入れたい」というのが送られてきて、聴いたらめっちゃハマっていて。でも俺らはずっと4人のバンドサウンドでやってきたから、ここまで同期を入れるのは初めてだったので「大丈夫かな?」とも思っていました。でも曲としてすごく成り立っていたんですよね。内田の「今俺はこの曲でこういうことをやりたいんだ」っていうイメージが、全力で出ている曲だと思いますし、オープニング感がより出たと思うし、結果的にすごく良くなったと思います。

内田:タイトルにある「未来」というのは、別にバンドの未来ではなくて、「これやってみたいな」って興味を持ったことに挑戦していくっていう自分たちのスタンスがあればいいなっていう意味なんです。なので、こういうシンセサウンドが入った曲をこの先やっていきたいということでもなくて。ただ今回シンセサウンドというものを知って、それで遊べて入れたいと思ったから入れたという感じで。曲として1曲目というのは自分の中であったので、遊園地じゃないですけど、入り口が煌びやかな方が楽しいですよね。そこをイメージして作ったんです。

岸:自分はもともとシンセが入った曲も好きで、EDMとかも最近聴くようになっていたので、そういうテイストを入れたいなって密かに思っていたところだったので、「いいじゃん!」って思いました。

──今の4人のモードが似ているところもあったんですね。時代の音楽もキャッチしつつ自分たちのサウンドを追求しているという。

岸:そうですね、たしかに。

内田:精神年齢が低いんだと思います(笑)。今作は、今までの作品よりも良い意味で精神年齢が低い。興味とか関心とか挑戦とかができることって子供っぽいことだと思うんですよ。今までは、「ここはこうしたら良くなるかもしれない」とか、挑戦の質が違うというか、不確定要素を含んだものを作品に取り入れることを最近やっていなかったんですよね。「だいたいこうなるだろう」って始めて、「良い曲だね」ってなったのが今までの感じで。今回は「良い曲だけど、聴いた人がどういう反応をするだろう?」っていう曲が多いと思います。

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