【インタビュー】LOVEBITES、ヘヴィメタルのエッセンスを凝縮し超絶技巧満載の1stフル・アルバム『AWAKENING FROM ABYSS』

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2016年の本格的な始動以降、実力派のメタルバンドとして注目を集めているLOVEBITESが、1stフル・アルバム『AWAKENING FROM ABYSS』を完成させた。流麗なメロディーとアグレッシブかつ重厚なサウンド、メンバー全員が織りなすハイレベルなプレイなどが詰め込まれた同作は、非常に魅力的なメタル・アルバムであると同時に、独自の華やかさを湛えていることが印象的だ。充実したアルバムを創り上げ、初の東名阪ツアーを控えているメンバー達に『AWAKENING FROM ABYSS』について、じっくりと話を聞いた。

mi-ya (ミーヤ) (g, key)
miho (ミホ) (b)
asami (アサミ) (vo)
haruna (ハルナ) (ds)
midori (ミドリ) (g)

◆LOVEBITES~画像&映像~

■ヘヴィメタルという言葉じゃないと表現できないものを作りたい
■時代性を踏まえたうえでオールドスクールの要素も入れました


――『AWAKENING FROM ABYSS』の制作に入る前は、どんなことを考えていましたか?

miho:とにかくヘヴィメタルという言葉じゃないと表現できないようなものを作りたいと思っていました。“これはメタルかな? アニソンかな?”じゃなくて、“メタルだね”というものを作りたかったんです。それも、ちょっとオールドスクール要素のあるメタルにこだわりました。LOVEBITESは、私がアイアン・メイデンみたいな曲をやりたいなと思ったところから始まったバンドですし、そういう音楽をやっているガールズバンドは他にあまりいないと思うんですよ。だから、良いんじゃないかなと思って。ただ、'80Sメタルとかをそのままやると古臭い音楽になってしまうので、時代性を踏まえたうえでオールドスクールの要素も入れるというところを目指しました。

――まさに、そういうアルバムになっています。それに、キャッチーなメロディーをフィーチュアしていることも魅力といえます。

miho:メロディーは、すごく大事だと思っています。個人的にはデスメタルとかも好きですけど、LOVEBITESは女性が歌うメタルということで、メロディーがちゃんとある楽曲が良いなと思って。良いメロディーということは常に意識していますね。

――それが功を奏して、華やかなメタル・チューンが並んでいます。統一感を持たせたうえで幅広さを見せていますが、それぞれ特に印象の強い曲をあげるとしたら?

midori:どの曲も好きですけど、1曲あげるとしたら7曲目の「Burden of Time」かな。サビのコーラスの入り方がキャッチーで、そこが良いなと思ってて。あの厚みが気に入っています。

miho:「Burden of Time」はアクセプトっぽい曲が欲しいなというところから入っていったんですけど、お客さんに歌ってもらえるようなサビの曲が欲しいなということで、出来上がった曲です。この曲は歌詞も私が書いていて、サビは何パターンか用意したんですけど、お客さんに覚えて欲しいというところでasamiと相談して、サビの歌詞は毎回同じにしたんです。なので、ぜひライブでは一緒に歌って欲しいですね。『AWAKENING FROM ABYSS』の中で私が特に好きなのは、2曲目の「The Hammer Of Wrath」です。スラッシュメタルで、ちょっとアラビア調というのをやりたくて作ったんです。サビがメロディアスなことも含めて、スラッシュメタルだけど、それだけは終わらないというところがすごく気に入っています。


――「The Hammer Of Wrath」もそうですが、最新のメタルならではのスピード感をフィーチュアした曲も沢山入っていますね。

miho:ビート感にはすごく時代性が出ると思うので、そこも大事にしています。LOVEBITESはギターが高速で刻んでいる曲が多いし、ドラムもがんばってくれている曲が多くて。「The Hammer Of Wrath」のベースは案外難しくないんですけど、みんながんばってくれているなと思って(笑)。asamiも最初は、「なに、この曲?」と言っていたよね?(笑)

asami:そう(笑)。この曲は、私の中で一番掴めなかった。最初は、ここがAメロで、ここがBメロというようなことが分かりづらくて、歌いながら“あれっ、間違った?”と思うと、もう取り残されるというか。“サビの入り口どこ?”“Aメロどこ?”みたいになってしまって(笑)。私が慣れ親しんできたR&Bとかソウルには、入るところを間違えるとアウトみたいな曲はないんですよね。コード進行とかで曲のどこかが掴めるけど、スラッシュメタルはそうじゃなくて、すごく戸惑いました。構成に抑揚がないから、どう歌えば良いんだろうというのもあったし。でも、アルバムのレコーディングが始まる頃にはすごく楽しくなってきて、私の感覚も変わったなと思いました(笑)。

miho:歌録りが終わった直後に、「楽しかったぁ!」と言っていました(笑)。

asami:そう(笑)。そういうところで、私も「The Hammer Of Wrath」は印象が強いですね。個人的に好きなのは、6曲目の「Liar」かな。この曲はイントロから聴かせどころがあるし、ちょっと泣ける感じのメロディーだったりして、キャッチーでしょ。アルバムの1曲目から4曲目くらいまでは、もちろんそれぞれ個性は違うけど、ハードな続いて“来てるな、来てるな”という流れになっていて、“ここで、いきなりこう来るか!”みたいな感じがあって(笑)。ハードなものよりもキャッチーなものが好きということではなくて、「Liar」はアルバムの良いフックになっていますよね。そういう意味でも、すごく良い曲だなと思います。

mi-ya:「Liar」は元々は原形があって、私が前にやっていたバンドの曲だったんです。その時は、いわゆるメタルコアっぽいアレンジだったんですけど、mihoやasamiがその曲が好きだと言ってくれていて。前のバンドは解散してしまったし、こんなに良い曲がこのままライブでも演奏されずに忘れ去られてしまうのはかわいそうだなと思って(笑)。

一同:自分で言うんだ(笑)。

mi-ya:うん(笑)。それで、「じゃあ、メタルにアレンジし直すね」といって、今の形になりました。メロディーとかはあまり変わっていないけど、“クサメタルになりました”って(笑)。

miho:笑いながら作っていたよね(笑)。もう、こんな風にしちゃいますよ…とか言いながら(笑)。

asami:ええっ、そうかな? 全然クサい気はしないけど……。

――同感です。キャッチーですし、洗練感がありますよ。

mi-ya:そう感じてもらえるなら良かったです。

miho:特に、この曲の終わり方はタマらない(笑)。“ズクズクン・ズクズクン・ズン”っていう。

asami:“タカダくん、タカダくん、ゴメン”っていうヤツね(笑)。

mi-ya:そうそう(笑)。“タカダくんって誰?”っていう(笑)。私が曲として好きなのは……誰もリード・トラックを言わないのは変なので、「Shadowmaker」にします。これも私の曲なので、また自画自賛みたいですけど(笑)。この曲は作りながらジャーマン・メタルっぽさを感じていて、そういう曲はLOVEBITESになかったから良いかなと思っていて。それで、そのまま完成させて、アレンジして、みんなでレコーディングして、歌が乗ったら独自のものになりました。この曲は歌がめっちゃハイトーンという感じではないけど、逆にそれもカッコ良いなと思っています。

haruna:私の中で特に印象が強いのは、「Edge Of The World」です。バラードかと思いきや最後のほうで激しく展開するという(笑)。R&Bとかソウルがルーツになっているasamiちゃんの良さがすごく出ているし、どんどん展開していく構成が面白くて、この曲は聴いていても、叩いていても楽しいです。

miho:「Edge Of The World」は、もうテンコ盛りという感じですね(笑)。この曲はLIGHT BRINGERのMao君が書かれた曲で、彼のカラーが出ているものを私達が演奏するということで、これも面白いものになったなと思います。

――聴き応えのある曲が揃っていて、一気に聴けるアルバムになっています。では、それぞれ今作のレコーディングはいかがでしたか?

haruna:ドラムは、私はエフェクト・シンバルが好きで、それを多用して自分なりのアレンジができたかなと思いますね。あとは、もうひたすら2バスを踏むという(笑)。でも、ドラムはそれくらいかな。

――いやいやいやっ! 高速ビートが多いですし、ビート/リズム・チェンジも多いですし、ドラムはかなり凝っていると思います。

haruna:ドラムのアプローチは、デモの段階で結構しっかり作り込まれていて、それに自分の色を足した感じなんですけど、凝っていると言われると、たしかにそうですね。ライブは凄いことになるんじゃないか…という(笑)。でも、がんばります。それに、「Warning Shot」のドラムとかはオールドスクールな感じで、シンプルにしたんですよ。私はいろいろ詰めたがりなんですけど、この曲はストレートなドラムにして、勢いを出すようにしました。

――とはいえ「Warning Shot」も2バスを多用されていて、2バスが好きなことが分かります。セットも2バスを組んでいるのでしょうか?

haruna:いえ、ツインペダルを使っています。本当は2バスを置きたいんですけど、私は背が低いので、足が届かないんです(笑)。

一同:それは、もう仕方ないね(笑)。2バスは見た目もカッコいいけど。

haruna:そう。なので、実は考え中です。ちょっと口径を小さくして、2つ置こうかなと思っているんですよ。なので、今後は変わるかもしれません。

miho:良いね! 2バス置いて欲しい(笑)。

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