【インタビュー】ちゃんみな、HIP-HOPシーンを飛び超えた特異な存在「誰かと同じような音楽をやって正統派と言われても嬉しくない」

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■音楽をやるからには自分のスタイルを創りたい
■誰かと同じような音楽をやって正統派と言われても嬉しくない


――強さを感じます。「TO HATERS」は、もがき苦しんでいる感情を見事に表現しているボーカルや、ダブっぽい歌中と翳りを帯びたサビ・パートのコントラストを活かした構成なども注目です。異なる要素を融合させるということでは、EDMテイストを香らせつつコンガも鳴っているサビを配した「WHO ARE YOU」も良いですね。

ちゃんみな:「WHO ARE YOU」は、作っていく中で変化した曲です。最初はサビをもうちょっと歌っぽくしようと思ったんですけど、これで歌うとベタ過ぎるし、そうじゃなくて浸りたいと思ったんですよ。それで、浸れるトラックにすることにして、それに合わせて歌も今の形にしました。

――メロディー・パートを歌うスキルも高いのに、そこを押し出すよりも楽曲の世界観を重視されているんですね。

ちゃんみな:そうです。なんか……耳当たりがよいのが一番良いかなと思って。私は、元々はラッパーではなくて歌手を目指していたので、メロディーを歌うのは大好きなんですよ。だけど、変に歌い過ぎるとダサくなってしまったり、曲としてつまらなくなってしまうことがあって。それが分かっているから、歌いたいという欲求よりも楽曲としての心地好さを大事にしたいという気持ちが上に来る。でも、ラップ界隈の音楽にしては、ちょっと歌は多めですよね。

――そこが魅力になっています。ヒップホップやラップといった枠を超えた独自の音楽になっていて、そこが良いなと思いましたよ。

ちゃんみな:そう受け止めてもらえると嬉しいです。ヒップホップの人には、これはJ-POPだ…みたいなことを、よく言われるんですよ。私にとっては、これがヒップホップだから。

――たしかに、ヒップホップは既存の音楽とは違う自由な音楽として生まれたはずなのに、いつしか縛りができてしまったという側面はありますね。

ちゃんみな:そうなんですよ。いつの間にか、ラップといえば“(太い声で)俺はなんとか、なんとか”みたいなものということになったんですよね。でも、私の中には、音楽をやるからには自分のスタイルを創りたいという想いがあって。誰かと同じような音楽をやって、正統派とか言われても嬉しくないです。


▲NEW ALBUM『CHOCOLATE』初回限定盤


▲NEW ALBUM『CHOCOLATE』通常盤

――そういう姿勢は大賛成です。話を「WHO ARE YOU」に戻しますが、この曲では他曲の粘りのあるラップとは一味違う、クールなラップを披露していますね。

ちゃんみな:それは、自然とそうなりました。この曲は1バース目は自分のことを歌っていて、“いつも夢を見ているみたいな毎日だから、私が誰だか分からなくなった。私は誰だっけ?”と言っているんです。でも、2バース目からは“本当の君なんて誰も知らなくて良い”という風に、聴いてくれている人に向けて語りかけているんですね。それで、“WHO ARE YOU? AND WHO AM I?=あなたは誰? 私は誰?”と歌っていて、私と同じような悩みを持っている人だったりとか、私の曲を聴いてくれている誰かに向けて、一緒に悩もうよと語り掛けた曲になっています。

――ラップのテイストを使い分けられることも強みといえますね。『CHOCOLATE』の5曲目に入っているウッドベースっぽい音リフを活かした「LIGHT IT UP」は、軽やかなアッパーさが心地好いです。

ちゃんみな:この曲、オシャレでしょう?(笑)

――オシャレです(笑)。

ちゃんみな:オシャレにいこうぜという曲です、これは(笑)。アメリカに行ってから作った曲で、現地の空気を感じながら、アメリカっぽいものを作りたいと思って。「LIGHT IT UP」は、結構遊びながら作りました。みんなで、“イェーッ!”みたいな感じで作っていったんです。リリックは、イキっていますね(笑)。“どいてなよ、Bitches”みたいなことを言っていて、イキりたい時に聴いて欲しい曲です(笑)。

――パーティー・チューン的なナンバーといえますね。この曲はサビのキュートな歌声も印象的です。

ちゃんみな:実は、これがわりと私の素の声なんですよ。

――えっ、そうなんですか?

ちゃんみな:はい(笑)。ラップをしている時は無意識に声を潰しているんですけど、素で歌うと、ああいう声なんです。だから、私にとってはナチュラルな声だけど、“えっ?”てなる人が多いみたいですね。

――なりました。

ちゃんみな:アハハ(笑)。たしかに、今回は結構曲によってラップや歌のテイストを変えていて。誰かに、「CHOCOLATE」で、“うわぁ、かわいいちゃんみな来た!”と思ったら、「TO HATERS」で急に氷を投げられたみたいになって、でも最後は「FRIEND ZONE」で、“ああ、良かった”ってなると言われました(笑)。安心して近づいたら、石を投げられるようなアルバムだと(笑)。


――その感覚は、よく分かります(笑)。ラップや歌の表情はわりと決め打ちでいくタイプでしょうか? それとも、いろいろ試して決めるタイプでしょうか?

ちゃんみな:決め打ちです。実際に歌う前に、これはこういう感じかなとイメージするんですよ。それで、歌ってみたら正解だったということが多いですね。歌ってみて、これは違うだろうといって軌道修正することは基本的にないです。細かいイントネーションとかは、歌いながら決めることがありますけど。

――楽曲を作る時にイメージが明確なことが、よく分かります。今話が出たように、アルバムはウォームな「FRIEND ZONE」で締め括る構成になっていますね。

ちゃんみな:「FRIEND ZONE」は、なんかホンワカしていますよね(笑)。この曲はLAという感じがしませんか?

――します。

ちゃんみな:これは、今回のレコーディングでLAに行った初日に作ったんです。“LAに着いた。よし、曲を作ろう!”と思って作ったら、自然とこういう曲になりました。歌詞は、“うちら、ただ2人きりで見てるだけ。Just Netflix,Yeah!”という感じですね。“あなたとは、ずっと友達でいたいの。ずっとFRIEND ZONEにいてね。No Sex,No kissin’”みたいな。つまり、男女の友情がテーマになっています。

――「FRIEND ZONE」は、サビのそこはかとないレゲエ感も絶妙です。アルバム全編を通してEDMやダブ、R&B、レゲェなど、いろいろな音楽的な要素をフィーチュアしていながら、どっぷり寄せていないことも特色といえますね。

ちゃんみな:そこは、私もこだわっています。“摘まむ系”というか、さり気なく香らせるのが良いなと思って。押しつけがましいのは嫌なんですよね。

――ちゃんみなさんは熱い人ですが、作る音楽は透明感があったり、スタイリッシュだったりするのが面白いです。

ちゃんみな:スタイリッシュというのは、初めて言われました(笑)。本当ですか?

――本当です。

ちゃんみな:わぁー、嬉ぴよ、嬉ぴよ(笑)。すごく嬉しいです(笑)。

――盛り過ぎない手法が功を奏して『CHOCOLATE』は、強く惹き込む力を持っていながら重くはないというアルバムになっています。そして、それは今のリスナーの感覚に、とても合うと思います。

ちゃんみな:それも、初めて言われました。でも、たしかに今は昔のリスナーみたいに、ヘッドフォンをして、じっくり音楽を聴き込むのはしんどいし、かといってサラーッと流れてしまうような音楽は聴く気にならないという時代かなという気はしますね。さっきも言ったように、私は耳当たりがよいのが良いかなと思って作っただけなんですよ。その結果、『CHOCOLATE』が今言っていただいたようなアルバムになっているとしたら良かったです。

――意識しなくてそうなったというのは、さすがです。さて、『CHOCOLATE』を完成させて、今はどんなことを感じていますか?

ちゃんみな:もう、すごくスッキリしています。8人の子供を産んだ…みたいな(笑)。しかも、みんなかわいい…みたいな(笑)。このアルバムは、ラップとかヒップホップは分からないという人にも聴いて欲しいですね。特に、「CHOCOLATE」とかは聴いて欲しい。きっと、楽しんでもらえると思います。


――同感です。もう一つ、2018年の2月25日に東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで行なうワンマンライブは、どんなものになりますか?

ちゃんみな:私は、ライブにもメチャメチャこだわっているんです。初めてのワンマンライブの時も自分でプロデュースをして、ショーを作るような感覚で取り組みました。その時は、ストーリー性のあるライブにしたくて、プリンセスが逃げ出したという設定にしたんですね。それで、そういうアニメーションを作ってもらって、ちゃんとしたナレーターの方にも来てもらいました。そういう演出をして、ライブに来てくれた人達が本当におとぎ話を見ているかのような世界観にしたかったんです。でも、初めてのワンマンライブだったので、会場も大きくなかったんですよ。だから、私がやりたいことが全部は出来なかったんです。今回はO-EASTなので、結構出来るんじゃね…というのがあって。なので、今からメチャメチャ楽しみにしています。それこそ、お客さんが映画とかミュージカルを観ていような気分になるライブにしたい。なので、「ちゃんみな、映画作ったらしいよ」くらいの感覚で来て欲しいです。もうね、ヤバいですよ、絶対(笑)。お金を払って観る価値のあるライブをするので、期待していて欲しいです。

取材・文●村上孝之

リリース情報

NEW ALBUM『CHOCOLATE』
2017.11.15 RELEASE
初回限定盤 \2,700+税 VIZL-1254
通常盤 \2,000+税 VICL-64862
■CD
01. GREEN LIGHT
02. MY NAME
03. WHO ARE YOU
04. CHOCOLATE
05. LIGHT IT UP
06. TO HATERS
07. LAST NIGHT
08. FRIEND ZONE
■DVD ※初回限定盤のみ
●ちゃんみな 1st Live 未成年~To be QueeN~ @代官山UNIT 2017. 3. 27
・FXXKER
・BEST BOY FRIEND
・She’s Gone
・未成年 Feat. めっし (NEW MIX)
●MY NAME (MUSIC VIDEO)
●LADY (MUSIC VIDEO)
●FXXKER (MUSIC VIDEO)

ライブ・イベント情報

<ワンマンライブ>
2018年2月25日 TSUTAYA O-EAST

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