【インタビュー】Joy Opposites、2ndアルバム完成「シンプルは簡単にできるものじゃない」

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Joy Oppositesが11月8日、2ndフルアルバム『Find Hell』をリリースした。前アルバム『Swim』から1年3ヵ月ぶりとなる最新作に、もはや“元FACTのAdam、Tomohiro、Eijiの3人に、海外シーンで活躍するImmyを加えた”なる肩書きは必要ない。そのサウンドは飛躍的にスケール感を増して、オルタナやラウドといったジャンル感を超越。深みと重厚感の核を彼ら本来のメロディアスな旋律が貫き、4人の音がガッチリとスクラムを組んでJoy Opposites印のオリジナリティを確立した。

◆「Gold Blood」ミュージックビデオ 動画

英国の名門メトロポリス・スタジオで実施したレコーディングは、アデルなどの作品を手掛けるリアム・ノランがエンジニアを担当、ミックスをアット・ザ・ドライヴ・イン作品のプロデューサーでも知られるアレックス・ニューポート、マスタリングはデヴィッド・ボウイの『Blackstar』を手掛けたジョー・ラポルタが務めるなど、全12曲が世界標準のサウンドクオリティで届けられる。

『Find Hell』というタイトルは“地獄”のようなシチュエーションを描いた映画の登場人物をモチーフとしたものだが、苦しみや恐ろしさだけを表すものではない。「ワクワク感がある」というバンドの現在、シーケンスやストリングスを有効に用いた新たなサウンド、表現力が格段に増した豊かなヴォーカルなど、TomohiroとAdamにじっくり訊いたロングインタビューをお届けしたい。

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■ダーク / スペーシー / キャッチー / ビッグ
■作ってるときに4つのキーワードがあった

──アルバム『Find Hell』は歌とメロディにより一層磨きかかり、ポピュラリティがグッと高まりましたね。前アルバム『Swim』から1年3ヶ月ぶりになりますけど、それまではどんな期間でした?

Adam:いろんなバンドのツアーに参加したけど、自分たちのツアーはやってなくて。『Swim』を出して、もっとライヴ活動するつもりだったけど、キャンセルになったライヴもあったから。時間もできたし、曲を作ろうかなと。<SUMMER SONIC 2016>やcoldrainのツアーにも参加しつつ、ライヴ中も曲を作ってました。ライヴをやってないときはImranが俺の家に来て、曲を作ろうか?って。結局、そのときの曲はアルバムに入ってなくて、シングルのBサイドに入ってるんですけどね。

Tomohiro:そのときはここでアルバムを出そうとか決めてなくて、漠然と曲を作ってたんですよ。海外のマネジメントと契約する話も持ち上がったときに、『Swim』をプッシュするのは遅すぎるから、新曲作りを加速させようと。

▲<Joy Opposites presents“As Above, So Below Tour 2017”>

Adam:今年3月ぐらいまで曲作りをやっていたかな。ホステス(所属レーベル)は『Swim』を出す前から俺らに興味を持ってくれてたけど、今回のレコーディング前に具体的に出したいと言ってくれて。結局、その海外のマネジメントとはやらなくて、MONOやBo Ningenを手がけているマグニフとホステス間でやることになりました。普通はアルバムを出して、ツアーをやって、またアルバムを出すみたいな流れになるけど、そうじゃなかったから。不思議な期間でしたね。

──今はようやくバンドの進むべき道がはっきり見えてきたと?

Adam:そうですね。『Find Hell』を作って、ツアーの計画もあるから。サポートギターのYuya (Yuya Tanami)が入って、音は変わったと思うけど、自分たちがやりたいことは変わってなくて。

Tomohiro:単純に環境が変わったから。これからまた違う動き方ができるだろうから、そのワクワク感はありますね。

──『Find Hell』はマグニフ / ホステス移籍第一弾作になりますが、それはより海外に打って出て行きたいという気持ちから? それともその志は最初からありました?

Tomohiro:個人的には最初からありましたね。Adamはイギリス人だし、Imranはベルギー人だし、俺とEijiは日本人だから。自然とこの国だけって固定する必要はないかなと。海外にも行きたいし、Adamが歌っているからこそ、発音どうこうの壁もないですからね。その音楽が好きかどうかだけになるから。

──確かにそうですね。

Tomohiro:ヘンな風に伝わると怖いんだけど、日本人のバンドだから好きという海外の人もいるんですよ。聴く人が付加価値をつけるのは全然いいんですけど、国を越えているようで越えてない気もするから。純粋にこの音楽どう?と言えるのは潔いかなと。

Adam:そうだね。まあ、ホステスが出してるアーティストはクオリティが高い人たちしかいない気がして。その中に俺らが並んでいるのが不思議というか、嬉しい。

──BECKや過去にはRADIOHEADなどをリリースしていたレーベルですからね。

Adam:そうそう。ほかにMARILYN MANSON、AT THE DRIVE-INとかね。

Tomohiro:やばい! ライヴができなくなっちゃう。

Adam:はははは。日本のバンドもそこまで出してないしね。

▲<Joy Opposites presents“As Above, So Below Tour 2017”>

──そんな多国籍バンドのJoy Oppositesですが、曲作りはメンバー間でどんな風に進めているんですか?

Tomohiro:ImranとAdamを中心に曲のベーシックを作っています。その後、データでやり取りをしながらベースやドラムを付けたりしてみんなで作っていますね。最初の方にできた曲は前作よりも少しテンポが速かったんですよ。それから今回みたいな曲が増えて、徐々に方向性が見えてきました。

Adam:『Find Hell』はアルバム一枚通して、世界観がしっかりあると思うんですよ。それは曲のチョイスで、そうなったところもあるから。ほかの曲も良かったけど、今回のアルバムの雰囲気とは違ったのかなと。

──その中でキーになった曲というと?

Adam:俺の中では「Cinnamon」「Good Luck」ができたときに、アルバムの方向性が見えた気がして。この2曲は近い期間でできたから。

──Tomohiroさんはどうですか?

Tomohiro:俺は「Blind Dogs」「Gold Blood」「Good Luck」ですね。一見タイプは違うかもしれないけど、「Blind Dogs」ができたときにシーケンスの曲が増えるなと思ったし、それでいいと思いました。それからベースのアプローチも考えたんですよ。「Gold Blood」はいい意味でわかりやすいから、ミュージックビデオやシングルになるかもなって。そうしたら、マグニフやホステスの人たちも同じように反応してくれたし。「Good Luck」は鍵盤が入ってるし、タイプは違うけど、俺の中では柱になった3曲ですね。好きな曲はたくさんあるけど、この3曲の存在は大きくて。

──『Find Hell』はかなり変わりましたね。曲調もシンプルになったし、スタジアムロック的なスケール感のある楽曲が増えたなと。

Adam:作ってるときに4つのキーワードがあって、ダーク、スペーシー、キャッチー、ビッグ。そればかり意識していたわけじゃないけど、頭の片隅にあったから。

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