【インタビュー】B'z、『DINOSAUR』完成「君が今聴いているバンドとは違うと思うよ」

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■僕らは音楽を聴いてほしいから
■音楽での表現以上のものは求めていない

──逆に、最も嬉しかったこと/感動したことって何ですか?

松本:そうだね……初めてチャートで1位になったこととか?

──早々に1位になりませんでした?

稲葉:そうでもないよ。

松本:2年くらいかかった(註:5thシングル「太陽のKomachi Angel」)。まあそれでも早いっちゃ早いと言われるかもしれないけれど、それはやっぱり嬉しかったよね。

──そしてライブ動員もどんどん増えていく。

松本:そうだね、1990年くらいだったかな……『RISKY』ツアー(註:<B'z LIVE-GYM '90〜'91「RISKY」>)で全国のホールをまわってて、今でも覚えているけど、沖縄だけいっぱいにならなかったんだよね。

──そんなエピソードがあるんですね。

松本:だけどね、お客さんの顔を見たら「次は必ず満員になる」と確信したのをよく覚えている。

──YAMAHA MG-Mを使用していた頃ですね。

稲葉:やっぱりライブには感動するシーンは多いですよね。ツアーごとにありますし、今でもひとつのツアーが無事に終わることの喜びは大きいですよ。

──その喜びは、お客さんから得るものでもありますね。

稲葉:実際そういうことだと思います。それはお客さんがいないと成立しないことですから。特にホールツアーをやっているとお客さんもよく見えるので、年齢層的にもいろんな方が来ていますよね。

──世代を超えて愛されているのは、音楽に対して真摯にやってきたから?

松本:それがちゃんと結果につながったから、ね。「ヒットする」ということは「たくさんの人が聴く」ということだから、人生の中でその人のその時のポイントに、多少なりとも影響があると思うんですよね。そういうのが多ければ多いほどいいよね。

──「B'zで一番の思い出曲は?」と訊いても、人によって時代/世代はまちまちですもんね。「ultra soul」の人もいれば「いつかのメリークリスマス」もいる。

松本:みんな違うよね。

──一方で、レジェンドな洋楽アーティストが「もう新曲は作らない」と発言したりする時代でもあって、音楽を生み出す意味/意義ってなんなんでしょう。自己表現といえばそれまでですが。

松本:そうですね、ロジャー・ダルトリーが「新譜なんか創る意味がない」みたいな発言をしていましたよね。「新曲を創っても、その制作にかけた才能や労力が報われない」とも言っていましたね。

──特にヒット曲を持っているアーティストは、そういう気持ちになったりしてしまうようで。

稲葉:ライブでもヒット曲が求められちゃいますからね。

松本:でもまだ日本は、CDを買いたいという人が欧米よりは多いじゃない? だから、そういう意味では救われているかもしれないね。

──そんな30年もの歩みの中で、時代は急速にソーシャル中心に変わっていき、アーティストの発言/活動形態も随分変わりましたが、B'zだけ何も変わっていないんですよね(笑)。

松本:ソーシャルは、オフィシャルなものはあるけど個人的にはやってないね。

稲葉:そうですね。

──なんで?……という質問は愚問ですか?

松本:いや、逆に「なんでそんなに自分のことを知ってもらいたいのかな」って思うんだよね。「ここでこんなの食べました」とか「ここにいます」とか。

──ぷっ(笑)。

松本:そんな個人情報をね……どうなんですか?

──い、稲葉さんはどうですか?

稲葉:SNSですか? 今やひとつの表現形態というか……、一般の方は僕らみたいな表現方法を持っていないわけですから、ああいうものを使えばいろんな表現ができますし、人によってはストレス解消かもしれない。人の悪口を言うより良いですよね。ちょっと盛っちゃって「こんな生活してまーす」みたいな人もいると思いますけど。

松本:それはそれで楽しいのかもね。

稲葉:本当の生活がそこにあるわけではないし、最初から人に見られることを意識して始めているので、そこでの発言や行動は、ある意味自分の作品みたいなところがあるのかもしれないですね。一生懸命写真を撮ってアップしたりしているわけだし。

──なるほど、そうですね。

稲葉:だから、そこには自分のアイデンティティがあるのかもしれないですし。僕らは音楽を聴いてほしいから、音楽での表現以上のものは求めていないというか。

──スタッフから「稲葉さんもツイッター、やってくださいよ」とか言われたことは?

稲葉:それはもう、最初から無理だと思っているから言えないですよね(笑)。かろうじてオフィシャルでやっているだけ。

──スタッフが苦笑いしてます。

稲葉:(スタッフに)やったほうがいいんですか?

スタッフ:……やったら衝撃。

松本:たまにスタッフから「何かあったら何か送ってくださいね」って言われるけどさ。

稲葉:でも松本さんは、覚えたらやりそうな感じがしないでもない(笑)。

松本:俺? でもね、多分すぐ飽きて長続きできないと思う。あれ、そうとうマメじゃないとダメだよね。

──続けないとダメです。どうやら完全に性に合っていないですね。

稲葉:めんどくさがりだからね。

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