【インタビュー】人間椅子・鈴木研一的考察「最高にカッコいいMV」

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人間椅子のベーシスト鈴木研一を取材するのは、これで何回目になるだろうか。独自の世界観と1mmもぶれない確固たる音楽性を貫く稀有なミュージシャンシップを持ったロックプレイヤーとして、多くの人から多大なるリスペクトを受ける好人物であり、もちろん私もその例にもれない。

だがしかし、あくまで“プロモーション活動の一環としての取材ですよ”と伝えているはずなのだが、この人にはそういう姿勢が1mmも見当たらない。どうやら単なる音楽談義をするために足を運んでいるきらいがある。少なくとも私は音楽メディアの編集長としてアーティスト・インタビューをしているつもりでいるのだけれど、それを受ける鈴木研一はただニコニコ笑いながら「そういうのは和嶋くんに聞いてください」でおしまい。毎度のことながら困った人である。

  ◆  ◆  ◆

■今まで僕も観れなかったものも入っている

──4月4日発売の『おどろ曼荼羅〜ミュージックビデオ集〜』に関して、ですが…。

鈴木研一:え?そういう会ですか?今日は編集長と僕が好きなミュージックビデオを観て楽しむって言われて来たんだけど…(笑)。

──…(あのね…)

鈴木研一:宣伝…は、別に「観たい人は買ってくれ」ぐらいで。

──それでおしまいですか。

鈴木研一:でもなんていうの、記録としてこれはお買い得ですよ。今まで僕も観れなかったものも入っているし。

──“僕も観れなかった”?

鈴木研一:「ギリギリ・ハイウェイ」とか「ダイナマイト」は、撮った本人の蔵に入っていたビデオで、どこにも出ていなかったから、僕らも観れなかった。当然皆さんも観れなかったもので。

▲DVD/Blu-ray『おどろ曼荼羅~ミュージックビデオ集~』

──どういうことですか?放送もされなかった?

鈴木研一:1回くらいはされてますよ。地方ローカル局でやっていた番組の間に挟んだりしたんじゃないかな。青森朝日放送…ABAでアバっていう(笑)放送局があるんですけども、開局に合わせて番組を始めたんすよ。

──人間椅子の番組?

鈴木研一:そう。お医者さんの先生が日曜深夜というすごい枠を買い取って『人間椅子倶楽部』という番組を始めたんです。

──まるで青森のジャガーさんだな。

鈴木研一:そんな感じ。『頽廃芸術展』という7thアルバムも、先生の手伝いをもらいながら録ったやつですね。アルバム4枚目でメジャーをクビになったんですよ。

──デビュー時のレーベルはメルダックでしたね。

鈴木研一:そう。5枚目は、インディーズなんですけど、そうなったときにもっと頑張れっていう意味でサポートしてくれたんですよね。アルバム5〜7作目がそうですね。それ以降もずっと応援してもらってたんです。

──その先生のもとで作ったPVがお蔵入りになっていたわけだ。

鈴木研一:撮ったことは覚えていたんだけどどこにもなくて。和嶋君はすごく記憶力が良くて何十年も前に会った人の名前も覚えてるくらいでね、「絶対先生が持ってる」って電話したんですよね。

──そうやって発掘されたビデオが収録されているんですね(ちゃんとプロモーショントークになっているじゃないか…)。

鈴木研一:他にもなかなか観られないのがいっぱいありますよ。

──それは本人たちにとっても新鮮だったでしょう?

鈴木研一:そう。なんか恥ずかしい感じ。なんでこんなことしたんだ?っていう(笑)。それも含めていい記録…クロニクルっていうんでしたっけ?そんな感じ。



──人間椅子のリーダーシップは和嶋さんが取られていますが、ビデオの制作にはどのように関わっていたんですか?

鈴木研一:事務所の社長がミュージックビデオを撮りたくてしょうがない人だったんです。借金して作っていたと思いますよ。

──そういうエネルギーって大事だよなあ。

鈴木研一:ステージに対しても演出したがっていたから、僕らと対立していたんですけどね。寺山修司や宮沢賢治が好きだったから、その世界観でもめるというか、ね。

──ポジティブな対立でいいじゃないですか。

鈴木研一:そうそう。事務所にいた頃はビデオ撮影も言う通りにやってましたよ。自分らでこういうのを作りたいって思って映像の脚本の段階で口を出すようになったのは、アルバム『見知らぬ世界』(2001年)あたりからじゃないですかね。その頃から和嶋君が意見を出して、プロデューサーのひとりみたいになってました。

──ミュージシャンにも色んなタイプがいますけど、衣装とか映像とかどうでもよくて「任せるわ」っていう人、意外と多いですよね。

鈴木研一:それ、僕ですね(笑)。宣伝のために撮るって割り切ってるから、どうすれば宣伝になるかとは考えるけど、ストーリーとかまではどうでもいいかなあって。変なことはしたくなかったけど、でも今観たら変なことしてるんだわ(笑)。

──ぷは(笑)

鈴木研一:今だったら絶対口出すところ。和嶋君は映像とか含めてこだわりがあって、全部そういうのに口を出したいというか、作る側に回りたい人で、他の二人はどうでもいい人。だからうまくいくと思うんですよ。3人が口出したら、撮り始められないから、ちょうどよかったなあって思う。

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