【ライブレポート】<均整を乱す抗うは四拍子>、“V系新世代 四天王”の証

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“ヴィジュアル系新世代の四天王”と言われる己龍、BugLug、R指定、vistlipの4バンドが3月11日よりライブツアー<均整を乱す抗うは四拍子>を開催した。

◆ライブ写真(27枚)

今のヴィジュアル系シーンを語る上で絶対に外せないこの4バンドの競演。2年ぶりの開催となった本ツアーでは全国各地で熱演が繰り広げられ、3月30日新木場STUDIO COASTにてツアーファイナル公演が行われた。ここではその日の模様をレポートする。


先陣を切ってステージに立った己龍のライブはパワフルに疾走する「天照」で幕を開け、わらべ歌をモチーフにした「朔宵」を経て、メタリックなミディアムテンポの「阿吽」に移る流れからスタート。華やかにパフォームするメンバー達の姿とヘヴィ&エモーショナルなサウンドにオーディエンスのボルテージは高まり、場内は一気に己龍の世界へと染まった。

3曲聴かせたところで、黒崎眞弥(Vo)のMCが入った。「<均整を乱す抗うは四拍子>が、2年越しの再集結を果たしました。いろんなバンドが生まれたり、消えていったりする中で、この4バンドは今なお前線に立っています。それを実現させてくれたのは、みんなの力です。ご来場、ありがとうございます」。彼の言葉に、客席からは温かみに溢れた拍手が湧き起こっていた。


その後は、「自惚レテ愛玩」や「鬼遊戯」「百鬼夜行」といったハード&メロディアスなナンバーを相次いでプレイ。己龍の楽曲はヘヴィメタルに通じる重厚さや翳りがベースになっていて、どちらかというと内側に向かった音楽性といえる。だが、鮮やかな和テイストを活かしたアレンジや眞弥が歌の合間に「声を出せ!」「次は、この振りでいくぞ!」といった言葉を発してオーディエンスを先導していくライブ・スタイル、メンバーが織りなすフィジカルなステージングなどが一つになって、彼らのライブはアッパーな空気感になっているのは興味深い。彼らならではの“ダークでいながら気持ちを引き上げられる”という持ち味は本当に魅力的で、場内は終始一体感に満ちた盛り上がりを見せていた。

ハイボルテージな「情ノ華」でいきあげた後、ラストソングとして新曲の「春時雨」が演奏された。オーディエンスに馴染みの薄い新曲で、さらにダンサブルなサビ・パートを配した新機軸のナンバーを最後に持ってきたことからは、己龍が新たな路線に自信を持っていることがうかがえた。オーディエンスのリアクションが上々だったこともあり、今後の己龍にも大きな期待を寄せずにいられない。


暗転した場内にオープニングSEが流れ、ステージにR指定のメンバーが登場。客席から熱い歓声が起こる中、「しょっぱなから、かかって来い!」というマモ(Vo)の力強い声が響き、R指定のライブは狂騒感を放つ「愛國革命」から始まった。ステージ中央に立って力強い歌声を聴かせるマモと、ステージを行き来してパワフル&タイトなサウンドを奏でるバック陣。R指定特有の“尖り”を放つステージは最高にカッコ良くて、ライブが始まると同時に強く惹き寄せられた。

その後はレトロかつ妖しい味わいの「帝都に死す」やヘヴィな歌中とキャッチーなサビ・パートのコントラストを活かした「ぼくらアブノーマル」などをプレイ。背中に日の丸を背負った揃いの衣裳や旧日本軍をイメージさせる映像、現代社会に対する批判を込めた歌詞など、彼らの世界観は危険な香りに満ちている。でいながら、重ったるく感じさせないのはさすがの一言。内面の怒りをエネルギーに変えて発するアプローチが奏功して、場内は終始良い雰囲気で盛り上がっていた。


3曲聴かせたところで、「<均整を乱す抗うは四拍子>のファイナルです」とマモが挨拶。その後は「ファイナルが淋しいなら泣けよ。泣けよ、おら!」と客席を挑発したり、「R指定の新しいシングルを買ってないヤツは帰れ!」と言ったり、18才の女の子をオバサン扱いしたりといつもながらのアブナさ全開のMCだったが、嫌な雰囲気にならないのはマモらしい。毒舌で笑いをとって、場内を和ませる姿が印象的だった。

ライブ後半ではヘヴィ&ハイテンションな「規制虫」や荒々しく疾走する「病ンデル彼女」などが演奏され、場内の熱気はさらに高まっていった。場内が一体になったことを感じさせる熱い盛り上がりを見せた後、最後にスロー・チューンの「ソメイヨシノ」を披露。ハードなライブの締め括りに、エモーショナルなナンバーを持ってくる辺りも実に心憎い。“怒りをぶつける系”のライブにも拘わらず、終演後の場内が爽やかな余韻に包まれていることが心に残った。

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