【ライブレポート】Psycho le Cémuが見せた鮮烈なダークサイド

ポスト


3月からスタートしたサイコ・ル・シェイムの全国ツアー<TOUR 2018 Doppelganger 〜ゲルニカ団 漆黒の48時間〜/〜PLC学園 最期の48時間〜>が5月12日に豊洲PITにてファイナルを迎えた。

◆Psycho le Cému ライブ画像ページ

2015年の完全復活以降、初の全曲オリジナルアルバムとなった『Light and Shadow』は光と影の2面性を1枚にパッケージしたサイコ・ル・シェイムらしい振り幅とエンターテインメント性のある作品に仕上がったが、“正義VS悪”の対決を具現化した今回のツアーは、バンドにとって新たな挑戦となった。特にこれまでのサイコ・ル・シェイムのライブのあり方を覆したのが12時30分開演の<第一部 〜ゲルニカ団 漆黒の48時間〜>だった。彼らのライブにつきもののお芝居はなし。ナレーションでストーリーを展開させていき、ダークサイド・オブ・サイコ・ル・シェイムでフロアーを熱狂させた。

色とりどりのサイリウムのブレスレットがフロアーに揺れる中、暗転すると高笑いが会場に響きわたり、ゲルニカ団のナレーションが物語の幕開けを告げた。

「この世界はまやかしに過ぎない。人は奪い合い、争い、愛を求めていずれ悪魔に姿を変えていく。これこそ我々の真の姿。本能のまま意のままに行けばいい。誰も何もしてくれないのであれば我々とダークサイドに身を投じ、共に楽しめばいいさ。オマエたちの本性を剥き出しにして叫んでみろ!」

黒で統一した衣装に身を包んだメンバーがステージに姿を表すと大歓声。サイコ・ル・シェイムと言えばカラフルなコテコテ衣装なので、事前に解禁されていたとは言え、この王道ヴィジュアル系に近づけた出で立ちは画期的だ。ライブは新作『Light and Shadow』のオープニングを飾るメタリックでスピード感たっぷりの「Revenger - 暗闇の復讐者 -」で幕を開け、seekのデスボイスとDAISHIのボーカルのかけあいも息がピッタリ。続いてYURAサマのドラムがフィーチャリングされる「ノスフェラトゥ」ではハンドクラップで盛り上がり、ハードエッジな演奏が痛快な「インドラの矢」からヘドバン続出の「〔feel on the dark〕」と激しいナンバーを連続投下。モード系を思わせる背中が大胆に開いたseekの身軽な衣装に(いつも人間離れが半端ないだけに)驚愕しつつ、「この世界を漆黒に染めていこうぜ! かかってこいよ!」という煽りで始まった「One day」では場内がジャンプして、はじけまくり。インディー時代からの代表曲のひとつ「クロノス」ではLidaが伸びやかでテクニカルなギターソロを響かせ、フロアの振りがピッタリ揃っているのが壮観だった。第一部の本編ではもう1曲、ニューアルバムからダークサイドの激しいナンバー「哀しき獣」が披露された。YURAサマのパワフルな高速ドラムに絡むseekのエッジーなベース、ツインギターの見せ場も華があるこの曲はサイコ・ル・シェイムの実力を証明。それにこの日はDAISHIのボーカルがパワーアップし、表現力が増していたのにも驚かされた。







ここで再びゲルニカ団からの「自由を奪うのが正義とでもいうのか?」「我々は我々の自由を求める!」「自分らしく誇り高き人間であれ!」というナレーションが流れ、サイコ・ル・シェイムのメロディが光る曲たちへと。DAISHIとLidaにスポットライトが当たった「凛〜愛するもののために」ではシーンと聴き入っていたフロアから拍手が沸き起こった。中盤戦ではAYAとYURAサマが踊る「魅惑のスィング!」、おなじみの「激愛メリーゴーランド」を披露し、しばし癒しのパーティータイム。



が、それもつかの間。稲川淳二氏による背筋がゾクッとするナレーションが流れ、特効で度肝を抜いて幕を開けた後半戦はseekのドスのきいたボーカルが迫力満点の「2020」に始まり、フロアを一瞬たりとも休ませないハードな曲を投下。シングルの表題曲をほとんど演奏せずにアルバム曲やカップリング曲でライブを構成していたのも“ゲルニカ団”サイドの特徴で、サイコ・ル・シェイムのバンド力を遺憾なく発揮する堂々たるステージングだった。seekがジャンプし、AYAが早弾きをキメた暗黒ゴシックメタルナンバー「漆黒のゲルニカ」で興奮の渦に巻き込み、本編ラストは、センターに4人が集結する場面も見せ場だった切なくも激しいナンバー「LOVE IS DEAD」。煽り以外はMCもなし。シリアスでストイックなサイコ・ル・シェイムの姿が鮮烈な印象を残した。





DAISHIが「まだまだ俺たちが欲しいか!?」と叫び、アンコールの1曲目は第一部のテーマ曲といってもいい「絶望のゲルニカ」で始まり、サイコ・ル・シェイムのライブのキラーチューンを投下。メンバー1人1人がフィーチャーされる「Last Emotion」では本編に続いて、seekがフロアにダイブする。コール&レスポンスでどこまでも昇りつめていく「Murder・Death・Kill」で狂熱のライブは幕を閉じた。

エンドSEは「Revenger - 暗闇の復讐者 -」。メンバーがステージを去り、最後のナレーションが流れた。

「PLC学園、最期の48時間まであとわずか。このゲルニカ団の世界にPLC学園の奴らを誘い込んでやる。そして必ずやPLC学園の息の根を止めてやる。オマエたちのその目でしかと見るがよい。思い知らせてやるぞ。この世界の救世主は我らゲルニカ団だということを」

再び高笑いが響き、宣戦布告とともに第一部を締めくくった。

取材・文◎山本弘子

◆【第2部ライブレポート】Psycho le Cémuの過去最高の輝き「また明日から一緒に頑張ろうな!」

  ◆  ◆  ◆

【セットリスト】

2018.05.12(土)第1部
<Doppelganger ~ゲルニカ団 漆黒の48時間~>
M1. Revenger -暗闇の復讐者-
M2. ノスフェラトゥ
M3. インドラの矢
M4. [feel on the dark]
M5. one day
M6. クロノス
M7. 哀しき獣
M8. 蒼い星
M9. LOVE IS ALIVE
M10. 凛 ~愛する者のために~
M11. 魅惑のスィング!
M12. 激愛メリーゴーランド
M13. 2020
M14. 摩天楼カオス
M15. 聖〜excalibur〜剣
M16. Mind Core
M17. Liberty, babies
M18. 漆黒のゲルニカ
M19. LOVE IS DEAD

EN1. 絶望のゲルニカ
EN2. 銀狼
EN3. LAST EMOTION
EN4. Murderer Death Kill

■ Psycho le Cému

【リリース情報】
アルバム『Light and Shadow』
2018年5月9日(水)発売
1. Revenger - 暗闇の復讐者 -
2. 妄想グラフィティー
3. STAR TRAIN
4. JUNGLE×JUNGLE
5. 哀しき獣
6. 絶望のゲルニカ
7. 命のファンファーレ
8. SILENT SHADOW
9. ファイティング!
10. 大空を目指すあの花のように

【豪華盤】(CD+DVD Type A+フォトブック+グッズ(特製三方背BOX仕様)) 15,000円(税込) WPZL-31426/7
【初回限定盤】(CD+DVD Type B) 5,000円(税込) WPZL-31424/5
【通常盤】(CDのみ) 3,000円(税込) WPCL-12849

■豪華盤■
特製三方背BOX仕様
32Pフォトブック
オリジナルロングTシャツ(フリーサイズ:Mサイズ相当)
DVD Type A
- Psycho le Cému 15th Anniversary Live<TOKYO PARALLEL WORLD ~はじまりの奇跡~>完全版
- Psycho le Cému 渋谷公会堂 追加公演 「復活!理想郷旅行」(2002.5.11)秘蔵映像
- 「妄想グラフィティー」Music Video & Making Video

■初回限定盤■
DVD Type B
- Music Video集(2015年の復活後の全作品)
- 「Revenger - 暗闇の復讐者 -」 Music Video & Making Video

【ライブ情報】
<TOUR 2018 Doppelganger~ゲルニカ団 漆黒の48時間~ ~PLC学園 最期の48時間~>
4月28日(土)札幌cube garden
4月29日(日)札幌cube garden
5月2日(水)盛岡change WAVE
5月3日(木)盛岡change WAVE
5月5日(土)仙台darwin
5月6日(日)仙台darwin
5月12日(土)豊洲PIT 第一部
5月12日(土)豊洲PIT 第二部

この記事をポスト

この記事の関連情報