【インタビュー】セパルトゥラ「メタル・コミュニティは常に強力であり続けてきた」

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約17年ぶりとなったセパルトゥラの来日公演は、異様なほどの熱気と昂揚感をともなうものとなった。最新アルバム『マシーン・メサイア』からのナンバーと「ルーツ・ブラッディ・ルーツ」「レフューズ/レジスト」といったセパルトゥラ・クラシックスが交錯するライヴのアンコールでは、アルバムのボーナス・トラックとして収録された「ウルトラセブンの歌」のエクストリーム・メタル・ヴァージョンも披露され、場内が「セブン!セブン!セブン!」と合唱するレアな瞬間も実現した。

◆セパルトゥラ映像&画像

進化を続けるセパルトゥラの軌跡と向かっていく未来について、バンドの音楽性を支えるギタリストのアンドレアス・キッサーと1991年生まれというドラマー:エロイ・カサグランデが語ってくれた。



──2017年1月に『マシーン・メサイア』を発表後、ヨーロッパや南北米、UAEやロシア、インドネシア、タイなど文字通りのワールド・ツアーを行ってきましたが、世界はどのように変化しましたか?

アンドレアス:俺たちが本格的にツアーをするようになったのは1989年だった。まだベルリンの壁があって、ユーゴスラビアという国が存在した時代だよ。1990年代にはさまざまな変化があった。携帯電話、インターネット...ライヴやフェスの機材も進歩したんだ。それまでロックのライヴがほとんど行われなかった国でもツアーをやるようになった。インドやモロッコでもプレイしたし、キューバでもショーをやったよ。2008年だったかな、ザ・ローリング・ストーンズよりも前だったんだ。6万人の前でフリー・ショーをやった。飛行機のチケットと宿泊は確保されていたけど、実質ノーギャラだったよ。しかも物流の問題で、機材をすべて現地に残したまま国を出なければならなかったんだ。最近スイサイダル・テンデンシーズがキューバでショーをやったんだけど、現地で調達した機材に“セパルトゥラ”と書かれていたそうだ。もう1年近く、ずっと使っていたんだよ。デビュー当時の頃を思い起こすと、すべてが変わった。世界は一変してしまったよ。今ではどこにでもスターバックスがある(笑)。

──音楽、特にメタル・ミュージックはどのように変化したでしょうか?

アンドレアス:メタルは常に浮き沈みを経てきた。1980年代にMTVや第1世代スラッシュ・メタルが盛り上がったかと思ったら、1990年代後半には停滞していた。それから再浮上して2018年、メタルは良いポジションにあると思う。世界中でメタル・フェスティバルが行われて、大勢のファンが集まっているしね。変わらないのはメタル・ファンだ。みんな黒Tシャツを着て、バンドの演奏に対してクレイジーになる。彼らはとてもバンドに対して誠実で、CDやレコード、オフィシャルのTシャツを買ってくれるんだ。違法ダウンロードやブートレグでなくてね。そんな熱意にあふれたファンがいるからこそ、メタル・コミュニティは常に強力であり続けてきたんだ。彼らのおかげで、メタル・バンドもラジオやMTVに依存することなく、自分の信じる音楽をやってこれた。

──2018年はデリック・グリーン(Vo)が加入して初のアルバム『アゲインスト』(1998)発表から20周年となりますが、当時のバンドはどんな状態にありましたか?

アンドレアス:1998年はセパルトゥラが大きな岐路に立った時期だった。フロントマンとマネージャーと別れることになったのは、バンドの歴史で最大のピンチだったといえる。でも俺たちは諦めず進んでいくことを選んだんだ。デリックが加わったことで、セパルトゥラに新しい生命が吹き込まれた。『アゲインスト』はバンドにとって重要なターニング・ポイントだった。あのアルバムのおかげで俺たちは生き続けることができたんだ。今年はアルバムを出して20周年ということもあるし、ライヴで「アゲインスト」「チョーク」「ボイコット」をプレイしている。「チョーク」はずっとプレイしてきたけど、他の2曲は久しぶりに演奏するのに、すごく盛り上がってくれる。ポジティヴな形でアニヴァーサリーを祝うことができて、本当に幸運だね。

──EDMなどコンピュータ操作による音楽だけでなく、セパルトゥラのようなフィジカルな音楽が世界的に支持を得ているのは、まだ世界が“マシーン・メサイア”に乗っ取られていないということですね。

アンドレアス:その通り。セパルトゥラのショーは人類の命運を握るバトルなんだ(笑)。まあ実際のところ、俺たちは決して反テクノロジーなのではない。パソコンだってメールだって使っているしね。大事なのはバランスなんだ。すべてを機械に依存してしまうと、人間同士の繋がりや関連性が失われてしまう。その危険性を訴えているんだよ。それは決してSFではなく、現代の世界で起こっていることなんだ。『マシーン・メサイア』は世界のメインストリーム・チャートで上位にランクインしたし、セパルトゥラの音楽が今日でも有効であることを証明した。オールド・ファンから熱狂的に迎えられたし、新しい扉も開くことができた。日本に戻ってくることもできたんだ。それは俺たちがやっていることが間違っていなかったからだと信じているよ。

──前作『ザ・ミディエイター・ビトウィーン・ヘッド・アンド・ハンズ・マスト・ビー・ザ・ハート』(2013)は映画『メトロポリス』(1927)を題材としていますが、人間が機械のように労働するという描写がありました。そんなテーマは、『マシーン・メサイア』と対比を成しているのでしょうか。

アンドレアス:うん、2枚のアルバムには連続性がある。ストーリーが繋がっているわけではないけど、現代における“人間と機械”の関係がテーマで、『マシーン・メサイア』のボーナス・トラックとして収録した「ウルトラセブンの歌」も、人間の心を持ったロボットのウルトラセブンを題材にしたことで、トータル性を持っているんだ。

──TVシリーズ『ウルトラセブン』は見ていましたか?

アンドレアス:子供の頃、1970年代にブラジルのテレビで見ていたよ。大人気で学校の全員が見ていた。当時、日本のアニメや実写番組がいくつも放映されていて、人気があったんだ。『ファントマス』や『プリンセサ・サフィラ』(注:前者は『黄金バット』、後者は『リボンの騎士』?)とかね。

エロイ:俺は日本のアニメといったら『ポケモン』『デジモン』世代だなあ(苦笑)。『ウルトラセブン』はアンドレアスに教えてもらうまで知らなかった。

──『ウルトラセブン』は「ノンマルトの使者」で先住民問題を扱ったり、ブラジル国民にとってもリアルな内容だったのではないでしょうか。

アンドレアス:俺が見たのは子供の頃だったし、根底に流れるシリアスなテーマはまだ理解していなかったな。十代になるとロックに目覚めて、子供向けのTVはほとんど見なくなったし...近いうちにもう一度見てみるよ。

──ちなみに念のために、ウルトラセブンはロボットではなく、M78星雲からやってきた宇宙人です。

アンドレアス:うーん、確かブラジルで放映されたポルトガル語の吹き替え版ではロボットということになっていたよ?

──アルバム全体をひとつのテーマで貫くという作風は、いつ頃から意識していたのでしょうか。

アンドレアス:『ルーツ』(1996)はコンセプト・アルバムに近い作品だった。ブラジルの打楽器やビリンバウを採り入れたり、先住民族シャバンテ族と共演したりね。それに『ネイション』(2001)にもユートピア国家“セパルネイション”を築くという、ひとつのテーマがあった。『ダンテXXI』(2006)や『A-LEX』(2009)はブラジルで何本かの映画音楽を手がけたことで開眼したスタイルだったんだ。『No Coracao dos Deuses』(1999)という映画の音楽を手がけるオファーを受けたんだよ。その後2~3作の音楽を担当したけど、映画音楽は限られた時間で映像とマッチさせながら曲を書かねばならない。ストーリーがあって、登場人物がいて...そんな制限がある状況下で音楽を生み出すというのは訓練となったね。ひとつのコンセプトを基にしてアルバムを作るというのはバンド全体にとって刺激的な経験だったし、次の『A-LEX』でもアンソニー・バージェスの『時計じかけのオレンジ』を原作にすることにしたんだ。その反動もあって、『カイロス』(2011)はよりベーシックなメタル・アルバムになった。ジャケット・アートを骸骨にしたりね(笑)。

──近年のセパルトゥラはプログレッシヴ・ロックに接近しているともいわれますが、あなた自身はプログレッシヴ・ロックを聴くことがありますか?

アンドレアス:もちろん。イエスやピンク・フロイド、キング・クリムゾンは大好きだし...。

エロイ:ラッシュとかね。

アンドレアス:そう、エロイのドラミング・スタイルはとてもクリエイティヴだし、今のバンドの路線に向いていると思う。パワーに任せてぶっ叩くのではなく、細部へのディテールにこだわって、音楽的により高い境地へと追い込んでいくんだ。そういう意味でエロイはプログレッシヴなドラマーだよ。

──気に入っている他アーティストのコンセプト・アルバムはありますか?

アンドレアス:ピンク・フロイドの『ザ・ウォール』だな。ストーリーが複雑で、さまざまな感情が表現されているし、少年が大人になり、ロック・スター、そして崩壊へと至る道はファンタスティックだよ。クイーンの『オペラ座の夜』だってある意味コンセプト・アルバムに近い作品だ。4人のメンバーがさまざまなアイディアをインプットして、曲ごとにまったく異なっている。喜びも悲しみもあって、しかも「ボヘミアン・ラプソディ」は大名曲だ。クイーンがあの作品をコンセプト・アルバムと捉えていたかは知らないけど、俺の中ではそうだよ。

──イエスの曲に「マシーン・メサイア」というものがあるのはご存じでしたか?

アンドレアス:うん、『ドラマ』の曲だよね?もちろん知っていたよ。ただ、自分たちのアルバムと結びつけることはなかったんだ。指摘されて初めて「ああ、言われてみれば...」と思った(笑)。『ドラマ』は素晴らしいアルバムだけど、ジョン・アンダーソンがいないし、見落とされがちな1枚だと思う。俺たちの『マシーン・メサイア』とは音楽的にまったく異なっているし、あまり気にしなかった。

──『メトロポリス』や『時計じかけのオレンジ』は映画が有名で、どちらも音楽にインパクトがありますが(注:後者は1984年にジョルジオ・モロダーが音楽をつけたヴァージョンが公開された)、自分たちの作品ではそれらを完全に頭から消すようにしていますか?

アンドレアス:『時計じかけのオレンジ』においてベートーヴェンの『第九』は重要な位置を占めるから、どこかで使わないわけにはいかなかった(笑)。ただ。『第九』を『A-LEX』の中心にするつもりはなかった。『時計じかけのオレンジ』を知らなくても、音楽リスナーが楽しめる作品でなければ意味がないと考えたんだ。スタンリー・キューブリック監督の映画は傑作だけど、それを原作にするのではなく、アンソニー・バージェスの小説からより多くのインスピレーションを得ている。小説の方が暴力的なんだよ。眼球が飛び出したり骨がへし折れたりね。キューブリックの映画はヘヴィだけど、直接的な暴力表現は抑えている。だから小説を下敷きにしたわけではないけどね。

──セパルトゥラの音楽では西洋のメタルだけでなく、ブラジルや日本の民族楽器などもフィーチュアされてきました。それがバンドのトレードマークになった感覚はありますか?

アンドレアス:「毎回民族楽器を入れなくちゃ」という強迫観念はないよ。外部の要素を取り入れなくても、セパルトゥラの音楽は成り立つ。でも、こういうことをできるメタル・バンドは数少ないし、俺たちにはそれをうまくできる。この世界にはいろんな楽器があるんだし、使わない理由はないだろ?「メタルだから」という理由で、自分たちの可能性を狭めたくないんだ。俺たちが『ルーツ』でカルリーニョス・ブラウンのパーカッションをフィーチュアしたことで、アルバムの可能性がグッと広がった。彼のパーカッションを使った創造性は素晴らしいものだったし、俺たちにとっても刺激となったよ。『マシーン・メサイア』でチュニジアのストリングスをフィーチュアすることを提案してきたのは、プロデューサーのイェンス・ボグレンだったんだ。「ファントム・セルフ」でヴァイオリンを使うことは、当初俺たちは考えていなかった。イェンスが提案してくれたおかげで、曲そのものが多大な成長を見せることになったんだ。

──さまざまな楽器をスタジオ作品で取り入れてきて、ライヴで再現出来なくて困ることはありませんか?

アンドレアス:それはないな。サンプルを使うこともできるし、「マシーン・メサイア」のような曲ではギター・テクにセカンド・ギターを弾いてもらう。いろんなやり方があるんだ。『ロック・イン・リオ』でプレイしたときは、ヴァイオリンやチェロ奏者8人をゲストに迎えて共演したよ。ただ譜面を弾くのではなく、バンドと呼応しながらオーガニックに盛り上げていったんだ。彼らも顔にペインティングを施したりして、ノリノリだった。『ロック・イン・リオ』のライヴは映像作品として出す予定だから、楽しみにして欲しいな。


──エロイはセパルトゥラに加入して『マシーン・メサイア』が2作目のアルバムとなりますが、「レジスタント・パラサイツ」や「ヴァンダルズ・ネスト」などのドラムスは凄まじいですね。

エロイ:その2曲でのプレイは誇りにしているよ。このバンドに入って以来の俺のベスト・プレイだと思う。ただ、あれをステージで再現することは難しい。スタジオで捉えることができて、本当に良かったよ。

アンドレアス:「レジスタント・パラサイツ」は当初「アティテュード」みたいなタイプの曲にするつもりだったんだ。でもエロイがドラムを叩き始めたら、まったく異なる躍動感が生まれた。この曲はエロイがいるからこそなし得た曲だな。最初にあったリフの一部をジャムを通じて進化させていったんだよ。次に何が起きるかまったく予測不能なのが、このバンドの素晴らしいところなんだ。

──エロイが影響を受けたドラマーは誰ですか?

エロイ:膨大な数になるから難しいね。ビル・ワード、ジョン・ボーナム、ヴィニー・アピス、イアン・ペイス...彼らのプレイを聴いてドラムスを始めたんだ。ビリー・コブハムも好きだった。もちろんデイヴ・ロンバードみたいなメタル・ドラマーも好きだけど、影響を受けたのはオールドスクールなハード・ロック・ドラマーが多い。タメの効いたドラミングを志しているんだ。

──『マシーン・メサイア』を発表して約1年半が経ちますが、次のスタジオ・アルバムの予定はありますか?

アンドレアス:2019年の前半まで『マシーン・メサイア』ツアーを続けるつもりだし、まだしばらく先になりそうだね。いつもスマホにリフやコード進行、ちょっとしたメロディを録り溜めているんだ。ただ、まだ曲の形にはなっていないし、アルバムの方向性も定まっていない。ただ今のバンドの勢いを考えると、きっと凄いアルバムになるよ。ニュー・アルバムを完成させたら、必ず日本に戻ってくるから楽しみにして欲しいね。

取材・文:山崎智之
写真:Yuki Kuroyanagi

セパルトゥラ『マシーン・メサイア』

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1.マシーン・メサイア
2.アイ・アム・ジ・エネミー
3.ファントム・セルフ
4.アリシア
5.アイスバーグ・ダンセズ
6.スウォーン・オース
7.レジスタント・パラサイツ
8.サイレント・ヴァイオレンス
9.ヴァンダルズ・ネスト
10.サイバー・ゴッド
11.チョーズン・スキン※ボーナストラック
12.ウルトラセブンの歌※ボーナストラック

◆セパルトゥラ レーベルオフィシャルサイト
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