映画『泣き虫しょったんの奇跡』劇伴に元ブランキー照井利幸。「そこにあるのは凄まじい”本気”です」

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将棋界が近年盛り上がっている流れにのり、異色の棋士・瀬川晶司五段の自伝的作品『泣き虫しょったんの奇跡』(講談社文庫刊)が実写映画化され9月7日(金)に全国ロードショーとなる。本作の音楽を担当するのは元BLANKEY JET CITYのベーシスト・照井利幸。幼い頃から大の映画好きと語る照井は、本作に携わることでどんな光景を見たのか。舞台裏から貴重なコメントが届いた。

◆映画『泣き虫しょったんの奇跡』関連画像

現代におけるプロ棋士への道は、狭き門だ。通常は「奨励会」と呼ばれる養成機関に入会し、26歳までに三段リーグを勝ち抜いて四段(=プロ)になれなければ年齢制限によって奨励会退会となる。普通ここでプロ棋士への道は絶たれるのだが、瀬川晶司は退会後アマ名人となり、様々な公式戦でプロ棋士相手に勝利を重ねた結果、例外的にプロ編入試験を受けて合格した“変わり種”。瀬川の出現は将棋界のルールを変え、アマからのプロ編入制度が導入されるきっかけとなった。

そんな瀬川晶司が主人公となる映画『泣き虫しょったんの奇跡』には主演を務める松田龍平ほか、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、妻夫木聡、松たか子、國村隼といった主役級のキャスト陣が集結。本作は第42回モントリオール世界映画祭フォーカス・オン・ワールド・シネマ部門への正式出品も決定している。監督には自身も9歳から17歳まで奨励会に在籍していた経歴を持つ豊田利晃がメガホンを取り、瀬川晶司五段が起こした“奇跡”の映像化に挑んだ。



豊田監督が「自分なりに将棋と映画を謙虚にもう一回見つめ直す」というテーマを掲げながら取り組んだと明かす本作には、制作陣にも腕っ節の良いプロフェッショナルたちが集められた。その中で本作の音楽を担当したのが、元BLANKEY JET CITYのベーシスト・照井利幸。豊田監督とはロックフェスの会場で出会い、友人を交えて食事に行くなど長い付き合いだそうで、努力を怠らない照井の音楽への姿勢が将棋指しの姿と重なり、今回のオファーに至ったという。

二人が映画作品でタッグを組むのは、『モンスターズクラブ』(12)以来二度目となるが、照井は「『モンスターズクラブ』では、音楽提供という形で協力させていただきましたが、今回は完全に書き下ろしだったので、かなりプレッシャーがありました」と当時を振り返る。そう語る言葉とは裏腹に、今回のオファーは即決で引き受けたという照井。幼い頃から“大の映画好き”で、スクリーンに映るあらゆることに影響を受けて育ってきたそうで、「映画音楽をやるということは、僕にとっては夢のような話」とその喜びを明かしている。

▲豊田利晃監督

製作にあたり、豊田監督からは『勝者の映画です』と原作本を渡されたのみで、何も説明らしいことはなかったというが、原作や脚本を読み込んで浮かんだ音やメロディーを綴って徐々に形にしたという。そうして出来上がったデモを元に豊田監督とディスカッションを重ねながら、本作ならではの世界観が広がる音楽が完成された。

その仕上がりに、監督も「映像を見ずに脚本を読んでそのイメージで曲を作ってくれましたが、(音楽の世界観が)本作と見事にマッチしていました」と驚きを隠せなかった様子。さらに「照井さんの繊細な感性がこの映画に合っていたんだと思います。素晴らしい音楽家です」と絶賛している。

一方、照井も「監督とは音楽を交えてセッションしていますが、いつも変わらずそこにあるのは凄まじい”本気”です。僕は監督にその”本気”がなかったら今のような関係にはならなかったと思うし、僕と映画の縁もなかったんじゃないかと思います」と回顧。そして「僕にとって豊田利晃は本気で向き合えることのできる数少ない一人」と語る言葉からも、二人の厚い信頼関係がうかがえる。

二人の並々ならぬ互いの信頼感から実現した、豊田監督にとってキャリア20年目かつ10本目となる記念すべき本作での再タッグ。照井が完全書き下ろしで手掛けた劇中音楽と共に、本作で描かれる前代未聞の“奇跡”の物語を、ぜひスクリーンで目に焼き付けて欲しい。

また、そんな本作の世界観が凝縮されたサウンドトラック『泣き虫しょったんの奇跡 Original Soundtracks by Toshiyuki Terui』も、9月5日(水)より発売が決定。公開が待ち遠しい人は、ぜひ劇中音楽を先取りして本作の世界観に浸ってみては?

『泣き虫しょったんの奇跡』は、9月7日(金)より全国ロードショー。



『泣き虫しょったんの奇跡 Original Soundtracks by Toshiyuki Terui』

2018年9月5日(水)発売
音楽:照井利幸
VPCD-86210 ¥2,500+税

収録曲:
1. shame「イントロ」
2. green apple
3. 工藤さんの夢(ダイアローグ)
4. blue mile「芽生え」
5. shame「ライバル」
6. 投了(ダイアローグ)
7. mad hunter
8. hatsukoi
9. howl
10. big mouth
11. 湖の二人(ダイアローグ)
12. delusion
13. dry
14. shame「プレッシャー」
15. blue mile「実り」
16. 先生の言葉(ダイアローグ)
17. shame「涙」
18. blank

音楽:照井利幸
プロデュース:加納尚樹(GO-GO KING RECORDERS)

演奏:照井利幸(a.guitar, e.guitar, bass, synth, perc etc..)
 椎野恭一(drums)  細海魚(organ)  粂ジュンヤ(e.guitar)  Dupuy Robin(cello)
 青木ケイタ(t.sax) モノローグ & ダイアローグ:松田龍平 永山絢斗 松たか子 イッセー尾形 レコーディング & ミックス:加納尚樹 レコーディング:安田行憲  大竹悠太
レコーディング & ミキシング・スタジオ:GO-GO KING RECORDERS  8 fountain studio  音響ハウス   

マスタリング:滝瀬真代
マスタリング・スタジオ:M’s disk mastering

■映画『泣き虫しょったんの奇跡』

2018年9月7日(金)より全国ロードショー

監督:豊田利晃(『青い春』『クローズEXPLODE』) 脚本:瀬川晶司「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫刊) 音楽:照井利幸
出演:松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、早乙女太一、妻夫木聡、松たか子、美保純、イッセー尾形、小林薫、國村隼

<STORY> 史上初! 奨励会退会からのプロ編入という偉業を成し遂げた男の感動の実話
26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。小学生のころから将棋一筋で生きてきたしょったんこと瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかりあっけなく断たれた。将棋と縁を切りサラリーマンとして暮らしていたしょったんは、アマ名人になっていた親友の悠野ら周囲の人々に支えられ、将棋を再開することに。プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。「やっぱり、プロになりたい―」。35歳、しょったんの人生を賭けた二度目の挑戦が始まる――。

製作幹事:WOWOW/VAP 制作:ホリプロ/エフ・プロジェクト
(c)2018『泣き虫しょったんの奇跡』製作委員会 (c)瀬川晶司/講談社

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