【ライブレポート】SHIN、過去も未来も抱きしめ誓う「次の景色に連れていくから」

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SHINが自身の誕生日でもある9月4日、東京・LIQUIDROOMにて全国ツアー<SHIN LIVE TOUR 2018 “on my way with innocent to「U」”>の初日公演を開催した。

◆ SHIN ライブ画像

異例のスピードで日本武道館まで駆け上がったバンド、ViViD(当時はシン名義)解散後、約2年間もの沈黙を破って2016年末にソロ活動を本格始動させたSHIN。ソールドアウトとなったツアー初日には現在に至るまでの道のりの中、今だから語れるViViDのことや月日を重ねていくごとに歌や音楽への想いが強くなっていったこと、ソロボーカリストとして目標を掲げもう一度挑戦しようと決意してからの自分を支えたファンへの感謝の想いが飾らない言葉で届けられた。そして、何よりもSHINの情熱はその歌とパフォーマンスから溢れるぐらいに伝わってきた。

最強台風21号の影響で天候が大荒れにも関わらず、フロアーは満員。大歓声の中、サポートを務める3人のメンバーとSHINが登場し、SHINはフロアーに背中を向けハンドクラップ。「LIQUIDROOM! 始めようぜ!」と叫び、アグレッシブでオルタナティブなナンバーでライブは導火線に火をつけるように幕を開けた。



ギターをかまえ、「拳上げろ!」と鳴らされたのは1stソロアルバム『Good Morning Dreamer』の収録曲「jack the ripper」だ。ストロークが小気味いいギターロックながら、音域の広さが活かされたメロディックなナンバー。挫折を経験したSHINだからこそ生まれた曲だ。

MCでは1年前に続いて2回目となるLIQUIDROOMのチケットが完売したことへの感謝を述べ、今の心境が語られた。

「今日のライブは運悪く台風でちょっと危なかったんですけど、やっぱり願いって通じるものだなと思って無事、開催できました。今世紀最大の台風と言われてる中、こんなに集まってくれて本当に嬉しいです。どうもありがとうございます。今年は挑戦をいっぱいした年だったと思うんです。元のジャンルを飛び出して、いろんなジャンルの人と対バンして、いろんなイベントに出て、少し夢が叶ったりして、とても充実した1年間を過ごさせてもらいました」

さまざまな経験を通して感じたことは会場の大小やワンマン、イベントに関係なく目の前にいる人たちに歌を届け、ライブを一緒に作っていきたいということだと噛み締めるように続けた。

「それまでは緊張してたんですよ。カッコいいステージングをしなきゃいけない、カッコいい歌をうたわなきゃいけないって。でも、そうじゃなくて“みんなで一緒に楽しもう”って今年はやってきました。そしたら今日もそうなんですけど、ホントにライブが楽しくて。だから、ここにいる目の前の1人1人に世界中でいちばん幸せになって帰ってもらおうかなと思ってます」


拍手の中、「初めてカヴァーした大切な曲です」と前置きして披露されたのはSHINが10代の頃、影響を受けたマンガを映画化した『NANA』の主題歌であるNANA starring MIKA NAKASHIMAのカヴァー「GLAMOROUS SKY」。ViViDのシンという名前が『NANA』に登場するバンド「BLACK STONES」のメンバー名からとられたことはすでにライブを通して明かされているが、フロアーに数え切れない手が挙がる中、ファルセットを巧みに使い、艶のある声で歌うSHINはこの曲を自分のものとして昇華していた。「今の自分の気持ちがいちばんのっている新曲です」と最新アルバムのリード曲「on my way with innocent to「U」」ではハンドマイクで上手、下手へと移動し、間奏ではジャンプ、熱量の高い歌で魅了した。“ずっと 探していたwonder 君と手を繋いで”と歌うこの曲はSHINが道の途中で見つけた未来へと通じる“希望”なのかもしれないと感じた。

ツアー初日ということもあり、詳しいセットリストを記するのは控えるが、時にギターをかき鳴らしながら、弦楽器陣と向かいあって絡んだり、時にマイクを両手で握りしめて全身で歌を届けるSHINの姿から伝わってきたのはやはり、スポットライトを浴びて歌うべきボーカリストであるということだった。ViViD時代から、そのことは感じていたが、髪を振り乱しても様になるカッコよさ、男っぽい声からファルセットまで自由に行き来するボーカルスタイル、突き刺さるシャウト。さまざまなフィールドに飛び込んでいき、挑戦し続けてタフになったSHINの“今”はまぶしいぐらいの輝きを放っていた。


ライブは瞬く間に後半戦に突入し、男子の太い歓声も飛び交う中、アニメ版『NANA』のオープニングテーマに起用されたANNA inspi' NANA(BLACK STONES)の「rose」のカバーを披露し、「一緒に最高の景色を作ろうぜ!」とパンキッシュで躍動感のあるナンバー「Miss Lily」ではみんながタオルを振って場内が一体に。再びギターをかまえ、インプロヴィゼーション的な演奏をはさみ、1年前の9月4日に次はLIQUIDROOMを埋めることを目標にしていたこと、その時に一緒に歌える曲が欲しいと思って作った曲だということを伝え、「this is our way」ではシンガロング。フロアーを明るい光が包み、幸せな空気が場内に満ちた。本編ラストは Oiコール、ハンドクラップで盛り上がった爽快でメロディックなナンバー。大歓声の中、SHINはみんなに拍手を送り、ステージを去った。

そしてアンコールではSHINからありのままの想いが届けられた。

「過去を知らない人もいると思うので話させてもらうと僕はViViDっていう奇跡みたいなバンドをやっていました。何が奇跡かって自分の夢をたくさん叶えてくれたバンドでした。武道館に連れていってくれたり、メジャーデビューできたり、大好きなアニメのオープニング曲になったり。そのバンドが解散して2年間という月日を費やして僕はソロミュージシャン、SHINとして再び、音楽をやることを決意しました」

2年の沈黙を破って立ったのが2016年12月24日のEX THEATER ROPPONGIのワンマンライブだったこと。期せずして会場が埋まったことに対して後からViViDの力が大きかったと痛感したこと。1年前にLIQUIDROOMに立ったときには肩に力が入っていて誕生日どころじゃない心境だったこと。今だから感じる言葉があふれ出した。

「でも、今はあの時よりも明確な目標が見えてます。あのバンドが奇跡だったから、大好きだったから素晴らしかったから、“ex.ViViDのSHIN”としてではなく、俺は1人のボーカリスト、SHINとしてもう一度、EX THEATERに立ちたい。そんな目標を今、自分の中に掲げてます。でも、今のままじゃまだ無理。だから、今日のLIQUIDROOMが売り切れたら、何としても次の景色にみんなを連れていきたいなと思ってまだ会場は押さえられていませんが、事務所の人が絶対にとってくれるはずなので(笑)、来年のツアーファイナルは渋谷のO-EASTを目指したいと思います。1歩、1歩だけど、今の俺なりにみんなと一緒に着実に進んでいけたらいいなと思います。そして、もしO-EASTが埋まったならその次は約束の場所、EX THEATERに一緒に帰りましょう。だから来年はいよいよ次のステップにみんなと進めます! ホントにみんながついてきてくれるおかげです。10年間、音楽を続けてきて少しずつ歌が音楽が好きになっていって、今はみんなと一緒にまた進んでいけて、超幸せです。ありがとう! みんな来年はO-EASTに行くぞ! ついてきてくれよ!」


感謝の想いを再び伝え、「ずっと切ない歌でしたが、めいっぱいの希望を込めて歌います。聴いてください」と披露されたのは向かい風の中、醒めない夢に向かっていく想いを綴ったナンバー。

ここでバースデーケーキがステージに運ばれ、みんなが「ハッピーバースデー」を歌う中、SHINが肺活量に自信のあるボーカリストの意地(?)を見せ、「これぐらいなら、いっきにいけるから」とろうそくを一息で吹き消し、拍手喝采の場面もありつつ、もはや、バンドと同じ存在になっているというサポートメンバーを紹介。「来年も9月4日にここでやるよ!」と宣言し、ラストは開放感たっぷりのナンバーで締められた。

ステージを去ってもアンコールの声は鳴り止まず、予定になかったダブルアンコールも実現。ギターを弾きながらバンド感たっぷりの演奏を届け、名残惜しそうな笑顔で「次の景色に連れていくから。また会おうぜ!」とステージをあとにしたSHIN。ツアーは始まったばかり。過去を受け入れた上で、大事なものを胸に刻み、未来をまっすぐに見つめているSHINの歌とアティチュードは多くの人に刺さるに違いない。

取材・文◎山本弘子

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