【インタビュー】Linked Horizon、3rdシングル「楽園への進撃」に込められた“いま歌うべきもの”

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■「楽園」ってなんだろう、世界は、エレンはどこに向かおうとしているんだろう、どういう解決が一番理想なんだろう、とか思いながら。

──次の「革命の夜に」はこれまでのLinked Horizonらしい曲で、とてもカタルシスを感じる気がします。曲順についてはどんなコンセプトがあったのでしょうか。

Revo:曲名を見ていただければわかるとおり、夕方があって夜の曲があって朝を迎えると。言ってみれば夜の曲から始まってもいいわけですよね。朝から始まればそれはそれで一日のサイクルだし。でもこのシングルは夕方が1曲目に来ていて。今までの僕の作品のイメージ感って、2曲目の「革命の夜に」なんですよね。そこから始めたら、すごく王道的なイメージで捉えられると思うんですけど、今回はそれじゃないなと思ったんです。ちょっと冒険だなとは思ったんですけど、今の形の方がより作品性というものが伝わるかなという意味で、この曲順にしました。リード曲でありEDテーマ曲である「暁の鎮魂歌」が1曲目にくるというのもみなさんが想像できる普通の形だと思うんですけど、それがなぜ3曲目にあるのかということを考えてもらえたら嬉しいなと。これ以上はちょっと言いづらいんですけど(笑)。


▲「楽園への進撃」通常盤


▲「楽園への進撃」チェンジングジャケット(エレン ver.)


▲「楽園への進撃」チェンジングジャケット(リヴァイ ver.)


▲「楽園への進撃」チェンジングジャケット(クリスタ → ヒストリア ver.)


▲「楽園への進撃」チェンジングジャケット(ハンジ ver.)

──ジャケットが公開されてから、アートワークを見ていろんな想像を膨らませているファンの方もいるようです。ファンの方が色々と解釈してくれるのも、Revoさんにとっては楽しみなことなんじゃないですか?

Revo:情報をすごく入れているので、誰にも届かないと寂しいなっていうのはありますね。ただ、すべてのものが届かなくてもどこかで楽しんでもらえればそれでいいし、全部が伝わらなければ楽しめないという、そんな狭いものにはしたくないんです。かなり多くの情報を入れているので、徐々に気付いていったり、誰かが言っていることを聞いて「ああ、そうなのかもしれない」と思ったときに、何か閃きのようなものがあると思うので。そこで新しく見えてくる世界観、音もあるでしょうし。音も非常にたくさん入っているのでなかなか意識できないと思うんですけど、意識したときに意味のあるものが必ずそこにあるので。

──そう言われたら、やっぱりみなさん深く掘り下げちゃいますよね。より作品の楽しみ方を探せると思います。

Revo:そうあっていただけると嬉しいですし、僕の作品だけでなく、何か創作物に接するときは、そういう気持ちで観て聴いてくれたら嬉しいなって思います。

──「革命の夜に」はRevoさんのルーツも垣間見えるようなアレンジも聴けますが、サウンド面ではどんなところを目指しましたか。

Revo:自分が好きということもありますし、バランスとしてこういう曲調が1曲は欲しいなと思っていて。今までLinked HorizonがOP曲をやっていたときの楽曲をみなさんが聴いてくださって好きになってくれたという面もあるので。ただ、今回与えられたED曲という仕事の中では、必ずしもそういう曲調になるわけでもないので。今回のED曲の世界観も楽しんでほしいんですけど、みなさん正直ちょっと寂しくはなってると思うんですよね。「ああいう系統の曲も聴きたかったな」って思ったときに、このシングルを聴いてもらえれば「あ、やっぱりいいな!この路線はこの路線でいいぞ。進撃だ」って思ってもらえるんじゃないかなって(笑)。

──サービス精神が旺盛ですよね。そこはすごくリスナーのことを想像して作っていらっしゃるんだなって。

Revo:そうですね。曲順とかを考える時点でそうですからね。聴いてくれる人がいて、どういう順番に曲を聴いていてどういう気持ちになるのかっていうのは、コース料理を組み立てるのと同じというか、食べる人、聴く人がいて初めて成立する世界だと思っているので。まあ、サービス精神って言われると、「本当にそうなのかな」って自分でも謎が出てくるんですけど。より楽しんでもらいたいって考えたときに、自ずとそう思ってますね。

──3曲目の「暁の鎮魂歌」はどんなイメージで書いた曲なのか改めて教えてください。

Revo:アニメを見終わった後のEDとしての余韻を含めて、どう作品と寄り添えるか、今回何を歌うべきかを考えて出てきたのが「鎮魂歌(レクイエム)」だったんです。OPはOPでやるべきことがあるだろうから、それはお任せして。こちらとしてはSeason 3を通して1話ごとに誰か死んでいくだろうし、それは名前のわかるキャラクターもいればわからないキャラクターもいて、兵団の人もいれば一般の人もいるだろうし。それに現在だけじゃなくて、Season 1、2と遡ればいろんな人が死んでいるし、これから先死んでいく人もどんどん出てくるという中で、「紅蓮の弓矢」から始まって、今EDとして何を届けるべきかというと、僕は「鎮魂歌」かなと思ったんですよね。それが一番寄り添える形かなと。

──それで、過去作からのフレーズや言葉も織り込まれているんですね。

Revo:そうですね。今突然死んだ人たちではなくて、続いてきた『進撃の巨人』の世界で色々関わって生きてきた中で亡くなった人たちでもあるので。素敵な解釈だと思います。

──夕方、夜、朝と曲が並んでいると、3曲目が終わってまた1曲目に繋がっているようにも感じられます。そうしたループ感は意識しましたか?

Revo:時間帯みたいなものがある時点で、それは自ずとループ構造になりますよね。朝が来たら夜が来て、また新しい朝がくる。それはイコール、命と一緒ですよね。

──タイトルの「楽園への進撃」という言葉は、アンビバレントな言葉の組み合わせにも感じられます。どんな思いでつけられたのでしょうか。

Revo:タイトルをつけるのってなかなか難しかったんですけど、最終的にはこれしかないなっていうところに至りました。一瞬、引っかかりもあると思うんですよ。このSeason 3を全部観ても、「そこまで楽園に進撃してないだろう」って感じると思うし。でも、最後はどうなるのか僕もわからないですけど、恐らく今後も『進撃の巨人』を観ていただければ、Season 3あたりが「楽園」や「理想」というものを強く意識し始めるターニングポイントになっていることを理解してもらえると思います。

──それは連載もリアルタイムで読んできたRevoさんならではの、この先のストーリーも見越したものということですか。

Revo:なんとなくそういう意識はありますね。ただ「楽園」というのがどこにあるのか何を指しているのか、この段階で完全に言い切るのは非常に難しいので。今も難しいと思うんですけど、今「こうなんじゃないかな」と思ったことが正解とは限らないです。諫山さん(※原作者の諫山創)が最後にちゃぶ台を全部ひっくり返してくる可能性もあるし(笑)。

──ははははは(笑)。

Revo:それも含めて。「楽園」ってなんだろう、世界は、エレンはどこに向かおうとしているんだろう、どういう解決が一番理想なんだろう、とか思いながら。僕たちは『進撃の巨人』を見続けていかなければいけないし、未来を見続けていかないといけないので、そのことを意識しつつ、どうなっていくのか一緒に見届けましょう。

──その立ち位置は、『進撃の巨人』ファンと同じということですね。

Revo:全く同じです。この先『進撃の巨人』はどうなっていくのかなって、一緒に一喜一憂しながら楽しんでいくプロジェクトといいますか。だから、今回の作品からこの先の『進撃の巨人』を読み解こうとしても無駄です。なぜなら僕も知らないので(笑)。それを前提に一緒に考えていこうというものになっています。

──でも、アニメ作品と連載とのタイムラグってあるじゃないですか?そこの間にあるストーリーが曲を作る上で影響を及ぼしたりしないんですか?

Revo:しますよ。というか、まさに漫画の本誌(連載誌『別冊少年マガジン』)が出るタイミングとの戦いなんですよ。それが月1でしか出ないんですけど、その間も制作は進めないといけないんですよね。その中で、「この流れにしたらいいんじゃないか」と思って作ったものが、次の『別冊少年マガジン』が出たときに「あれっ!? そうなっちゃったのか」って思うことはあるんですよ。それで軌道修正はしつつ作ってるんですけど、こちらにも制作の締切があるので。そこから先はどうなるかは誰にもわからないですし、仮に解釈的に不思議なことが生まれたとしたら、それはそのライブ感を楽しんでいただけたらと(笑)。

とにかく、僕は先のことを知らないので。普通にビックリしちゃうんですよ。今回の歌詞だと、“石を投げる者と 投げられる者には”(「暁の鎮魂歌」)というのが大事なエピソードだと思ったので、そこを取り上げて曲を作ったんですけど、新しい『別冊少年マガジン』を見たら、わりとそれに関連するシーンが出てきたんですよね。「うわー!」って思いました(笑)。なにかが共鳴しているのでしょうね。作った時点ではドンピシャなことを言ったつもりでも、それが後に覆されたりすることもあります。しかし、それすらもまた再度覆えされたり(笑)。でもそれも含めて楽しめると思います。逆に「ああ~諫山さんはそう来ちゃったのか、そりゃしょうがないよな、Revo」っていうのも一緒に楽しんでいただけるんじゃないかなって(笑)。

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