【千歌繚乱インタビュー】Ruizaの考える“refrain”

ポスト

DのRuizaが、ソロとして3月25日に池袋EDGEで開催されるBARKS主催イベント<千歌繚乱vol.20>に出演する。

◆関連画像

Dのギタリストとして活躍するRuizaがソロでも活動を始めたのは、2006年のこと。そこから3枚のCDをリリースし、今年2月17日には4枚目の作品「refrain」を会場・通販限定で発売した。

BARKSではこの作品について、Ruizaにインタビューを行った。<千歌繚乱vol.20>でも披露されるであろう「refrain」に込められた思いを、ぜひ知っておいて欲しい。なお、3月25日のライブ当日は、DのTsunehito(B)、HIROKI(Dr)がRuizaのサポートメンバーを務める。

※本記事は3月25日に池袋EDGEで開催される<千歌繚乱 vol.20>において、来場者限定で配布される「千歌繚乱 ARTIST BOOK」掲載のインタビューの一部を事前に公開するもの。「千歌繚乱 ARTIST BOOK」では各出演者への一問一答アンケートなど、より深い内容が掲載されている。

   ◆   ◆   ◆


――Ruizaさんがソロを始めたのには、どういうきっかけがあったのでしょうか。

Ruiza:さかのぼると13年前くらいになるんですが、曲を作っている中でDでは使わない曲やフレーズがいくつかできていたんですね。元々インストゥルメンタルの音楽が好きだったというのものあり、ASAGIくん(Dのボーカリスト)に「せっかくだからインスト曲をソロでやってみたらどうかな?」って言ってもらって。

――Ruizaさんと言えばギターに強いこだわりがあるイメージだったのですが、自らの発案ではなかったのですね。

Ruiza:そうなんです。ASAGI君から言われて「それも面白そうだな」と思って取り組み始めた感じですね。それと、タイミングも良くて。ちょうどASAGIくんのソロもリリースがあったり、Dとしてもツネ(Tsunehito/Dのベーシスト)が加入して最初のシングル「太陽を葬る日」というシングルを出したときだったんで、「ソロを始めるなら今だな」って思ったのもありました。

――それでリリースしたのが1枚目の作品「amenity gain」、その6年後に2作品目となる「abyss」をリリースされましたが、割とペースはゆっくりなんですね。

Ruiza:「abyss」も不思議な流れで。たまたまその頃、エンドース契約しているESPからギタークリニックをやって欲しいという依頼があったんです。せっかくやるんだったら新しい楽曲で演奏もしたいと思い、頭にあったフレーズをまとめて「abyss」を作ったんです。

――何かしら“作るタイミング”が現れるんですね。

Ruiza:だったんですけど、その次の「ONE」のときは、初めてソロでライブを行ったときに感じたことを音や曲にしたいと言うか、自分のライブの手引きになるようなものが作りたいと思って、初めて自分から「出したい」と思って作りましたね。

――それまではインストアルバムでしたが「ONE」からは歌唱も。

Ruiza:最初は全然歌うつもりなくて。ゲストボーカルを入れようっていう話があったんですけど、全然ピンとこなかったんですよ。僕はどうしても歌を作ろうと思うとASAGIくんをイメージしてしまうんですね。で、ASAGIくんにそれを言ったら「それはとても嬉しい事だけど、それはDで出来るし、ソロならではというところで例えば自分で歌ったらどうかな?」って言ってくれて、「あぁなるほど」って。だから「ソロだから歌わなくちゃ!」というわけではなくて、ソロだからこそ自由にやっているというか。だからこの先歌うのかもしれないし、歌わないのかもしれないし、それはちょっとわからなくて。

――今に至るまでに、サウンド的な変化はありましたか?

Ruiza:「amenity gain」はドラムをHIROKIくん(Dのドラマー)に叩いてもらって、ベースは当時エンジニアをしていただいていた加瀬竜哉さんにやっていただいたんですが、「abyss」は自分の音で構成してみたかったんで、ドラムは打ち込みにしてベースは自分で弾きました。打ち込みって言っても、HIROKIくんにドラムセットを借りて、全部自分で叩いて一つずつ音を録ってそれを繋ぎ合わせて…。

――それはすごい。

Ruiza:大変でした(笑)。で、やっぱドラムはドラマーにお願いしないと、と思って「ONE」ではDのお手伝いや僕のソロライブでも参加してくれている奏くんに叩いてもらいました。「ONE」で初めてHIROKIくんじゃない音で作品を作ったし、「ONE」はソロでライブをやることを考えながら作ったものだったので、ソロでの初ライブにも参加してくれた奏くんの音が入るのはRuiza solo worksの新たな一歩として相応しいなと思いました。

――“DのRuiza”と“ソロのRuiza”って、どう違いますか?

Ruiza:Dでは楽曲の世界観を全てASAGIくんが構築してくれていますが、当たり前ですがソロだとそこが全部自分なんですよね。その違いもありますし、もともとソロでライブをするということはまったく頭になかったから、今もまだものすごく手さぐりでやってる部分もたくさんあるんです。だからソロは明確に“こういうもの”というのが自分でもまだわかっていないというか。

――今はどんなスタンスでライブをしているんでしょうか。

Ruiza:ライブって何が起きるかわからないじゃないですか。自分で流れを作っていく必要もあるし。それがすごく楽しくて。例えば「ここで声を出して欲しい」って言ってお客さんが声を出してくれたら嬉しいし、出してくれなかったら悲しいし(笑)。そういう生のやり取りを自分からの発信でやれるのは素敵だなって思っています。まだ作りたいライブが決まり切っていないからこそできる、今だからできることなのかもしれないですし。サポートメンバーやお客さんからは独特なライブだって言ってもらえているし、完成しなくていい部分もあっていいのかな、とも思い始めています。

――生っぽいリアルな感じがソロだと言えそうですね。

Ruiza:そうですね。Dのライブの雰囲気とは、やはり違って感じますね。あとなぜか面白いことをやろうとしているわけではないんですが、ハプニングもめちゃくちゃ起きるんですよ(笑)。

――Dがしっかりとした世界観を持っているからこそ、自由度の高いライブができている感じもありますよね。

Ruiza:はい。Dがあるからこそ、ソロとしても活動できているんだなってすごく思うんです。

――楽曲制作におけるDとの違いは?

Ruiza:Dはやはり楽曲の世界観にあわせてフレーズを変えていったり、ASAGIくんの歌を聴くことで「ああしたい、こうしたい」というのが出てきますが、ソロの場合はフレーズを中心に楽曲を作っています。フレーズにあわせて周りを変えていく感じも多いですね。例えばギターで弾いているテーマが「これは今、紫色だな」って思ったら、周りも紫色にしていくというか。

――なるほど。では、「refrain」についても詳しく伺っていきたいと思います。

Ruiza:「refrain」は、やりたいことが定まっていない中でも、ひとつ何かを掴めたなと感じられる作品になりました。Dのメンバーもみんな、僕らしい作品だって言ってくれましたし。今回はHIROKIくんにドラムを叩いてもらったんですが、「レコーディング楽しかった!」って言ってもらえて嬉しかったです。

――「refrain」を作ることになったきっかけは?

Ruiza:去年の冬、Dのツアーが始まる前に、ソロライブを行うことが決まったんです。このライブはまったく違う構成の二部制にしたいなと思って。二部はバンド編成のライブで、一部はトークとギター演奏をしたいなと考えたんですね。いわゆるギタークリニック的な。曲の説明をして聴いてもらって、知らなかったことを知ってもらった上で二部のライブに来てもらえたら、もっと楽しめるんじゃないかなと思ったんです。で、一部の公演タイトルを<Input>、二部の公演タイトルを<Output>にしたんですが、つまり「入力して楽しんでもらう」、そしてまた次に「Input、Outputする」ということ。InputとOutputって繰り返されるもので、このサイクルがまさに“refrain”だなと思ったんです。

――そういう意味が込められていたんですね!

Ruiza:それと、ギターで“リフレインする”とかよく言うじゃないですか。僕もイントロで聴いたフレーズがサビとかでちらっと出てきたりするとドキっとしますし、こんな繋がりがあったのかと気づいたり、好きなテクニックのひとつなんですよね。

――むしろ、ギターで言うところのリフレインから来ているタイトルだと思っていました。

Ruiza:そうですよね(笑)。で、リフレインという言葉について考えているうちに、日々の生活もずっと同じことを繰り返してるように感じることもあるかも…と思って。例えば学生の頃とか「また学校かぁ」と思いながらも実際は同じ日々は1日もなく卒業を迎えたり、ギターの練習でも毎日同じ事を繰り返し、結果何百回も繰り返して上達していくとか。同じことを繰り返しているように思えても、その繰り返しによって人って日々成長しているんですよね。そういう意味でリフレインっていい言葉だなと。


――そう聞くと前向きな作品かな、と思うのですが、表題曲「refrain」の歌詞はちょっとダークな気が…。

Ruiza:リフレインという言葉についてずっと考えていたら、“同じことを繰り返している世界から脱出しよう”というストーリーが浮かんできたんです。そして同じことの繰り返しというのも、もしかしたら誰かの手によって繰り返されているのかもしれない、とか。僕も最初はリフレインって言葉を前向きな意味で捉えていたんですが、“繰り返していく世界を壊そう”という方向へシフトしていったというか。

――言葉の選び方が、私の中のRuizaさんのイメージとは違っていました。

Ruiza:僕、ホラーやミステリーの本をよく読むんです。綺麗なものや幻想的なものからリアルな暗い話まで幅広く好きで。なので自然に暗い部分って出てきちゃうっていうか(笑)。今回も歌詞を書きながら、自分が今までに読んだり見たりしてきたような映像が浮かんできて、物語を紡いだ感じです。

――「dye」も?

Ruiza:同じような感じですね。「dye」は塗り替えるという意味で、結局「refrain」と一緒。…というか今回の作品に入っている4曲のタイトルは、訳すとどれも近い意味になるんです。1曲目「Nexus」は“連鎖”、2曲目が「dye」で、3曲目の「coneect」は“連結する”、そして4曲目に「refrain」。あえて似た意味の言葉を選んでいます。同じことを4つに表現しているんです。

――曲タイトル、意味が似ているなと思っていたんです。

Ruiza:この作品は二部制のソロライブのことも考えて作ってきたのですが、一部の最後に演奏したのは「Nexus」だったんです。これは一部から二部に“連鎖”して繋いでいくことと、このライブがこれまでの自分の活動に“繋がっている”という意味を込めての選曲で。そこまでイメージしながら制作していました。

――ギターインスト曲の「Nexus」「connect」も、ライブをイメージして作ったということですか?

Ruiza:はい。バンドで聞いた時により面白くなるんじゃないかなと思います。「Nexus」は僕がメインのギターを弾きますが、「connect」はツインギターアレンジになってて、ライブでは必ずもうひとりギターを入れて演奏しているんですね。2本あわさって一本になるイメージで作りました。しかもただハモっているだけじゃなくて、フレーズが絡み合っているのがポイントで、そういう意味でもライブに合うインスト曲に仕上がったなと思います。

――これまでのインスト曲より、シンプルになった印象を受けましたが。

Ruiza:それは、だんだん自分のインストらしいフレーズ作りができるようになってきたからですね。最初の「amenity gain」のころは、「インストを作ろう」という気持ちで一生懸命で。あれもこれもやりたい、こういうのもある、っていうフレーズをたくさん入れたかったんだと思います。でも前作「ONE」からは、ライブのことを考えて作るようになったし、今回はライブにこういう曲があったらいいかな、と考えたりして作っていきました。

――ただのインスト曲を入れた作品ではなく、いろんなことを考えて作られた作品ですね。

Ruiza:めちゃくちゃ考えました(笑)。自分の中に「こうだ」っていうものがないから色んなことを考えちゃう。「俺はこれがやりたいんです」というのがすでに決まってたら、ひょっとしたらこんなに考えなかったかも。結局何が言いたいのかっていわれたら、リフレインの歌詞のように、「同じと思っていても、自分で気付き、自分で掴み取るからこそ変わって行ける」ということで。でもその表現の仕方が自分じゃまだ定まってなくて……。でもそれってすごいリアルな自分なんで、それでいいやと思って。

――今後ソロで新たにやってみたいことは出てきましたか?

Ruiza:今回ライブの一部で大村孝佳くんにゲストで入ってもらったんです。自分のサポートメンバーじゃない人がゲストで入ってくれるのが初めてだったので新鮮だったし、ギタリスト同士ならではのマニアックな話ができてすっごい楽しくて。お客さんも僕らが喋ってる雰囲気とかが楽しかったみたいで、ギターや機材について知るきっかけにもなるのでまたやって欲しいと言ってもらえたんですよ。だからこういうスタイルでも続けていけたら面白いなと思っています。お客さんの中にも、初めましての方がいたりしましたしね。

――ソロの場でRuizaさんのことを知った人が、Dにも来てくれたらいいですよね。

Ruiza:そうですね。やっぱりソロの活動も、やれるときはやりたいなと。ソロは反応がダイレクトなんで、良いことも悪いことも反省できて、何かやったらそこで成長も出来るので。またそれをDに持ち帰れるのはとても良い事ですよね。これも、リフレインですね。

――Dとしては4月12日より<D 16th Anniversary Special Premium Live 2019 東名阪ワンマン「狂王」>が待っていますね

Ruiza:これはD結成16周年記念のライブで、2018年末に豊洲PITで行なった<D Tour 2018「Deadly sin」TOUR FINAL & D結成15周年 メジャー10周年Year Grand Final>でプレゼントした「狂王」という組曲を中心にしたワンマンになります。Dが結成時からコンセプトとして掲げてきた“ヴァンパイアストーリー”を三年ぶりに復活させたんですが、今回の東名阪ワンマンは狂王を中心としたストーリーとなるので、去年のワンマンツアーとはまた異なる内容になり、自分でも楽しみです。

――ライブでは組曲も聴けるんですか?

Ruiza:そうですね、タイトルに入ってますし、聴けなかったらちょっとね(笑)。組曲は20分くらいありますし、なかなかこれを普通のライブにぽんと入れて演奏することは難しいんですよ。だからこの先、ライブでいつやるかはわからないですし、このタイミングで絶対聴いてもらいたいと思います。

――続いてゴールデンウィークには7日連続のワンマンライブ<D 16th Anniversary Special Premium Live 「Vampire storyⅱ“7 Days force”」>が。

Ruiza:こちらの公演では、各日にヴァンパイアストーリーのメンバーそれぞれが担っているキャラクターの名前を冠していて、基本的にはそのキャラクターに関連する曲を全部やるつもりです。ひとりのキャラクターの曲を1日に一気に聴けるというのは初めての試みですし、すごくレアなライブになると思います。

――Dはライブごとにしっかりコンセプトが立ててあるので、見ごたえがありますよね。

Ruiza:中身がガラっと入れ替わるので、取り組みがいがあって楽しいですね。初めて観る人にも楽しんでもらえると思います!Dはほかにも撮影スタジオをオープンさせたりオンラインサロンを始めたりと、新しい事にもチャレンジしていて、2019年は知りたい人がより知れるDというか、よりコアなものを打ち出していくことになると思います。好きになってくれた人にいっぱい楽しんでもらえるかなと、ワクワクしています。

――そして出演してくださる<千歌繚乱vol.20>ではどんなライブを見せてくれますか?

Ruiza:この日、インストを演奏するのは僕だけだと思うので、音だけでも楽しめるんだってところを見せたいです。異彩を放ちたいとかではないんですけど、インストもなかなか面白いと思うので。面白いって思ったら笑ってもらっていいですし、自然体で楽しんでいただければ。僕らが楽しんでるところを見て、お客さんにも楽しんでもらえたら嬉しいです。

取材・文◎服部容子(BARKS)

■「refrain」全曲試聴
http://www.d-gcr.com/profile/solo_ruiza.html

   ◆   ◆   ◆

Ruizaが出演する<千歌繚乱vol.20>は、3月25日(月)池袋EDGEにて開催。チケットの購入はコチラから。


<千歌繚乱vol.20>

2019年3月25日(月)池袋EDGE開場 17:00 開演 17:30

出演
ARTiCLEAR/AXESSORY/AMBEEK/K/Ruiza solo works

料金 ※ドリンク代別途
一般チケット 3,800円/当日券 4,000円

チケット
3月1日(金)12:00~3月24日(日)
購入ページ:https://eplus.jp/sf/detail/2847400001-P0030001

Ruiza NEW MINI ALBUM『refrain』

2019年2月17日 (日) Release
会場、通販限定販売
GOD CHILD RECORDS / GCR-177 / CD 1DISC / ¥2,100(税込)

[収録曲]
1. Nexus
2. dye
3. Connect
4. refrain

※会場販売 : 2019年2月17日(日)新宿Ruido K4より販売開始
※通信販売 : 2019年2月20日(水)よりRosen Kranzにて通販受付開始

<D 16th Anniversary Special Premium Live 2019 東名阪ワンマン「狂王」>

2019年4月12日 (金) 名古屋Electric Lady Land
2019年4月14日 (日) ESAKA MUSE
2019年4月17日 (水) TSUTAYA O-EAST

チケット詳細はこちら
D official website http://www.d-gcr.com

<D 16th Anniversary Special Premium Live Vampire story “7 Days force”>

2019年4月29日(月・祝)「Dahlie」
2019年4月30日(火・祝)「Wilderness」
2019年5月1日(水・祝)「Carbuncle」
2019年5月2日(木・祝)「Justice」
2019年5月3日(金・祝)「Rafaga」
2019年5月4日(土・祝)「Kircheis」
2019年5月5日(日・祝)「Dreizehn」
会場:高田馬場AREA

組曲「狂王」

通常盤(会場、通販限定販売)
GOD CHILD RECORDS / GCR-175 / ¥2,500(税込み) / CD 1DISC

【収録内容】
1.組曲「狂王」第一番 ~灯火(とうか)の雄馬~
2.組曲「狂王」第二番 ~死の影を運ぶ鳥~
3.組曲「狂王」第三番 ~美醜なる不死の獣~
4.組曲「狂王」第四番 ~黒羊は忠誠の夢を見る~
5.組曲「狂王」第五番 ~落陽に哭(な)く蝙蝠~

この記事をポスト

この記事の関連情報