【ライブレポート】佐々木李子、自身初となる1stワンマンライブ「RicoRium」満員御礼

ポスト

現在オンエア中の大人気アニメ「キラッとプリ☆チャン シーズン2」のメインキャラクター“だいあ”役をつとめるなど、声優としても活躍中のシンガー佐々木李子が、「1stワンマンライブ~RicoRium~」を開催した。まだ5月なのに真夏のような暑さとなったこの日。SOLD OUTとなった会場内にも早くから熱気が立ち込め、どこかそわそわするような興奮に包まれていた。

暗転したステージにまず現れたのは、彼女が絶大なる信頼を置いているバンドメンバーたち。それぞれのスタンバイが完了すると、昨年リリースされた1stアルバム『瞼の裏に映るもの』のオープニングを彩っていた「海の底へ...」がSEとして流れはじめ、佐々木李子が姿を現した。


1曲目「Blooming!」のファンキーなイントロが始まると、開幕のサインを掲げるようにすっと左手を上げて歌い出す。まるでもう何曲か演奏してきたかのような、極上のグルーヴ感。彼女がいかに音楽の神様に愛されているのかが瞬時にわかるような、歌声とパフォーマンスだ。前進するエネルギーに満ち溢れた「ドリームクライマー」では、フロアを埋めたオーディエンスもリコペンライト、略して“リコペン”を力強く振りながら一緒に盛り上げていく。「Recollections」はダークでハードなサウンドが疾走する曲だが、決してかき消されることのない彼女のボーカルが見事だ。この曲に限ったことではなかったが、彼女の歌は終始、ノリやスピード感を損なうことなく言葉をきちんと伝えてくれていた。この日のライブは1枚のチケットで2名まで入場できることになっていたのだが、きっと友達に誘われて初めてライブを見にきた人という人にも、曲に込められた思いや世界観がしっかり伝わったはずだ。


3曲を一気に歌い終えると、「佐々木李子1stワンマンライブ~RicoRium~へようこそ!やばい!鳥肌(笑)!来てくださって本当にありがとうございます」と、満員のフロアを嬉しそうに見渡しながら感謝の気持ちを伝えた。その上で「今日は、私がデビューしてからずっと一緒に歩んでくれた音楽達1曲1曲に込められている、目には見えないカタチのないもの──世界、メッセージ、感情。全部受け取ってくれたら嬉しいです!今日は思い思いのスタイルでRicoRiumの世界を楽しんでください。それでは、佐々木李子1stワンマンライブ~RicoRium~、私とあなたとの大切な物語の始まり!最後までよろしくお願いします!」と言葉を添えると、たくさんの拍手と声援が寄せられていた。


ステージが真っ赤な照明に照らされると、ヘヴィなロックからジャジーにスイングする展開が印象的な「tell you,tell me」を披露。アレンジの振り幅だけではなく、美しいファルセットから凄みの効いたボーカルまで、様々な表情を見せる彼女の歌声もまた華麗にスイッチを切り替えていく。アプリゲーム「誰ソ彼ホテル」の挿入歌でもある「酩酊」はかなり大人っぽいムードの1曲だが、演じるように歌う彼女の声を聴いていると、実際にこんな経験をしたことがなくても、まるで自分がその歌の主人公になったような気持ちにさせられるから不思議だ。

「When I...」からの3曲は、楽曲の世界観へと誘うセリフとともに。ひと足早い夏の宵を感じさせてくれたバラード「線香花火」の表現力も素晴らしかったが、ワンマンに先駆けてMVも公開された楽曲「Freedom」でのパフォーマンスは圧巻だった。歌い手としてだけでなく、役者や声優としての才能もフルに発揮され、表現者としてのパワーが炸裂したかのような姿で熱演。終盤「Freedom、Freedom…」と祈るように繰り返し、赤く染まったステージの真ん中でスッと背を向けたエンディングの一瞬まで、彼女が歌に込めた熱い魂を余すことなく感じることができる1曲だった。


その後のMCでは「やっとひと息ついた(笑)」と笑顔で本音を漏らし、「ちょっと言い忘れてたんですけど」と、短くなった自身の髪型についてトーク。会場から「かわいい!」の声が上がる中、先ほど披露した「Freedom」のMVに登場する「sakiyamaさんのイラストの少女が素敵すぎて切っちゃった(笑)」とその心境を語ると、彼女らしいなと受け止めたフロアからドッと笑いが起こる。圧倒されっぱなしだった先ほどまでとの温度差も、彼女のライブの魅力の1つだ。また今回のライブのタイトル“RicoRium”にも触れ、「プラネタリウムは星。アクアリウムは魚。ハーバリウムは植物。じゃあリコリウムは?」と問いかけるが、なかなか正解が返ってこない。その後「リコリウムは“心”。音楽にたくさん心を込めてみんなに届けたいという思いから、このタイトルを考えました」と語っていたが、確かに、セットリストやグッズも含め、彼女自身がコンセプトを考えたこの初ワンマンに対する想いが真っ直ぐに伝わってくる。心と“らしさ”が感じられる、とてもいいタイトルだ。


ライブ後半戦は、この日から配信されることが決定した「Knot Alone」でスタート。ハイスピードバトルアクションゲームアプリ「ドールズオーダー」の1周年を記念したアニバーサリーバトルソングの新曲で、“糸”をキーワードに強い絆を表現したものだ。ロックテイスト全開のナンバーだけに、生バンドでパワフルかつエモーショナルに激走していくこのライブバージョンはまた格別。フロアも一気にヒートアップし、その熱はみんなでタオルを振り上げた「Fly high」、クラップとジャンプで盛り上げた「Under the Flag」へと続いていった。

「ワンマンってすごいね!こんな気持ちになるんですね(笑)!」と喜びを噛み締めながら始まったMCのコーナー。朗読と歌とピアノを軸にした彼女主催のストーリーライブ<SynapstoRy>を3ヶ月連続で行うことや、今年の秋にはまた大きな発表があることなどもアナウンスされ、テンション高い歓声と拍手が寄せられていた。また「良い意味で、予測不可能な令和にしたい」という意気込みも語られていたが、その第一歩となるこの初ワンマンを開催するにあたっては、嬉しさの一方で「私1人でできるのかな?大丈夫かな?という不安がすごくあった」と心境を吐露した。


「でも今日ここに立って、初めてわかったことがあります。バックではかっこよくて頼もしいバンドメンバーが支えてくれていて、会場の至る所で朝早くからたくさんのスタッフさんが支えてくれている。ここにはいなくても、ずっとサポートしてくれた関係者の方も。そして何より、目の前には、こんな私をずっとキラキラした目で支えてくれているみんながいる。ワンマンだけど1人じゃないんだなって強く思いました。デビューして来月で3年。いろんなことがあったけど、今もこうしてみんなの前で歌が歌えていること、本当に幸せに思います」

時折声を詰まらせながら語る彼女を、みんな静かに見守っている。

「昔はただ歌が好きというだけで歌っていたけど、みんなと出会って、誰かに届けたいから歌いたいに変わりました。みんなが心というものを教えてくれました。だから今度は私が、大好きなみんなに心で届けます」

そういって歌われた「Departure」は、まさにそんな思いが綴られた1曲だ。主人公を“演じる”でもなく“表現”するでもない。ただ真っ直ぐ、つぶやくように歌う。震える声もそのままだったのは、この歌を届けたいと願う人たちと心から信じ合えていることを実感しているからなのだろう。歌い終えると泣き笑いのような表情で「本当にありがとう!」と伝え、置いてあったグッズのタオルで目元を押さえながら「こういう時に使える(笑)」なんてチャーミングなユーモアも。そして「これからもみんなと一緒に楽しい時間を過ごせるように頑張ります。アーティストとしての佐々木李子も、声優としての佐々木李子も、応援よろしくお願いします!」と頭を下げ、「これから先、どんな風が吹こうとも、みんなと一緒なら立ち向かえる」という力強いメッセージを添えた「明日への風」で本編を締めくくった。


アンコールでは、これまでTwitterの投稿でしか見ることができなかったアコースティックギターの弾き語りをステージで初披露。「本当に初心者なんです!ハードル、下げさせてください(笑)」、「動揺がすごい(笑)。温かい目で見守ってくれたら嬉しいです」とありったけの言葉で前置きを重ねていたが(笑)、一度は諦めたものの、自分の音楽の幅を広がるきっかけになればと練習を再開したという彼女のギターはまさにハートフルな音色。キーボードと2人で届けられたその弾き語り曲「寄り道」には、音源とはまた違った温かさと景色が生まれていた。ラストは、「私は結構臆病だけど、同じように迷ったり悩んだりしている人が、私を見て「一歩踏み出してみよう」と思えるように、これからもいろんなことを頑張っていきたい」という抱負とともに、「1stワンマンで終わりじゃない。次に繋げられるように精一杯頑張るので、ぜひまた私に会いに来てください。私も会いにいきます!」と高らかに宣言。彼女自身も作詞を手がけている「Finale」を心を込めて歌い上げ、初ワンマンは名残惜しくも希望に満ちたムードの中で幕を閉じた。

取材・文●山田邦子

佐々木李子「1stワンマンライブ~Ricorium~」

2019年5月25日(土) 秋葉原CLUB GOODMAN
【セットリスト】
M1.「Blooming!」
M2.「ドリームクライマー」
M3.「Recollections」
M4.「tell you,tell me」
M5.「Walkin’ Walkin’」
M6.「酩酊」
M7.「When I...」
M8.「Freedom」
M9.「線香花火」
M10.「Knot Alone」
M11.「Fly high」
M12.「Under the Flag」
M13.「Departure」
M14.「明日への風」
アンコール
M15.「寄り道」 弾き語りver
M16.「Finale」

ライブ・イベント情報

佐々木李子「SynapstoRy ~魔女と呼ばれたジャンヌダルク RE:~」
開催日時:2019年6月22日(土) OPEN 12時15分/START 12時45分
会場:秋葉原CLUB GOODMAN
チケット料金:前売3,500円/当日4,000円(ドリンク代別)
チケット一般発売日: 2019年5月26日(日) 12:00~
受付URL:https://eplus.jp/synapstory-0622/
SynapstoRy特設サイト:https://sasakirico.com/synapstory/

配信情報

佐々木李子 ハイスピード対戦バトルアクション 「ドールズオーダー」
アニバーサリーバトルソング「Knot Alone」配信決定
iTunes Store、レコチョク、他各配信サイトにてダウンロード配信中
配信URL:https://itunes.apple.com/album/id1461040392?app=apple&ls=1
この記事をポスト

この記事の関連情報