【速レポ】<京都大作戦2019>10-FEET、「ありがとうしかない、ほんまに」

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開催途中、豪雨にあてられた2日目だったが、無事にトリの時間を迎えつつある。4日間開催のうちのまだ2日目ではあるものの、2年前の雷雨による中断や去年の中止を経て、ついに辿り着いたこの時間が、とてつもなく愛おしい。

◆10-FEET 画像

18時40分、SEが鳴り響くと自然に起こる大歓声。「いこかー!!」とTAKUMAのでかい声を合図に、バンドサウンドが鳴り響いた。すでに頂点、そんなテンションで「VIBES BY VIBES」からライブはスタートした。「飛べー!」とTAKUMAが叫べば、オーディエンスは喜び全開のジャンプを繰り返す。その勢いのまま「Fin」へ続くと、今度はNAOKIに合わせてコーラスを叫ぶオーディエンス。さらに大阪籠球会も加わって「goes on」へ。これは悲しみも悔しさも乗り越えるためにある歌であり曲だろう。今、2年越しの思いが実現した嬉しさ、目の前に広がる光景が、KOUICHI、NAOKI、TAKUMAの3人をさらに白熱させていく。音や言葉にこもる力強さがハンパじゃない。それに興奮し、大きな輪っかを作るオーディエンス。一瞬ごとがクライマックスとも呼べるライブがここにあった。


「ありがとうしかない、ほんまに」

言葉少なめだが、気持ちがたっぷり入った一言が嬉しい。そうして曲が「風」から「太陽4号」と続くと、TAKUMAは歌いながら優しく語り掛け、また自分にも言い聞かせるように言葉を口にしていく。曲こそジワジワ染みこむタイプのものだが、マイナスからプラスへと変わっていくエネルギーもみなぎる。それこそ本当の強さだろう。聴くものではなく感じるもの。そして自分の力にもなっていくもの。10-FEETの曲にはそうした一面もある。新曲「ハローフィクサー」もそうだろう。


「もっと俺は、もっとムキになりたいし、もっと…、まだ足りへんねん。ああ、ずっとバンドやって20年以上、<京都大作戦>も10年以上やって、いろんな感動があったけれど、今日を一番にしたい! 心がドキドキ、“ああ、なんやろ、これ”って緊張して、手が震えるぐらい、声が震えるぐらい、いっつもそうなりたいのに。ライブは<京都大作戦>に限らず、いっつもそうなりたいのに…!」

MCというよりも、自分の葛藤も吐き出すようなTAKUMAの叫び声が、太陽が丘にこだましていく。さらに、目の前のみんなにも向ける。

「みんなも一番いいときの自分を、出せるときと出せへんときがあったりか。今はオマエにとってピークか。いいときか。これからか」

そして自分自身にも、みんなにもメッセージを突き付ける。

「そんなもの降って湧いてこーへん。そこへ向かい続けるしかない。今までで一番のライブになるかどうか分からんけど、ボロボロかもしれんけど、行ってみよう」


全身全霊の叫び声から始まったのは「ヒトリセカイ」だった。3人の表情に、ライブを楽しんでいるような笑顔はない。本気で伝えたいからこその真剣な表情だ。「オマエら次第や。明日、一番カッコいいオマエを見せてあげろ」と鼓舞させる言葉は、全員の気持ちの隅々にまで響き渡っていった。

ラストは、何気なくギターで弾くチャルメラのメロディが印象的なフレーズに変化しながら始まった「RIVER」。気合いと愛情に溢れた一体感が太陽が丘に広がっていく。「こんなにたくさん残ってくれてありがとう。オマエら、大好きやぞー!」と喜びの叫び声もTAKUMAは上げた。さらに友達を呼ぶといって、Dragon AshのKjを呼び込むが、全然、姿を見せない。客席エリアのなかで10-FEETを観ていたからだ。しかもお客さんからジーマをおごってもらったという。「なにしてんのん、自分!?」と笑うしかないTAKUMA。



そんなKjは、SiMのMAHを半ば強引に呼び込んだ。そして客席エリアでこれからみんなで作るサークルの真ん中に、MAHとKOUICHIが行くから、と勝手に決めてしまう。「先輩だからって、何でも許されると思うなよ」と言いながら、MAHはKOUICHIを引き連れてサークルのド真ん中へ。さらに「10-FEET! <京都大作戦>!!」とリズムに乗って煽るMAH。KOUICHIに変わってドラムを叩くのはKjだ。サプライズも多い<京都大作戦>の歴史のなかで、これは前代未聞の大事件だ。しかも、おもしろエピソードとかお祭り騒ぎでは済まない。「RIVER」が激しく展開する直前、TAKUMAがニヤリとしながら言い放った一言は「KOUICHI、MAH。さよなら」だった。揉みくちゃになるKOUICHI、飛び込んでクラウドサーファーと化すMAH。そしてすぐに人並みのなかに、本人の意志とは反して消え失せていくことに…。



「オマエら! 一番、見せてみろ。約束やぞ、分かったか」

改めて強いメッセージを突き付けながら始まったアンコール。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAも加わった「その向こうへ」から、本当のラストナンバー「CHERRY BLOSSOM」へ。嬉しそうな笑顔の10-FEETが、感謝の気持ちを思いっきり込めて鳴らす曲。タオルが勢いよく舞う太陽が丘。<京都大作戦>でしか目にできない絶景があった。

「また絶対に会おうな! そして1本でも多くライブ、一緒にやりましょう!!」


さあ、一週間後に控えた<京都大作戦2019 ~倍返しです!喰らいな祭~>の第二週目。もちろん何が起こるか全く読めないが、開催されれば成功なのは間違いない。

取材・文◎長谷川幸信
撮影◎HayachiN/みやざきまゆみ

【10-FEET セットリスト】

01. VIBES BY VIBES
02. Fin
03. goes on
04. 風
05. 太陽4号
06. ハローフィクサー
07. ヒトリセカイ
08. RIVER
encore
en1. その向こうへ
en2. CHERRY BLOSSOM

■<京都大作戦2019 ~倍返しです!喰らいな祭~>

6月29日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
6月30日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月06日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月07日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
開場 9:30 / 開演 11:00 / 終演 20:00予定

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