【インタビュー】超能力戦士ドリアン、キャッチーな楽曲と笑える歌詞のマッチングを活かしたミニアルバム

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“歌って踊って笑顔で帰ろう!”というコンセプトのもとに、リスナーを笑顔にするバンドとして大きな注目を集めている超能力戦士ドリアン。6月5日にリリースされた最新作『超能力戦士ドリアンの楽曲が7つ入ったミニアルバム』は、キャッチーな楽曲と笑える歌詞のマッチングを活かした彼らならではの魅力を押し出しつつ、新たな顔も見せた意欲作となっている。注目のニューフェイスといえる超能力戦士ドリアンの素顔に迫るべく、全員インタビューを行った。

■わかりやすくて楽しんでもらえる曲を作ろうということがテーマ
■キャッチーな楽曲と日常の出来事や“音楽あるある”が題材になった7曲


――まずは、超能力戦士ドリアンの結成から聞かせてください。

やっさん:僕ら3人は、もともと大学のサークル友達だったんです。大学を卒業して3人とも社会人になるんですけど、“ちょっと一旗あげたくない?”みたいな話になって。共通の好きなことは音楽やなということで、超能力戦士ドリアンを結成しました。

――結成当初から明るいバンドを目指していたのですか?

やっさん:僕らはドラムとベースがいないという特殊な編成なのは、サークル内に仲の良いドラムとベースの人がいなかったからなんです(笑)。リズム隊を探そうかという話も出たけど、気兼ねなくバンドをやりたかったので、だったらリズム隊がいないことを逆手に取って変なバンドということを個性にしようとなったんです。その段階で、エモい曲やオシャレな曲は選択肢から外れました。それと僕が結構“気にしい”で、ライブの時に観ている人の反応がめちゃくちゃ気になるんですよ。面白い系や楽しい系のバンドは、その場で正解/不正解がわかる。良いライブをしていれば盛りあがるし声も出ますから。僕はすぐに答えがほしいタイプなので、明るくてアッパーでお客さんが笑顔になるような音楽性でいくことにしました。

――それぞれの音楽的なバックボーンも教えていただけますか。

やっさん:僕は大学に入るまでは、それこそテレビに出ているようなBUMP OF CHIKENやflumpoolくらいしか知らなかったんです。たまたま、CD屋さんでキュウソネコカミのCDを買ってハマって梅田のShangri-Laにライブを観に行ったんです。それが僕のライブ初体験で、その後は[Champagne](現[ALEXANDROS])とかも聴くようになりました。キャッチーでカッコいい邦楽のバンドが好きでしたね。

おーちくん:僕もやっさんと同じような感じで、テレビで流れている音楽やアニソンは好きだったけど、自分から音楽を聴くタイプではなかったです。大学に入った頃にUNISON SQUARE GARDENがアニメのタイアップをやっていて、それからUNISON SQUARE GARDENにハマりました。

やっさん:僕らの大学は、校門の横のところに学生広場みたいなのがあってライブができるんです。そこで、おーちくんがUNISON SQUARE GARDENのコピーをやったことがあって、その後Twitterで調べたら、“学校の門のところで歌ってたヤツ、ヘタすぎる”とか、“ステージから引きずり降ろしたくなった”とか書いてありました(笑)。

一同:ハハハッ!!

おーちくん:その情報いるかな?(笑)

やっさん:まぁ、そういう時期もあったということで(笑)。

けつぷり:僕は2人とは結構違っていて、高校の時に軽音部に入ったんです。そこはレッド・ツェッペリンとかディープ・パープル、などのハードロックや、80年代くらいまでの洋楽ばかりをやるような人達の集まりだったんです。そういう環境でギターを始めたから、洋楽のコピーばかりで、邦楽はX JAPANとか、HIDEさんとかを聴くくらいでした。そのまま大学で軽音サークルに入ったんですけど、同世代でそういう趣味の人はいなくて。ロックだと、みんなONE OK ROCKとかを聴いていて、ちょっと勉強しないとヤバイな思っているときに、やっさんとおーちくんと出会ったんです。2人にいろいろ教えてもらったりしていく中で、音楽の中に笑いの要素を入れてもいいんだなということを知って、今の形に落ち着きました。


――最新作『超能力戦士ドリアンの楽曲が7つ入ったミニアルバム』の話をしましょう。本作はどんな構想のもとに作られたミニアルバムでしょう?

やっさん:インディーズバンドとかをあまり知らない人にも、わかりやすくて楽しんでもらえる曲を7曲作ろうということがテーマとしてありました。それは今回に限らず、常に意識していることですね。なので、今回もキャッチーな楽曲と、日常の出来事や“音楽あるある”を題材にした7曲が並んでいます。“アッパー&キャッチー”というテーマで全体を覆ったうえで、テイストが違う7曲を入れられたのは良かったと思いますね。

おーちくん:僕らの幅広さを感じてもらえると思っています。今回のアルバムの曲はどれも気に入っているけど、僕が特に好きなのは3曲目の「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」です。シンプルにキャッチーな曲というのがいいし、みんな1回は思ったことがありそうというタイトルもいい。今回の中でも一番わかりやすい曲なんじゃないかなと思います。

――わかりやすいです。この曲は、どんなふうに作ったのでしょう?

やっさん:超能力戦士ドリアンの作詞・作曲は全部僕がしているんですけど、僕は楽器を使って曲を作れないんです。イントロのリフや鼻歌のメロディーを録って、それをけつぷりに渡してコードづけやアレンジをしてもらう。ギターソロを入れたい時は、口で“キュィーン!”とか言っています(笑)。

けつぷり:最初はすごい作り方だと思ったけど、もう慣れました(笑)。「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」はやっさんが原曲を持ってきた時に、テーマは重いというか皮肉な感じだけど、曲調は明るくてハッピーにしたいと言っていて。それを踏まえてアレンジを考えました。

やっさん:曲がハッピーだとブラック・ユーモア感が強まるじゃないですか。だから最初のシンセの音にはかなりこだわりました。そこでハッピーな感じを出しつつ、あとはもうずっと4つ打ちを基本にして終始のれる楽曲にしようと。そういうコンセプトで作った曲です。


▲やっさん(Gt/Vo)

――明るさが良い感じの危なさを生んでいます。歌詞についても話していただけますか。

やっさん:歌詞に関しては、“わかりやすくないと始まらない”ということをバンドを始めて1年くらいですごく感じたというのがあって。面白いことを歌っていても伝わらなければ意味がないじゃない。だから、わかりやすい題材を選ぶし、わかりやすくするために固有名詞を使うかどうかや、どの程度の掘りさげ具合にするのかといったことを熟考して歌詞は書いています。

――“あるある”の歌詞は簡単そうで難しいですよね。題材選びにセンスが必要ですし、リスナーを思わず“クスッ”とさせることをチョイスする必要がありますし。

やっさん:そうなんですよ。1フレーズはいけるけど、1曲通してとなると難しい。“あるある”で売れているアーティストの人達とはちょっと違う、斜めのところから膨らませていかないと生き残っていけないと思って。だから、「焼肉屋さんの看板で牛さんが笑っているのおかしいね」にしても、普通のバンドだったら“焼肉あるある”の曲の中の1フレーズだと思うけど、そこだけを切り取った1曲にして、タイトルで全部を説明して、そういう曲だとわかったうえで聴いて笑える歌詞にすることを意識しました。

けつぷり:今回の曲で僕が特に気に入っているのは、1曲目に入っている「おいでよドリアンランド2019」です。タイトル的には他の曲よりも掴みが弱いと思うけど、個人的にすごく思い入れがあるんです。さっきも話したように、僕はハードロックから入ってバンド主体にやってきたんですけど、今の編成になって人数も足りないしバンド外の音も入れたいという話になって。でも、僕以外の2人は音楽の基本的な理論も一切わからないし、僕もギターとベース、ドラム、ボーカルのことしかわからない。それで、このバンドで曲を作るとなった時に、打ち込みやいろんな楽器のことを勉強し始めたんです。それを経て、自分達では演奏できない楽器の音を初めて入れたのが、この曲だったんです。


▲おーちくん(Vo)

――イントロのパレードっぽいフレーズを始めとして、この曲のキーボードは絶妙です。

けつぷり:そうなんですよ。

やっさん&おーちくん:自分で言うんかい(笑)。

けつぷり:うん(笑)。鍵盤は全く弾けないけど、自分の中でイメージしていたものを形にできたなと思って。そういう意味で思い入れがあるし、超能力戦士ドリアンらしさに溢れた曲なので、ぜひ聴いてほしいです。

やっさん:「おいでよドリアンランド」は、本当にお客さんがいない頃に作った曲なんですよ。なにかしら模倣したほうがいいのかもしれないと感じていた時期だったので、お客さんを呼べる題材って何かなと考えた時に思い浮かんだのがテーマパークだったんです。それで“自分達がテーマパークだとしたら”というテーマで歌詞を書いた。なので、この曲は“あるある”もありつつ、自分達のことを歌った歌詞になっています。

――歌詞の内容も含めて、初めて超能力戦士ドリアンを聴く人に最適な1曲といえますね。それに、中間にジェットコースター・ネタが入っているのも最高です。

やっさん:ああいうことは他の曲でもやっていて、アイディアは僕が考えています。多くのアイディアの中からメンバーが面白がってくれたものを活かす。この曲も最初はジェットコースターのくだりはなくて普通の曲だったよね?

おーちくん&けつぷり:そう。

やっさん:でもインパクトが弱いから、30分とかの短いセットリストの時はやりにくくない?という話になったんですよ。だったら、なにか変なことをしようということになって、おーちくんに“自分、ジェットコースター乗られへん?”みたいな(笑)。

おーちくん:最初は普通にギターソロを入れる感じだったけど、面白いことをやろうという話になって、悪ふざけがどんどん酷くなっていって(笑)。ジェットコースターという言葉が出てきた時は“なんやそれ?”と思ったけど、いい感じになったんじゃないかなと思います。この曲は“ジェットコースター・ソロ”が僕にとっての見せ場なので、ライブでは注目してもらいたいたいです(笑)。

やっさん:ライブの時は、実際ジェットコースターに乗ってもらうしね(笑)。

――えっ、どういうことでしょう?

おーちくん:前まではバーだけを持っていたけど……。

やっさん:今回のワンマンツアーから、ボディーも作りました(笑)。そこにズボンと靴もつけたので、かなりリアルになっています(笑)。

けつぷり:最新のフル・ヴァーチャルです(笑)。

一同:ハハハッ!

やっさん:今回のミニアルバムで僕的に印象が強いのは、「お友達紹介のうた」かな。タイトルどおり、僕の友達を皆さんに紹介していくという曲です。

おーちくん:3人の共通の友達も入っていますけど、基本はやっさんの友達なんですよ。まぁ、無許可でよく出したと思いますね(笑)。“やっさんは結構ホンマもんのサイコパスなんや”と思いました(笑)。この曲に出てくる“たかさん”に訴えられたら、たぶん負けるやろう…みたいな(笑)。

やっさん:女性の敵でしょ、浮気するヤツは。だから真綿で絞めていかないと(笑)。

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