【速レポ】<京都大作戦2019>GLIM SPANKY、残響まで染め上げたエモーショナルなステージ
キュウソネコカミに続いて登場するのは、中止となってしまった昨年の<京都大作戦>に出演予定だったGLIM SPANKYだ。サウンドチェック中の何気ないセッションから、グイグイと惹きつけるアンサンブルを響かせていたが、いざ本番のライブはさらに圧倒的な馬力とドライヴ感で、この源氏ノ舞台をGLIM SPANKYワールドへと連れ立っていった。
◆GLIM SPANKY画像
つい先月、アルバム『LOOKING FOR THE MAGIC』を携えた全国ツアー(台湾、香港含む)<LOOKING FOR THE MAGIC Tour 2019>を終えたばかりで、いいツアーをしてきた余韻というものもあるのだろうか。とにかく、亀本寛貴(G)の奏でるギターは終始、エキサイティングであり、華のあるフレージングで魅せる。ドラム、ベース、キーボードのサポートミュージシャンとの呼吸も抜群で、ギターを軋らせてスタートした「愚か者たち」から、鉄壁という言葉がぴったりとハマる分厚いアンサンブルを響かせ、そこに松尾レミ(Vo/G)がハスキーな低音で歌いだす。強い存在感のある声で、一発でオーディエンスを飲み込んでいくパワーだ。
そして、60年代、70年代のロックのレジェンドたちが奏でてきた魔的で、リフやフレーズひとつで曲を決めてしまうくらいのインパクトやキャッチーさを持ったギターで「TV Show」へと突入。クラシカルなロックとモダンなダンスビートが衝突したサウンドで、オーディエンスの体を揺らしていく。ブルっとエンジンをふかすようなハスキーな松尾のボーカルに痺れる。そしてこの松尾の歌声が持つ独特の疾走感や高揚感が、最高に乗るのが「怒りをくれよ」だ。ダーティさもきらびやかさも内包したボーカルがサウンドを加速させると、ぶっといバンド・グルーヴがグラウンドごと揺るがしていった。
「改めましてこんにちは、GLIM SPANKYです。10-FEETのみなさん本当に呼んでくれてありがとうございます、とても楽しみにしてきました。今日はGLIM SPANKYなりのロックンロールをやって帰りたいです。よろしくお願いします」。松尾はそう挨拶をすると、亀本とともにLed Zeppelin的なギターを編み上げていく。この冒頭のギターと、どっしりとしたビートにのるシンガロングがアンセム感抜群な「ハートが冷める前に」で、バンドのアンサンブルは一段と高い密度になった。<京都大作戦>を<ウッドストック・フェスティバル>に変えるタイムトラベルでもしているようなムードで、亀本のギターの咆哮は大きく空に伸びていく。
続く、郷愁を呼ぶメロディとエモーショナルなボーカル、一歩一歩を歩むような大らかでミディアムなビートが美しい「The Flowers」へという流れも、イマジネイティヴだ。「久しぶりの野外で、これから夏がはじまるスタートとしてここに出演できることを嬉しく思います」。そう語った松尾は、次の曲は自分が大学生の頃に作った曲だと「大人になったら」を紹介する。器用に大人になりゆくことで少しずつ失われていく、夢のきらめき、青春の輝きをパッケージした曲をエモーショナルに歌い上げると、オーディエンスから大きな拍手がわき起こった。そしてラストはエキゾチックな香りのロックを鉄壁のアンサンブルでこれでもかと聴かせる、「アイスタンドアローン」。最後の一音とその残響まで、オーディエンスの心をつかんで、GLIM SPANKYはそのステージを終えた。
取材・文◎吉羽さおり
撮影◎HayachiN/みやざきまゆみ
【GLIM SPANKY セットリスト】
02. TV Show
03. 怒りをくれよ
04. ハートが冷める前に
05. The Flowers
06. 大人になったら
07. アイスタンドアローン
■<京都大作戦2019 -倍返しです!喰らいな祭->
6月30日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月06日(土) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
7月07日(日) 京都府立山城総合運動公園 太陽が丘特設野外ステージ
開場 9:30 / 開演 11:00 / 終演 20:00予定
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