【ライブレポート】ゴールデンボンバーからの「ありがとう」

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▲「令和」

10月19日、ゴールデンボンバーのワンマンライブを神奈川・横浜アリーナで観た。<ゴールデンボンバー全国ツアー2019 「地方民について本気出して考えてみた〜4年以上行ってない県ツアー〜」>のアリーナ編として行なわれた公演だ。

◆ライブ画像(全10枚)

今回のツアーは、そのタイトルどおり地方の会場を巡るものだが、鬼龍院翔(ボーカル)が公演中に説明したように「関東でやらないとクレーム殺到になりそうだったので」という理由で、ここ横浜アリーナでの2デイズ公演もスケジュールに含まれたそうだ。

終演後にまず浮かんだ感想は、「あまり服着てなかったな」である。メンバーがほぼ全裸でいる時間が長く、ステージの上は大体、肌色だったと記憶している。また、喜矢武豊(ギター)がギターソロとしてパンダまん(チョコカスタード味)をおかずに山盛りの白米をかき込んだり、早着替えを見せたり、おいしい空気を吸い込んだりしたほか、体長181センチのホタル(あくまでも樽美酒研二(ドラム)ではないらしい)がTバック姿で宙を舞うとか、下ネタが激しい演劇パートがあるとか、とにかくネタが盛りだくさんだった。笑った。

▲「抱きしめてシュヴァルツ」
横浜中華街にある「パンダまん(チョコカスタード味)」をご飯に合わせて食べる喜矢武。蛍として現れ、ステージ上を飛ぶ樽美酒


▲「また君に番号を聞けなかった」
大昔のファッションを身につける喜矢武・歌広場・樽美酒


▲「きかせて!アンコール」
美味しい空気を吸い込む喜矢武と、それに巻き込まれるステージ


そもそもの話になるが、大型イベント出演やテレビ出演など、バンドとしての活動はもちろん、個々の活動も充実しているゴールデンボンバーが、なぜわざわざ地方ツアーを行なったのか。ここに注目したい。

前述したとおり、おもしろかったのは間違いない。でも、大きなテーマとして「感謝の気持ち」があったのではないかと感じた。ライブでは、まずオープニング映像が上映された。喜矢武が制作したダンボールワゴンに乗って出発したメンバーが横浜に到着すると、実際に会場に設置されたメインスクリーンが真ん中から開き、メンバーが乗り込んだワゴンがステージに登場するという演出だった。

映像中で、ゴールデンボンバーは「待ってくれている人」のためにワゴンを走らせていた。そう、「アナタ」に会うためだ。ライブやイベントは都心での開催が多く、地方に在住している場合、気軽に参加することが難しい人も多いだろう。雨に打たれ、ときにはケンカをしつつ、必死に会場へ向かう4人の様子をコミカルに描いてはいたものの、「ありがとう」を直接伝えるためのツアーであったことは間違いない。

そうしたら、ほぼ全裸のライブも、てんこ盛りのネタも、そのすべてが彼らからの「ありがとう」の気持ちに感じられて、いちいちウルッときてしまった。本編ラストに披露された「イヤホン」は辛い状況にいる「君」へエールを送る曲。メンバーの表情や動向を追うだけでなく、鬼龍院のイヤーモニターのアップがスクリーンに映ったのは粋だなと思ったし、曲中のファンの合唱のパートでは鬼龍院が「君=ファン」の声を聴き逃さないよう、イヤーモニターをはずしていた姿も印象的だった。

▲演劇コーナー

▲演劇コーナー

すべての演奏終了後には、「みなさんの顔を見に、ぐるっと回りに行きます」と言い、4人は客席を徒歩で回った。ライブ中にトロッコで会場を進む演出はあったが、スペースの都合でぐるりと回ることができなかったためだという。一人ひとりの顔を見ながら大きく手を振り「ありがとう!」と声をかけるメンバーも、それを迎えるファンも満面の笑顔だった。

さらに付け加えると、今回の公演で喜矢武はパンダまんを食べていたが、これまでに行なわれた各公演ではその地域の食べ物が選ばれてきたそうだ。名産品を演出で使用することによって、「同じものを食べてみたい」と思うファンも少なくないはず。2017年に発表した各都道府県限定シングル「やんややんやNight 〜踊ろよ※※〜」(※※に入った都道府県のCDショップのみで販売)もそうだが、彼らは地方に経済効果をもたらす役割も果たしているのではないだろうか。これもまた、ひとつの感謝の気持ちだ。

▲この日初披露された新曲「かまってちょうだい///」

▲配信が開始されたばかりの新曲「首が痛い」

▲「女々しくて」

▲会場内全景

再びワゴンに乗り込んだ4人は、11月16日に行なわれる無人島でのライブのため旅立って行った。エンディング映像は、「世界中の人たちが俺たちを待ってる」という言葉と、水陸両用車に変形したワゴンが大海原を進む様子で締めくくられた。

鬼龍院は最後に、会場を埋め尽くしたファンへ向けて「必ず元気でまた会おう!」と呼びかけた。愛と感謝がこれでもかと詰め込まれたこのたった一言で、胸がいっぱいになった。

取材・文◎高橋ひとみ(BARKS)
撮影◎菅沼 剛弘

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