【インタビュー】上野優華「自分らしさを取り除いた1枚に」

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■いい意味で今までの自分らしさを取り除いた

──『今夜あたしが泣いても』のコンセプトは“失恋”や“片想い”。上野さんは過去のインタビューでラブソングが好きだとおっしゃっていましたが、その理由は?

上野:ラブソング大好きなんですよねー……やっぱり日常に足りてないからじゃないかな?(笑) ハッピーな恋愛ソングも悲しい恋愛ソングも好きで、どれを聴いてもほんとシンプルに“体験したことないからうらやましいなあ、いいなあ〜”って思うんです。

──(笑)。甘酸っぱい学生生活などは?

上野:小中9年間1クラスだったし、高校生の時は歌のお仕事を始めていたので、色恋沙汰が一切なかったんです(笑)。クラス替えの経験もないし、男子8人女子16人しかいないから席替えのドキドキもわからない!(笑) 恋をして悲しい、切ないっていうのも、それまで幸せだったからってことじゃないですか?

──そうですね。

上野:それってすごく素敵なことだと思うんです。だからどんな恋愛ソングを聴いても“いいなあ”と思うんですよね。ずっとお芝居をやっているので、ラブソングを歌う時は曲の主人公のなかに入っていくことがほとんどです。小さい頃から漫画が大好きなので、そこで培った妄想力と演技力でリアルを追求していきたいと思っていて。今作の歌録りは、さらっとはしてないけど、歌い上げすぎない……というのをすごく意識してます。ミュージカルとまではいかないけど、舞台に立っているつもりで。

──上野さんの歌は言葉にならない気持ちを声で表しているなと思って。それが世間からの“すごく泣ける”という反響にもつながっているのでは。

上野:“私のことを歌ってくれているみたい”や“男だけど共感しました”と言ってもらうことが多くて、本当にうれしいしありがたいです。YouTubeで公開したMVのコメントに、自分の恋愛のことをみなさん書いてくださるんですよ。私宛に書いているのか、独り言なのかはわからないけれど、上野優華の歌に対して自分の話をしてくれるというのが、すごくうれしい。みんなに許されてるんだなと思います。あと、うらやましい(笑)。

──はははは。

上野:私は経験がないから演じることしかできないけど、あなたは日常生活でこの感覚を味わってるんですね……!って(笑)。漫画やドラマの世界だけじゃないんだなと、コメントを下さった学生の方々から学びました。

──聴いた人がそれだけ自分の話をしたくなるのは、聴いた人が“これは自分の曲だ”と思えるからだと思うんですよね。それは上野さんの声を生かした楽曲だからですし、上野さんがしっかり楽曲の持っている感情に向き合っているからなんだろうなと。

上野:やっぱり、それがいちばんうれしいです。歌は共感されたり、励まされたりする存在やと思うんです。そういう歌を歌っていきたいし、それがYouTubeのコメントなどで明確に可視化されたことで“私の歌はちゃんと届いてるんだ!”と感じられて、こういう曲を歌っていいんだなとあらためて思いました。

▲『今夜あたしが泣いても』初回限定盤

▲『今夜あたしが泣いても』通常盤

──コレサワさんが作詞作曲した「こっちをむいて」は浮気相手の女の子の心情が綴られているという、コレサワさんらしい世界観のラブソングです。

上野:人生で初めてチケットを買って行ったライブがコレサワさんというくらい、昔から大好きで。今回念願の楽曲提供をしていただいて、“私、人生の勝ち組だな!”と思いました(笑)。コレサワさんの「悪いユメ」が歌詞もアレンジも全部含めて大好きで、その方向性で書いていただいたんです。初めてデモが上がってきた時、言葉にできないくらい胸が熱くなって。お客さんに歌を届けること以外の喜びを感じました。ラブソングを歌い続けていなければコレサワさんには出会えてなかったし、書いてもらえなかったかもしれない。そう考えると今までのいろんなことが報われたような気持ちになりました。



──収録されている楽曲は、どれもすごく想いの強い、ちょっとわけありの女の子が主人公ですよね。なかなか外に言い出せない想いが歌になっていると、心が軽くなる人は多いと思います。

上野:特に「こっちをむいて」みたいなタイプの歌はあんまり綺麗なイメージを持たれないかもしれないですけど、こういうシチュエーションってめちゃくちゃ珍しい話ではない気がしていて。でもみんなどこか自分は綺麗な人間でいたいから、純粋なラブソングを聴いたりもするし、それも素敵だしわかるんです。けど、たぶん私は“こういう想いを抱えてる人もいるよ”という想いが込められた曲が好きなんですよね。「こっちをむいて」みたいな想いは友達にも相談しにくいと思うんです。それをお互い話し合おうよ、みたいなスタンスで聴いてもらえたらと思うし、わたしはこういう想いをしている子の話を聞いてあげたい。いろんな人にいろんな目線で聴いてもらえたらうれしいです。

──そうですね。

上野:今作にはいろんなところを描いている楽曲が揃っているので、この曲のこの部分が自分っぽいなとも感じてもらえると思うし、こういう気持ちになってみたい!とも思ってもらえるかもしれない。この作品のうちのどれかは、あなたのために歌った曲になるんじゃないか、と思うくらいのレパートリーは揃いました。涙活みたいな感じで聴いてもらってもいいかな? 切なさに浸りたい時もありますよね。





──いろんなストーリーを演じている楽曲が多いなかで、「メロンパンのうた」は上野さんがモチーフになっているのではないでしょうか?

上野:メロンパンが大好きで、メロンパンにものすごいツンデレを感じてるんですよ。メロン入ってないのにメロンパンを名乗ってたり、もしかしたらメロン入ってなくてごめん!と思ってるんじゃないかなとも思うし(笑)。メロンパンの好きなところを全部書いてD.W.ニコルズのわたなべだいすけさんに送ったら、大人でも子どもでもない年齢の女の子の曲になって返ってきました。ニコルズの(鈴木)健太さんにボーカルディレクションをしていただいて、“もっと力を抜いてほしい” “歌うというよりは喋る感覚で”という意見をいただいたんです。良くも悪くも出来てしまった上野優華の歌のクセを1回見直して、どんな歌も歌えてクセもちゃんとあるものへと導いてもらえましたね。


──今作は世間から高評価を得た「泣ける」をテーマにした楽曲群であったり、SNSソングライターとして制作した楽曲を収録していたりと、挑戦が多い作品でもあると思います。そんな作品を完成させて、いま上野さんはどんなことを感じてらっしゃいますか?

上野:これまでは自分のこだわりを強く出していたし、それがアーティストとして正しい在り方だと勝手に思い込んでいたんです。でも今回、メロンパンの好きな部分をたくさん箇条書きにしたらこんな素敵な曲に仕上げてくださって。すべての曲が、いろんな人の知恵を借りたことで“こんな発想、自分じゃ絶対辿り着かなかった!”と思うものになったし、だからこそ自分の知らない自分を引き出してもらえたような感覚ですね。いい意味で今までの自分らしさを取り除いた1枚になりましたし、それが作品の魅力にもなったかな。“こんなの自分じゃない!”とか“上野優華がこんな歌い方していいのかな?”みたいな感覚は、実はまだちょっとあるんです。

──というのは、いつも着ない服を着てみたり、メイクをしてみたような感覚?

上野:あ、そうですね! みんなに上野優華はこれが似合うはずだと全身コーディネートしてもらったような感じがしますね。

──ではターニングポイント的な作品になる可能性も高そうですね。

上野:そうですね。一度リセットした感覚があります。このアルバムがリリースされて、リリースツアーで各地を回ったら、そこで学ぶこともめちゃくちゃ多いと思う。わたしがこれから勉強していくための、ひとつの教科書になるんじゃないかなと思っています。

取材・文◎沖さやこ

New Mini Album『今夜あたしが泣いても』

2020年3月18日(水)発売
■初回限定盤(CD+DVD)
KICS-93902 / ¥3,200(tax out)
■通常盤(CD only)
KICS-3902 / ¥2,200(tax out)

[CD収録内容] ※初回限定盤・通常盤共通
1.こっちをむいて
(作詞:コレサワ / 作曲:コレサワ)
2.迷子
(作詞:奥華子 / 作曲:奥華子)
3.あなたの彼女じゃないんだね
(作詞:橋口洋平(wacci) / 作曲:橋口洋平(wacci))
4.冬色シルエット
(作詞:岩里祐穂 / 作曲:aokado)
5.メロンパンのうた
(作詞:わたなべだいすけ(D.W.ニコルズ)・上野優華 / 作曲:わたなべだいすけ(D.W.ニコルズ))
6.私の歌
(作詞:中尾孝年&ファンの皆さん / 作曲:木村美保)
7.おぼろ月の夜に
(作詞:古内東子 / 作曲:松本俊明)

[DVD収録内容]
「迷子」Music Video / 「あなたの彼女じゃないんだね」Music Video
アーティスト写真撮影メイキング映像

<上野優華 LIVE TOUR 2020 〜今夜あたしが泣いても〜>

2020年
5月24日(日)兵庫・クラブ月世界
6月12日(金)愛知・BL cafe
6月14日(日)神奈川・Yokohama O-SITE
6月27日(土)千葉・LIVE HOUSE ANGA
7月11日(土)徳島・シビックセンター さくらホール
7月19日(日)東京・KANDA SQUARE HALL [Debut 7th Anniv. SP!!]

[MEMBER]
Vocal:上野優華
Guitar:曽根巧
Keyboard:成瀬篤志(ghoma)

チケット一般発売日:2020年4月18日(土)
※各種先行販売実施

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