【インタビュー】“新生”ましのみ大捜査。ニューALで「面白いけど心地いい」の境地へ

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■どんな音楽を作りたいのかと考えたとき
■「面白いけど心地いいのがいい」と思った


──こういうアートワークにおける気鋭クリエーターとのコラボ。さらに今作のオシャレでクールに整理されたサウンドを含め、“ましのみ”というアーティスト像のサブカル色を色濃く打ち出したトータルプロデュースになっているなという印象を受けました。

ましのみ:ああー。それが好きなんですよ。元々は。

──しかも、それがサブカルのエッジ感を聴き心地いいところに落とし込んだところが素晴らしなと思ったんですね。いままではある意味、ヘンテコなましのみセンス、エッジ感をJ-POPの枠組み内に無理やりぎゅぎゅっとねじ込んでたようなところがあったから。それをやめたらこうなったんですかね。

ましのみ:まさにそう! いままではリスナー目線で作ってなかったんですよ。自分が作り手としていかに世間に棘を投げるかが重要だったから。例えばテンポも速くしてキーも高くして。「プチョヘンザしちゃだめ」なんかは元キーよりも3度あげて、耳に刺さるもの、キンキンしてるものを意図的に作って。パッと流れたときに「なんだこれは!?」ってなる“異物感”。音楽の心地よさよりも「検索したくなる」感じや突き刺すことを意識してたからああなってたんですけど。私がトータルでプロデュースするとしたらどんな音楽を作りたいのかと考えたとき「面白いけど心地いいのがいい」と思ったんですよ。聴いててそんな切羽詰まりたくない、心地よくなりたい。だから、余白とか余裕感とかを出したい。そういうのが『ぺっとぼとレセプション』制作後に出てきたキーワードだったんですね。あとはピアノと歌、歌詞は自分の軸だから、そこはちゃんと前に出したいなというのと。エレクトロをそれまで2年やってきて、エレクトロのこういうところが好きだなというのが分かってきたので、それと生音を自分が好きなように組み合わせてやりたいなとか。そういうキーワードをテーマに「エスパーとスケルトン」以降は作ってきました。


──いまのお話でよく分かりました。「エスパーとスケルトン」のピアノがなぜこんなにも心地よくオシャレで、歌ってるように際立っているのかが。

ましのみ:あはは(笑)。sasakure.UKさんのアレンジが元々好きでお願いしたんですが。なにが好きかって、まさに面白いんだけど心地よいってところなんですよ。なのでsasakure.UKさんのセンスはバンバンに出してもらいつつ、ピアノやベースは生にしてちょっと温かみを出したものにしたいというお願いをして。ピアノのフレーズは私の弾いたものを元に、sasakure.UKさんが作ってくれたもので。実際に生ピアノで弾くとめちゃくちゃ難しいんですけど。それが、いいんです。

──あんなにましのみチックなフレーズにアレンジしてくるsasakure.UKさんとは、センスもかなり共有できてるってことですね。

ましのみ:途中で変拍子になるところがあるじゃないですか。私が作ったものはあそこまでがっつりじゃなかったところを「ましのみさん、こういうの好きだろうなと思って」といって、ああいうアレンジにしてくれたんですよね。

──「エスパーとスケルトン」を作ったことで、キーワード的だった自己プロデュースの方向が明確に掴めたところはあるんじゃないですか?

ましのみ:それはありますね。「エスパーとスケルトン」と「薄っぺらじゃないキスをして」は同時期、去年の6月頃に作業をしたんですけど。その段階ではまだ私の頭の中はキーワード状態、やりたいことはあるんだけどもそれを伝える知識も技術もないという最悪な状態だったんで(笑)、sasakure.UKさんにはほんと迷惑をかけましたね。「薄っぺらじゃないキスをして」なんかは何回もやりとりをして。

──「薄っぺらじゃないキスをして」のエモバラードはどんなことがやりたかったんですか?

ましのみ:ここでは囁くような声で歌い始めるっていうのをやりたかったんですよ。あとは、サビでがーっと開けるとか。ブレスで遊びたいなというのもありました。

──“ハッハッハッハッ”とかね。ブレスとか唇ぷるぷる〜とか声の音で昔から遊ぶのが。

ましのみ:大好きですね。その遊び方も「それ違います」って自分のこだわりが強くあるんですよ。

──曲中、薄っぺらい人生がまるごと報われていく転調がエモくてすごくよかったです。

ましのみ:あの転調は「ここ気持ちいい」って自分でも気に入ってます。でも、そこのガラッと変わるところもバスドラの音がなんか違うと思って探しまくって。「これだ」という音が見つかったときはエンジニアさんに「よかったね」といわれました。「エスパーとスケルトン」、「薄っぺらじゃないキスをして」はそうやってつたないなりに自分がやりたいことを周りの方に助けてもらいながら形にできたので。


──自分の自信になった?

ましのみ:このやり方でやっていこうと思えたかもしれないです。

──そんなところにドラマ『死にたい夜にかぎって』のオープニング曲「7」のオファーが飛び込んできた、と。

ましのみ:そうです。お話頂いた後に原作を読んで、ドラマのプロデューサー、監督とかと打ち合わせをして。唯一いわれたのは、タイトルが暗いからオープニング曲として希望がもてるものにしたいということ。この物語は、読み終わって救われた気持ちになるようなお話なんですよ。そういうところを始まりで出したいというリクエストは頂いたので、そこはアレンジとかBPM、歌い方に反映させました。

──“ろくでもない僕でさ”〜という歌い出しなのに?

ましのみ:そう。そこも、もっと癖を強く出した歌い方だとエグくなるんですけど、わりと声のトーンも明るめにして爽やかに歌ったり。しゃくりとかビブラートも少なめにしてストレートに歌った方が、暗めの歌詞でも希望が見えて聴こえるんですよね。

──そんなドラマへの配慮もありながら、フルで聴くとこれ、曲構成がこれまたヘンテコな作りで。主題歌なのに。

ましのみ:ねっ。なんなんでしょうね(笑)。でも、こういうのが作りたかったんです。今回は最初に「エスパーとスケルトン」、「薄っぺらじゃないキスをして」があったんで、ミニアルバムを自分でプロデュースするとしたら他に何を入れようかって、かなり精査して。考えた上で曲を作っていったんですよ。

──トータルで作品を考えたときに「7」のような曲を1曲入れたかった。

ましのみ:そう。この曲は最近自分がライブでやってるサウンドに近いんですよ。DJがいてドラムは生+エレドラも出せる、ベースも普通のベースとシンセベースも出せて、私がピアノを弾いて歌う。そのすべてがこの曲には入ってるんですよね。そもそもライブをそういう編成にしたのは、生とエレクトロの音を自分のセンスで組み合わせてやりたいというのを叶えるためだったので。なので、それをちゃんとした形で音源にしたかったんです。それで、サビは生音で温かくして、内省的な歌詞のパートは素朴な打ち込みを使ったり、ここら辺はこういうリバーブをつけたいなとかまで細かくヘッドアレンジをして横山裕章(agehasprings)さんと一緒に作っていきました。キラっとした音なんだけど暗さもあってとか、言葉で伝えるには難しい音だったんですよ。なので、自分でつまみをいじってエフェクトをかけていくというのを前からやってみたかったので、中古でマイクロコルグを買って。それで自分が作った音を入れたり。あとは、家で洗濯物をパンパンやってる音とか、ヒールで歩いてる音とか、道路の音、鳥の声とかを自分で録って「これ使えますかね?」って横山さんに渡して入れてもらったり。高尚なアレンジができる上で、こういうチープ感を理解してくれる方なので、すごい楽しく作業はできましたね。

──「NOW LOADING」でコラボしたパソコン音楽クラブ。こんなにゆるゆるなのに、踊れてスタイリッシなサウンドでしたね。

ましのみ:めっちゃカッコいいですよね。パソコンさんは、音とかビートの入れ方、リフのセンスがめっちゃカッコいいんですよ。実際楽器ができる方たちだから、ループの音楽でも退屈しないんです。今回ここで私がやりたかったのは、メロウでループなんだけど退屈しないもの。余白を大々的に提示して、気を抜いてても聴けて、夜の街を歩いてたらそれがなんとも気持ちいい。みたいなものをやりたかったんです。超カッコいいのができました。歌ってても気持ちいいし。

──ましのみラップになってて、それも心地よかった。

ましのみ:ラップをしようという意気込みはなかったんですけどね。元々韻を踏むのが好きで。「Q.E.D.」みたいなポエトリーっぽくて、音程がないものも元々好きで。いまはいろんなジャンルの音楽、ヒップホップとかも聴いた上で自然とこうなっていったんですよね。これがラップに聴こえてくれるんであれば「ラップ、もっとちゃんと勉強しよう」と思いましたね。勉強に前向きになった身としては。

──ぜひぜひ。では最後のピアノの弾き語りのようで弾き語りじゃない「のみ込む」でやりたかったのは? 

ましのみ:これは、アンビエントっぽい雰囲気の上に生活の中で鳴ってる音なんかもあって。そのなかでピアノと歌がメインとなる素朴なものにしたかったので、まず弾き語りで作って。歌詞は「7」の伏線を回収する意味も込めてます。一人で部屋にいるとき、帰り道とか。このアルバム自体が恋愛を軸に、そのいろんな場面での踊り場……ちょっと休息できるような場所にということで作ってるんですけど。この曲に関しては、別れたり喧嘩をしたり、嫌なことがあって一人になったときに寄り添える曲を書きたいと思って作った曲なんです。それも、いろんな人と会うようになったからこそ、こういう曲を作りたいなという思いが湧いてきて。私自身もそういう曲を聴きたいなという思いがあって作りました。

──歌詞もすごくよかったですね。これ。

ましのみ:ありがとうございます。前は寄り添おうと思って書いてたけど、いまは人と関わっている自分だからこそこういう(寄り添う)歌詞がナチュラルに書けるんだなって思いました。


──だと思います。ましのみ、本当に変わりましたね。ましのみに“。”つけたいぐらい。

ましのみ:それ、モーニング娘。だから(笑)。

──あ、じゃあ“ましのみ⭐︎”で。

ましのみ:それじゃあ、めちゃめちゃポップになるじゃないですか。逆だから。方向的には!

──分かった。じゃあ“ましの”で。

ましのみ:ダサくしてどうするんですか(笑)。

──すいません。そんな新生ましのみのワンマンライブ<ODORIVA>が大阪、東京で開催。こちらはどんなものになりそう?

ましのみ:2ndアルバムまでは構築されたショーを観せて、初めて観た人が“おぉー!”となるものにしたいというのが大きかったんですけど。ライブも「エスパーとスケルトン」以降の考え方になってからは変わってきて。生もエレクトロもいろいろ使って、私もみんなも音を気軽に楽しむっていう方向になってるんですね。そっちにシフトしてから、お客さんも(音に)のるのが上手くなってきてて。そういう進化の元に作ったアルバムを提げてのライブなので、新しいましのみが観られるのもそうだし、初めての人でも気軽に来ても、ライブとして楽しみやすいものになるんじゃないかなと思うので。めちゃくちゃ楽しみですね。

──では、最後にBARKSの読者に一言メッセージをお願いします。

ましのみ:とにかく一聴していただきたいし、ライブに足を運んでいただきたいと思います。新しいましのみを楽しんで下さい。

取材・文◎東條祥恵
写真◎青木早霞(PROGRESS-M)

ストリーミング&ダウンロードはコチラ:https://lnk.to/mashinomiID

1st Mini Album『つらなってODORIVA』

2020年3月18日(水)発売
■初回限定盤 CD+DVD
品番・価格:PCCA-04934/¥2,727+TAX
■通常盤CD ONLY
品番・価格:PCCA-04935/¥1,818+TAX

■収録曲(初回限定盤・通常盤共通)
1.7(読み:ナナ)
MBS/TBS系ドラマ「死にたい夜にかぎって」オープニング主題歌
2.NOW LOADING
3.エスパーとスケルトン
4.薄っぺらじゃないキスをして
5.のみ込む
(全5曲収録)
■初回盤特典DVD収録内容
01.「7」 Music Clip
02. 「エスパーとスケルトン」
03. Digest of
「ぺっとぼとリテラシー vol.3~レセプションパーティーin TOKYOでひとつになりまショータイム~@渋谷ストリームホール」
04. mashinoMeeting 
05. Making of 「エスパーとスケルトン」 Music Clip

<ましのみワンマンライブ「ODORIVA」>

2020年5月13日(水)大阪アメリカ村 BEYOND
18:45開場/19:30開演
¥4000(税抜・ドリンク代別)
※学生の方は学生証ご提示で¥500キャッシュバック

2020年5月20日(水)東京Shibuya WWW X
18:45開場/19:30開演
¥4000(税抜・ドリンク代別)
※学生の方は学生証ご提示で¥500キャッシュバック

◆ましのみ オフィシャルサイト
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