【インタビュー】“親友”になったDear Chambers、最新EPを武器に逆襲へ

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6月5日に1st EP『It’s up to you』をリリースしたDear Chambers。当初は5月に発売予定だったのだが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、発売日が延期に。しかし、そんな憂鬱を吹き飛ばすほどのメロディックパンクあり、エモあり、青春パンクありと、彼らの魅力をしっかりと詰め込んだ作品になっている。

取材で対面した3人もかなり清々しい顔をしていて、ソングライターのモリヤマも「前回の取材のときとは全然違う」と笑顔で話す。どうやら本作でブレイクスルーを果たしたようだ。また、前回登場時に「自分たちはメンバーではなく友達だ」と発言していた彼らだったが、そこにもひとつ変化があったとのこと。そちらも踏まえつつ、いま彼らが思っていることを賑やかに話してくれた。

  ◆  ◆  ◆

■コロナでメンタル食らってないんですよ

──1st EP『It’s up to you』の収録曲はいつ頃に作っていたんですか?

モリヤマリョウタ/Vo&G(以下、モリヤマ):レコーディングの一週間前とかですね。いつだったっけ?

秋吉ペレ/B&Cho(以下、ペレ):2月ぐらい。年が明けて、曲を作らなきゃと思っていたら一週間前になっちゃったっていう、前作(『Remember me』)と似たような感じになっちゃってましたね(笑)。

──じゃあ、コロナウイルスの影響が出てくる前に完成はしていたと。

モリヤマ:全然できてました。今回のEPも前作と同じような感じになっちゃうんですけど(笑)、ツアーを廻ったときに、こういう曲がほしいねっていうのを共有していたんですよ。

しかぎしょうた/Dr&Cho(以下、しかぎ):うん、話してた。

モリヤマ:それを具現化していった感じではありますね。前作で足りなかったものを作ったっていう。

──なるほど。こういう世の中になってしまった状態で聴いたからもしれないんですが、コロナの時代に自分たちはどうしていきたいかを歌っているようにも聴こえるんですよね。

3人:ああ。

──ただ、事前に作っていたとなると、その当時よりも歌詞の意味や響きが深まった印象もあるのではないかと思うんですが、改めてどんな作品になったと思いますか?

モリヤマ:毎度のことながら、自画自賛で「いいなぁ」って。

──実際いい曲ですからね。

モリヤマ:いつも「作ってよかったなー」って思ってるんです。でもなんていうか、僕ら全員、コロナでメンタル食らってないんですよ。むしろ「立ち止まらせてくれてありがとう」みたいな感じもあるし、友達とかが「早くライブしたいな」って言っている中、僕らは別にそんなこともなくて。いっぱい音楽聴こうよとか、練習しようよとか。

ペレ:前向きだったよね、相当。

モリヤマ:今回のEPを聴いてもらうとわかるんですけど、どんどん前向きになっていってるんですよね。で、止まったらもっと前向きになっちゃって。いま、めっちゃ前向きっす。めちゃめちゃポジティブ。前回の取材のときとは全然違う(笑)。

▲モリヤマリョウタ(Vo&G)

ペレ:今回のEPを作っているときに、モリヤマが歌詞をどうするか悩んでたんですよ。前作で書き切っちゃって、「もう空っぽだ」ってずっと言っていて。

モリヤマ:確かに言ってた。

ペレ:だから、曲を作り始めるところがいつもとちょっと違っていたんですよね。もう本当に何も出てこないところから始まって、今までと違うところに繋がっていった結果、前向きなところに辿りついたというか。

──1曲目の「Strikes Back」の歌詞に<空っぽになってしまうその前に 切り裂いてしまえ>とありますけど、それはそのときの自分をそのまま書いたんですか?

モリヤマ:そうです。ウザいぐらいに誰も僕らのことを見てくれなくて、悶々としている中、光に「早くこっち向け!」っていう感じなんですよ。“Strikes Back”って反撃とか逆襲って意味なんですけど、別に何かに襲われたわけではないのにこっちから行ってやる!っていう。

──いいですね。襲われてはいないのに逆襲するって。

3人:ははははははは(笑)。

モリヤマ:パンクロックですよ。でもなんか、空っぽだからダメだ!っていう感じでもなかったんですよね。空っぽだけど何があるんだ?ってずっと探していた感じだったんで。そうやってガーッ!って書いていくうちに、急に辿り着いた感じだったもんね?

ペレ:うん。そこから前向きになっていったっていうのがこの5曲のストーリーですね。

──先ほど、「コロナでメンタル食らってない」というお話がありましたけど、そこはペレさんもしかぎさんも同じだったと。

しかぎ:全然ですね。なんなら練習する時間が増えたし。

ペレ:そうだね。今までライブばっかりで練習っていう概念がなかったんですけど、これを機にやろうって。そしたらそれがすげえ楽しくて。ちゃんといろんなことを見つめ直す時間にもなったし、それが前向きになっていくところにも繋がったので。いい時間ではありましたね。

──いろんなことを見つめ直していくと、自然とヘコんでしまうこともあると思うんですが、そういうこともなかったと。

モリヤマ:むちゃくちゃ元気でしたよ(笑)。

しかぎ:ちょこちょこ会ってたしね。練習したり、テレビ電話で近況報告したり。コロナで全然会えないっていうわけでもなかったので。

モリヤマ:あと、全員SNSをあんまり使ってなかったんですよ。外側をそこまで気にせずにずっと内側で話していたから、それもよかったのかも。

──前回のインタビューで、自分たちはメンバーじゃなくて友達だっていう話がありましたけど……

モリヤマ:親友になりましたよ。

全員:ははははははははははは!(爆笑)

──友達から親友にランクアップ(笑)。

しかぎ:確かに一個あがった感じはする(笑)。

▲秋吉ペレ(B&Cho)

──メンタル的には大丈夫だったそうですが、5月から7月にかけて予定していた<Strikes Back TOUR 2020>が中止になってしまっていて。ただ、7月公演の2本は、ガイドラインを設けて開催されていましたけれども、久し振りにライブハウスで音を出してみていかがでした?

モリヤマ:決まっていることに準じてやるのが一番かっこいいんじゃないかと思って、全部ガイドラインにあわせてやったんですけど、ツアー前──緊急事態宣言があけた後に一本やらせてもらっていたんですよ。そのときは、なんていうか、「練習した俺ら、見てくんない?」っていう(笑)。

3人:はははははは(笑)。

モリヤマ:機材とかも買ったんですよ。コロナの給付金を使ったんじゃなくて、3人で話し合う時間がいっぱいあったから、こうやってお金をやりくりすれば全員の機材が買えるし、もっとカッコよくなれるんじゃない?って。その一発目のライブでもあったから、なんかもう、高校生の頃に戻ったんじゃねえか?っていうぐらいワクワクして(笑)。「見てくれよ! カッコいいだろ!」みたいな。

しかぎ:うん(笑)。ワクワクした。

モリヤマ:だから、イスはあれど何ひとつ変わらなかったから、ああ、変わらないんだなって思いました。売れてなくてよかったなって。

──なんでそういうことを……(苦笑)。

ペレ、しかぎ:ははははははは(笑)。

モリヤマ:いや、若いうちから売れていて、パンパンになってるフロアを見ていたら、あの光景を見た瞬間に「つまんない」って思うだろうけど、僕らは別に何も変わらないというか、むしろ地方に行ったらそれが当たり前ぐらいな感じのときもあるんで、むしろ(テンションが)上がるぐらい。だから、めちゃくちゃポジティブに「まだ売れてなくてよかった」って思いました。じゃなきゃ動けなかったんで。だから逆襲します。

──繋がりましたね。

モリヤマ:そうそう、だからすべて未来を予知していたってことで(笑)。

ペレ:結果的にね(笑)。

──(笑)。しかぎさん、久々のライブはいかがでした?

しかぎ:俺も「(お客さん)全然いるな」って感じでしたね。それに、ライブが始まったら3人でワーッ!ってなるから、お客さんが多いとか少ないとか別に関係ないんです。あと、練習してたのが大きかった。

ペレ:そこは超あったね、マジで。

モリヤマ:めちゃくちゃ自信あったよね?

ペレ:自信しかなかった。

モリヤマ:そもそも自分たちのスタンスが、お客さんを巻き込んでいく感じじゃなくて、こっちがバーン!ってやってるところにお客さんが呼応してくる感じなんです。だから、観ている人からすると「動けない」っていう感覚はあるかもしれないけど、こっちとしては「むしろゆっくり聴けるよね?」みたいな感じではあるんですよ。

──鳴らせるってことに意義もあるかもしれないですね、ライブハウスという場所で。

モリヤマ:鳴らすこと自体、いまは難しいですからね。「いろいろありがとうございます! 気持ちよくやらせてもらってます!」っていう感じでした。

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