【インタビュー】コリィ・テイラーが語る初ソロアルバム「どれだけこの作品を必要としていたか」

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スリップノットやストーン・サワーのフロントマンとしての活動をはじめ、ソングライター、俳優、作家と幅広く活躍してきたコリィ・テイラーが10月2日、自身初となるソロアルバム『CMFT』を全世界同時リリースした。ボーナストラックを含む収録全14曲は、ハード・ロック、クラシックロック、パンクロック、ヒップホップといった音楽的要素が盛り込まれてバラエティに富んだ仕上がり。10代の頃に制作した楽曲の断片も活かされているという意味では、音楽的な足跡が垣間見えるということもできるだろう。

◆コリィ・テイラー (スリップノット / ストーン・サワー) 画像 / 動画

レコーディングには、ストーン・サワーも手掛けるプロデューサーのジェイ・ラストンと彼率いるバンドがラスベガスのハイドアウト・スタジオに集結。クリスチャン・マルトゥッチ(G)、ザック・スローン(G)、ジェイソン・クリストファー(B)、ダスティン・ロバート(Dr)らが参加した。さらには、ラッパーのテック・ナインやキッド・ブッキーほか、フィーチャリングアーティストとの共演も聴きどころだ。アルバム『CMFT』というタイトルに込められた意味や、コロナ禍のレコーディング、2週間半で25曲を収録したという驚きの制作過程など、コリィ・テイラーに訊いたロングインタビューをお届けしたい。

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■我ながらけっこう驚いたよ
■こんなことができるんだって

──まずはソロ初アルバムに冠されたタイトル『CMFT』の意味について教えてください。

コリィ:“CMFT”は高校時代からのニックネームだったんだ。最初はCTで、学校に行くとみんなが「CT!どうよ!」って声をかけてきたんだけど。それがいつしか「C マザーファ●キン T!」みたいになっていって、略して“CMFT”。その言葉をソロ活動する時とかに別名として使ってきたんだ。今回は初めてのソロアルバムってことで印象付けたかったし、“CMFT”をタイトルにしたら筋が通ったっていうか、すごくしっくりきたから。


──スリップノットの最新作『ウィー・アー・ノット・ユア・カインド』のリリースから約1年となりますが、この期間はあなたにとってどんな1年だったでしょうか?

コリィ:本来ならばスリップノットのツアー真っ最中だったはずで、ソロアルバムをレコーディングするつもりは全くなかった。やるとしても2021年頭のレコーディングを考えていたけれど、ご存知の通り、コロナで俺もずっと自宅待機していて。2〜3週間くらい家にいて、何となく思ったんだ、“然るべき形で安全に行えば、アルバムのレコーディングをやっちゃいけない理由もないよな”と。曲自体は何年も前から書いていて、なかには20年以上前に遡るものもある。そう思ったら俺もワクワクしてきたし、バンドもノリノリ。それで安全を確保して手際良く事を進めることになった。だから我ながらけっこう驚いたよ、“こんなことができるんだ”って。それも予定を前倒ししてやったわけだから。

──このタイミングでのソロアルバムは考えていなかったにしろ、いつか作りたいという漠然とした夢のようなものはあったのでしょうか?

コリィ:特に考えたことはなかった。ただこのアルバム制作に取り掛かった途端、“どれほどソロアルバムを作る必要を感じていたか”ということに思い当たったんだ。みんなも知っての通り、俺にはスリップノットがありストーン・サワーがあって、どんな音楽でも作りたいものは作れていた。だけどどういう理由か、『CMFT』収録曲のようにどちらのバンドにもハマらない曲はあったし、なかには他のアーティストに提示したものの実現しなかった曲もある。そういう曲に、聴いてもらうチャンスを与えることは道理だし。そうやって本格的に考えるほど、“どれだけこのアルバムを必要としていたか”を自覚するようになったんだ。“ソロアルバムを作るんだ”と本腰を入れ始めたら、自分で思っていた以上に全てのプロセスにワクワクしたよ。


──「なかには20年以上前に書いた曲もある」とのことですが、高校時代に書いた曲もあるそうですね。詳しく教えてください。

コリィ:アルバム1曲目の「HWY 666」という曲のヴァースは、祖母の家で見つけた高校時代のノートから引っ張ってきたものなんだ。当時のノートは全部取っておいていたので、それをパラパラめくって見ていたら、あのヴァースが目に入って。すっかり忘れていたから、マジで意表を突かれたというかね。あの歌詞を書いていた英語の授業中の自分の姿が突然蘇ってきた。「HWY 666」は、それをもとに少しばかり刷新して曲を完成させた感じなんだ。ああいうカントリーっぽいノリは想像していなかったんだけど、ザックとトゥーチのギターが入ったらチャーリー・ダニエルズというか、シン・リジィのヴァイブが出てめちゃくちゃカッコよくなったんだよ。ガラリと大胆に方向転換した。16歳の俺が書いたヴァースがこんな形になるなんて、誰も思わないよな。

──「2週間半で25曲をレコーディングした」と聞いて驚きました。

コリィ:レコーディング前のリハーサルは4回ぐらいしかやってない。準備は万端だったが、練習し過ぎるのもイヤで、基本1日に1曲ずつやっていったんだ。セッティングしたら一度練習して、その後3~4回やればいいものができた。一番いい演奏を抽出して重ねていったんだけど、9割方が、そのままで全て揃っていたんだから驚くよ。それは俺たちバンドが、いかにタイトに揃っていたかってこと。だからこそ生まれたライブ感があって、とにかく生き生きしている。アルバム全曲を録り終わってもスタジオの予約日数が残っていたから、追加でカバーを6曲やって、それも3日間とか、凄まじいスピードで終了した。もともと予定していた一部収録曲のアコースティックバージョンもたった2日。とにかく楽しくて終わってほしくなくて、自ら仕事をどんどん増やしていったという(笑)。でもそれは、ただ仲のいい友達を集めて仕事をしただけじゃなくて、その道に本当に長けた連中だってことの証明だろう。あのスピードは、今考えてもビックリだ。


──先行シングル「CMFT マスト・ビー・ストップト」ではテック・ナインとキッド・ブッキーをフィーチャリングに迎えていますが、その経緯を教えてください。

コリィ:2人には参加してもらえて本当にラッキーだった。一緒に仕事をしたこともあって、テックとは結構前からの知り合いだ。ブッキーなんか、ある日、突然向こうからTwitterで「一緒に1曲やってくれないか」と持ちかけてきて、俺も彼のスタイルが気に入って実現した。それから時は流れ、今回デモを作っている時に、“テックとブッキーを入れたら完璧だな”と思うようになって。その理由はいくつかある。まず彼らが情熱的で、言わんとしていることが全てちゃんと伝わってくるし、本当に重要なことに熱い思いを込めていて、しかも死ぬほどクリエイティヴだということ。もうひとつは、2人のスタイルは大きく違うので、ぶつかり合うことなく互いを引き立てることができると思ったからだ。俺はいつもの歌に近い感じでちょっと激情的になるのに対して、ブッキーはもっとニュースクールなスムーズな感じ。テックはもう完全にリズム重視で華やかで、とにかく上手い。この3人が一緒なら、それぞれのスタイルが互いに引き立て合うに違いないと思った。正直2人以外に参加してもらうのは考えられなかったし、ありがたいことに2人もすごく乗り気になってくれたよ。

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